誰が参加をできるのか問題 ー君塚仁彦 「博物館展示論の視座から「地域博物館論」を読み直す」
伊藤寿朗の第三世代論が「参加・体験」の対象としたのは、以下のような人たちであった。
第二世代が図書館の利用スタイルと同じように、すでに関心をもっている人びとの要求に応えるということを軸としているのに対し、第三世代論は、関心の薄い人びとをこそ対象に、その要求を育むということを軸とするところに意味があり、また人びともそれを期待している。
しかし、次第に「第三世代論」という言葉と「参加・体験」という言葉が独り歩きするようになり、次第に「参加・体験」する人、できる人だけでサークル化していったことも否めない。
もちろん、そのようなサークルが悪いことではないし、それによってなし得ることも多い。
第三世代が、第一世代の「保存」や第二世代の「公開」というあり方そのものを否定しているのではなく、その概念を否定しているように、「参加・体験」という概念の否定は必要な時期にきているであろう。
早逝した伊藤寿朗が生きていれば、どう言ったであろうか。考える手がかりをくれるのは君塚仁彦さんである。
「「自律的に学習し、運動する市民像」というものが、やや強く意識されがちであったようにも思います。地域社会の中で、さまざまな理由、背景でそのような条件を持てない人びとの存在というものが、視野の外側に入ってしまったのかもしれない」