「鬼揃紅葉狩」歌舞伎座定額制パスポートで楽しんだ余韻
歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」が無事に千穐楽を迎えました。完走できてよかった。第一部、猿之助さんの「鬼揃紅葉狩」は今年ラストの澤瀉屋の演目でした。もちろん、来月再来月の 十三代目 市川團十郎白猿襲名披露興行にも出演なさいます。11月は「勧進帳」の義経、12月は「助六由縁江戸桜」の通人。これはこれで拝見したいのですが、お家芸で主演は今月の見納めになりました。
以前からお話しているように、今月は歌舞伎座が試験的に発行した二階席限定「歌舞伎座定額制パスポート」24000円を購入。一部から三部まで見放題という夢のような企画でした。お陰様で一部に関しては公演日の半分以上を観ることができました。仕事と両立できるよう調整して通い、贅沢をさせていただいた。
公演中に、一つの演目をこんなに観劇したのは久しぶりです。想像以上に楽しくてプライベートも頑張れました。舞台は一期一会。どんなに観ても同じものは1回としてありません。自分のスタミナ勝負でもありました。千穐楽まで、猿之助さんのドラマとか、来月のこととか、あまり考える余裕がなかったです。それより、’今’自分が幸せの中にいることが有難くて集中していたかった。
初日から千穐楽まで。「鬼揃紅葉狩」では猿之助さんの変化、進化を楽しむことができました。この方はペース配分をしていないのかもしれない、と思うほど全てが全力なのを感じました。
初日、まだ踊りが体に入っていない感じ。冷静な猿之助さんが垣間見えるようで緊張感がたまらなく好きでした。それが4日目には、振りが体と一体になり自然。力が抜けてきて、誇張するより、緩急をつけるイメージで、紅葉狩の世界観に引き込まれました。
幸四郎さんとの響き合いも楽しかった。幸四郎さんが激しければ、猿之助さんも激しく。逆も然り。凛として美しい二人が久しぶりなので眼福。猿之助さん、とても艶々していました。
半分以上を観ていると、声が好調!とか、昨日は飲み過ぎか?とか、元気だなとか、お疲れ気味だなとか。いろいろ妄想するのも面白かったです。すごくノッているなぁと感じる猿之助さんの時は、私も心が弾みました。
猿之助さんだって人間です。私も人間。日々、思うことはもちろん体調も違う。でも舞台と客席で最高な時が一致する奇跡が、とてつもなく幸福だと知っているから、それを味わいたくて何度も行ってしまう。そういう時の猿之助さんの舞台はクセになる。
中日あたり、すごくパワフルでスピード感ある立廻りが最高でした。門之助さん、若手5人が務める鬼女たちとのチームワークができてきた。鬼チーム×維茂チームの戦いの図がくっきりして面白く、上演時間が短く感じるようになりました。
そして、最終週。渾身の舞台に感動しました。1時間以上ありハードな振りの演目です。猿之助さんはほぼ毎日の舞台と平行して、ドラマの撮影、猿之助と愉快な仲間たちの公演、と大忙しでした。そんな中、あと何回で千穐楽という時期は、涙が出るくらい攻めていました。
千穐楽、これでもかと攻める気持ちを緩めない姿に泣きました。いつもながら、なんでここまでするのかと思うけど、これが猿之助さんだから仕方がない。休めば。。なんて到底言えない。舞台に立ち続ける限り、それを信じて応援しようと思いました。
パスポートのおかげでいろんな角度から観劇することができました。東桟敷の眺めは面白かったです。
維茂に向かっていく猿之助さんの更科姫が、正面席からだと横向きが多いのですが、お顔を正面から見ることができました。迫力満点ですごかった。
もういつ星になってもいいと思うくらい。毎回、幸せをいただきました。疫病禍の休演で舞台を観ることができない日々や公演中止を経験して、私はやはり猿之助さんを観続けたいのだと悟りました。魔法の粉をかけ、夢の世界へ誘ってくれる。明日を生きる力をくれるのです。
そして今月はいつもより多くの友人たちに会えました。新しく知り合った方たちもいて嬉しい。3年以上ぶりに会えた方もいました。ああ。。そういえばこれが歌舞伎の楽しみの一つだったと思い出した。一人で観劇することに慣れてしまったから。歌舞伎のおかげ、猿之助さんのおかげで、ご縁が繋がって楽しかった。
いつかまた定額制パスポートの企画をしてほしい。私にとっては夢のようなひと月。一週間前から前日までの電話予約というのは大変だったので改善してほしい唯一なところかも。
私も無事に完走できてよかった。
健康に感謝。有難うございました。
aya
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