実践知と知識知のちがい

「ねぇねぇ、Sさん、本を読んで身につけた知能と、実際の現場で得た知能のどちらが必要かなぁ・・・」

なんて話を、一乗寺駅の横にあるバーでひたすら話していて、今でも時々、思い出す。

博物館学という学問は、博物館という現場で実践を通して得られた知識と、博物館学の本の知識から得られた知識とがある。

私の感覚的には実践知は直線距離で「答え」に近づく気がする。
言葉になっていない知、暗黙知と呼ばれる知能も動員して、その時、その状況の最大適地を探しにいく。

「いま、ここで、ある材料だけで、判断しなさい」みたいな状況は働いているとよくあると思うけど、普段頭の奥底に眠っているものも、前の方でうろうろしているものも、ひゅうううううんと集約されて、ポンと答えを出す。

一方で、知識知は曲線でゆうううううううったり、ゆうううううったり「答え」に近づく。もう、まどろっこしい。実践知が「はいこれ!」といったことに対して、知識知で説明しようとすると、実践知の「ひゅううう」としたところに「ちょっとまって、ゆううううう」っと知識知がペースダウンを命じてくる。

王選手の「これをぶんっとしたら、そこでカーン」という助言のように、一代限りの天才なら、実践知だけでいいと思う。でも、他の人にコツをつたえたり、遠くの人に助言できるようになるには知識知も必要だな、と思う。

さぁ、そろそろお邪魔しに行きますよ。
宣言しないとな、遠いから、一乗寺。

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