<2011年アメブロ編序幕⑫>
3月、東日本大震災がありました。歌舞伎公演は休演や中止になり、ブライダル司会をしていた私の仕事もほぼキャンセルになりました。当時の亀治郎さんは多くを発信しませんでしたが、’役者として何ができるのか’をこの震災で深く考えたと後に話していました。現在、疫病禍で猿之助さんの想いが揺るがないのは、この時のことがベースになっているのかもしれないと妄想しています。
3月19日 歌舞伎に会いたい
様々なイベントやコンサート、お芝居が中止になっています。歌舞伎関係でいうと、国立大劇場、秋田の康楽館「坂東玉三郎特別舞踊公演」そして、お芝居ではないですが、新宿京王プラザホテルで予定されていた京王文化講演会「市川亀治郎とその世界」が中止です。
そんな中、新橋演舞場では公演中止や会場点検のための休演を挟み、今日から上演されています。演舞場には、どれくらいお客さんが来ているのだろう。私はチケットを持っていました。考えた末、余震を劇場で体験するのが恐かったので行くのを止めました。
地震から一週間が過ぎた今、歌舞伎にものすごく会いたい。でも劇場に入ってジッと座っているのがまだ少し恐い。もう少し時が経てば、いつもどおり心から楽しめる。私には歌舞伎が必要です。
そして、みんなが心の癒しを求め始めます。揺れたその瞬間、舞台の上の役者さん方は演じ続けたそう。歌舞伎はきっと人の心に花を咲かせるはず。賛否両論ある中、上演し続けている役者さんをはじめ、現場の皆さんを応援しています。
4月14日 亀治郎さんで「四の切」
先日、映画「わが心の歌舞伎座」を観て以来、またもや三代目猿之助さんの映像が頭から離れません。叶うなら一度、生で猿之助さんの舞台を観てみたい。映画の中では、特に拝見したい「黒塚」「伊達の十役」そして「四の切」の一場面を観ることができました。
これらは同時に、甥の亀治郎さんで拝見したい演目でもあります。昨年は、自主公演「亀治郎の会」で四の切の亀治郎さんと出会うことができました。
亀治郎さんの早替りのスピード、テンポやリズム感!何より楽しそう。観ていてワクワクが止まりませんでした。自主公演という雰囲気もあり、盛り上がりはサイコーでした!
それが来月明治座で約一ヶ月間公演されるなんて。いよいよ本興行で上演が叶います。亀治郎さんの宙乗りはめちゃめちゃ楽しいです。
明治座は、明治6年に歌舞伎のために建てられた劇場です。三代目も縁が深いとか。16年ぶりの歌舞伎公演が花形歌舞伎役者たちで幕が開くのは何だかドキドキします。いったいどんな空間になるのでしょう。
会見で亀治郎さんは、伯父は自分が進化させた型を、僕の肉体を使って演じさせたいという想いが伝わると話してます。亀治郎さんの肉体だからこそ伝わるもの。技術だけではなく、それ以上のもの。それをしっかり劇場で感じてきたいと思います。歌舞伎の醍醐味もきっと味わえるはずです!きっと昨年より進化を遂げているに違いありません。
映画の中の猿之助さんの四の切を拝見し、ちょっと興奮気味な私です。来月の明治座が楽しみです。
5月10日 明治座「五月花形歌舞伎」四の切
「五月花形歌舞伎」昼の部です。全体のリアクションが楽しくて楽しくて♪あちこちで「あら~」とか「そーなの!」とかご婦人方が声を出してます。下町情緒あふれる歌舞伎観賞となりました。
私の頭上を飛んでいく源九郎狐はとても幻想的。桜吹雪の中、真っ白い狐が舞う姿はとても美しかったです。映像では体験できない夢のようなリアルな空間。
「義経千本桜」川連法眼館の場の源九郎狐は、昨年の’亀治郎の会’に続き2回目です。その時よりもすごく進化していました。今、三代目猿之助さんが亀治郎さんの身体を使って役を実現させたいというのはこういうことなのだと感じます。
一番進化していたのは’間’だと思いました。生意気ですが。。細かいところまで心憎いのです。お客が惹きつけられます。ちょっとしたことで笑えるし可愛らしくて、観る側の心が動く。
早替りもスピードアップしていてビックリ。「どこで脱いでるの~」というぐらい速いです。しかもまたチャリンマジックにしてやられてしまった。そして、とても親への愛情にあふれ、切ない可愛らしい狐でした。動きや言葉、表情。。未だかつてないほど惹きつけられました。
幕が開いた時、しばらく客席がザワザワがしていたのですが、義経役の染五郎さん(現 幸四郎)の声が聞こえたとたんに静かに。この緊張感さすが!品があり凛とした義経で、とても存在感がありました。素敵すぎます♪門之助さんの静御前がとても人間味ある優しい感じ。
宙乗りまであっという間。夢のような時間でした。亀治郎さんのこの演目が大好きになりました。今も夢心地です。この先もずっと観ていきたい演目です。
5月19日 亀治郎さんの宙乗りの行方
明治座の三階席は初体験でした。演舞場や国立劇場と違い、ロビーがありません。二階から専用の階段を上がります。歌舞伎座の幕見席のイメージでしょうか。
座って見渡すと、宙乗りの鳥屋を発見。いわゆる終着点です。お写真中央付近の、客席の上にある小さな箱のようなものがそれです!こんな高い位置にあるのを見たのは初めてです。
今まで観た劇場は客席をつぶして一列目の手すりあたりからあの箱があるのです。明治座は浮いてます!
明治座は地面から縦長なイメージで、天井もすごく高く感じます。他の会場より急坂。しかも距離が短いので、スッポンあたりから通常より一気に高い位置まで上がります。
前回、演舞場のイメージで二階席をとったのですが、私の所に来る頃には頭上だったのが理由がわかりました。
三階は音が二階より響いていて良かったです。音がクリアです。反響音も少なくて下駄タップもはっきり聞こえました。
何階か、どの位置か、それぞれの楽しみがありますね。私は全体が観たいのと、音の響きで上階が好みです。明治座は歌舞伎に優しい会場でした。
5月29日 亀治郎の会
JINは、またまた泣けました。そして来週の予告で亀治郎さんを発見!楽しみです。
先週の金曜日、明治座の「五月花形歌舞伎」が千穐楽でした。夢のような時間を過ごすことができて感謝です。亀治郎さんの、この後も続いていくであろう猿之助型の「四の切」の第一歩。その瞬間に立ち会えて嬉しかったです。昨年の自主公演「亀治郎の会」の’四の切’よりスーパーパワーアップしていました。この先、どのように進化していくかとても楽しみです。
さて、今年の「亀治郎の会」の演目が発表になりました!!
1 「芦屋道満大内鑑~葛の葉~」(あしやどうまんおおうちかがみ~くずのは) 2 市川猿之助 作「博奕十王」(ばくちじゅうおう) 以上、二演目がかかります。
私はどちらも拝見したことがありません。’葛の葉’は伝説上の葛の葉狐のことのようです。四の切に続いての狐ですね。今回は女性の狐。早替りや、障子に歌を実際に書いたり。。歌は子供を抱きながら左手や口を使って書いたりする曲書きということをするみたい。亀治郎さんはどのように魅せてくれるのだろうと思うとワクワクが止まりません。ケレンたっぷりなようですが、子別れの場面が見せ場で母子の情愛も楽しめそうです。
一方’博奕十王’は、博打打ちと閻魔さまが博打をするというお話。とっても面白そう。今年、三代目猿之助さんの芸の継承を意識なさっている亀治郎さんのチャレンジが続きます。ご本人は、まずは猿之助さんの教えのとおり演じるといろいろな場面でおっしゃっています。
’歌舞伎モバイル’のインタビューで、教える三代目のほうは「型を正確に教えつつ、その人に合うように多少アレンジを加えます。そのさじ加減が難しい」とおっしゃいます。同じ澤瀉屋の型でも、亀治郎さん、右近さん(現 右團次)、海老蔵さん。。それぞれアドバイスの仕方が違うのは興味深いです。
今年は9回目を迎える「亀治郎の会」私は第6回の会で歌舞伎を初体験しました。以来、どっぷりハマッています。今年は自主公演ならではの、どんな驚くことをしてくれるのでしょう。国立大劇場で8月19日~21日まで、全6回公演です。私の夏の楽しみです。
aya