2012年 スーパー歌舞伎ヤマトタケル 4

新橋演舞場で上演中の「スーパー歌舞伎ヤマトタケル」を応援する気持ちをこめて、2012年四代目猿之助襲名公演時の感想blogをアップしています。

先日、團子くんが休演になり、Wキャストの隼人さんが全ての主役を演じています。四代目猿之助さんとずっと共演してきた隼人さんには経験値があるので安心しています。ますます頼れる存在になりましたね。

2012年の襲名公演で「ヤマトタケル」は二か月間にわたり上演されました。6月に初めてスーパー歌舞伎を観てハマりました。7月も観に行きました。千穐楽近くからの感想をアップします。


7月28日 スーパー歌舞伎の附け

襲名公演もあと一日です。あんなに待ちこがれていた2ヶ月間があっという間に過ぎようとしています。

スーパー歌舞伎を初めて体験し虜となった私。舞台上、初めて見たり聞いたりするものばかりで、いつも以上に好奇心のアンテナが反応しっぱなしでした。

わかりやすい台詞。。「私は女ではない、男だ~」とか(笑)必要なことを最少限のセンテンスで表現。

お衣装は未だかつて無いジャンルを経験したよう。和と洋というより、歌舞伎と洋という感じでしょうか。オリエンタルな雰囲気もするけど、日本人にしか似合わないような。

とりわけ女形の皆様の着こなしは美しかったです!猿之助さんの赤いお衣装もサイコーに綺麗でした。照明も通常の歌舞伎にはない趣向でとても効果的でした。

スポットライトを使用して舞台転換もコンマ何秒かと思うのですが早くてスムーズ。猿之助さんの表情が引き立ち、ヤマトタケルの心がより伝わりました。

死んでしまう場面の照明やスモークも神秘的でよかったです。舞台中央で息絶えるのは忠臣蔵の勘平を思い出すのですが、歌舞伎でもこれだけ違うのかと驚きのシーンです。

舞台セットも歌舞伎の工夫がたくさんあってエキサイティング。熊襲の屋台崩しは豪快ですし、走り水の海もリアルでスピード感あり感動です。

それに、赤い満月と富士山の背景にキュンとするのです。特に富士は場面で表情が違い好きでした。

そして音。音楽は筋書を見てびっくり!本当にたくさんの楽器が使用されています。ほぼ録音で、笛や太鼓は生音だったのかな。。と記憶が曖昧ですが、お腹の底に響く打楽器のリズム、心に優しく染みる鈴の音。

ラストの謡にあんなに心が反応するのは何故でしょう。今流行の歌よりワクワクしてしまう。一番衝撃的だったのは’附けの音’今まで歌舞伎でショッキングだったのは「法界坊」の双面の附けでした。今回それを大きく上回る衝撃を受けました。

附け打ちの長坂氏は、三代目の頃よりスーパー歌舞伎を担当。以前から彼の附けの歯切れの良さとリズム感、力強さは好きでした。なので今回ヤマトタケルで聞くのを楽しみにしていました。

音が攻めていてお芝居と一体となりとっても自然!役者さんの動きが速い中、突然見得がやってくるのですが、猿之助さんにぴったりと合うのホント気持ち良いです。

見得の後も次ぎの展開が早い箇所が多いのに通常より余韻を感じる心憎さ。焼津の火の場面で、附けの音がない部分でいきなり猿之助さんが見得をする場面の音は凄いです。強くてキッパリしていて、タケルの戦う気持ちが伝わってきます。

何回見てもゾクゾクします。一瞬に集中する緊張感がたまらなく好きです。まるで附けの音が生きているようでした。’附け’だけでなく、役者さんはもちろん、舞台上のもの全てに生命を感じます。

それは、全ての裏方の皆さんも心を込めてお仕事をなさっているから。けっして表には登場せず関わるものに想いをぶつける。。そんな職人魂が大好きです。

猿之助さんがおっしゃっていた「舞台を支えてくださる皆様のおかげ」で実現できた今回の公演。

そういうことを考えながら拝見すると感じることもたくさんあり感慨もひとしおでした。

あと一日。。千穐楽が無事に終了しますように。


7月29日 サプライズなカーテンコール!

大千穐楽に行ってきました!

少し前に終演し今まだ興奮状態です。ヤマトタケルは通常でもカーテンコールがあります。

今日はさすがに拍手が鳴りやまず、
2回目の幕が開きました!

そこには猿翁さんが!!
会場オールスタンディング!

すると下手から梅原先生が!
これには猿之助さんも体全体で喜んでいました。

そして幕。。。のはずでした(笑)

お客さんが帰り支度を整えロビーに向かい始めたころ。

あの音楽が聞こえてきました!
今日は曲をかけて送ってくださるのだなーなんて思っていたら。。いきなり幕が開きました。

拍手してないのに~役者さんから見たら、みんな後ろ向きだったと思う。悲鳴や笑いとともに皆引き返してくる。舞台に向かって押し寄せて集まっちゃった。

私は一列目だったので、のんびりしていたら舞台際まで押し戻されました。さすがおもだか屋!やってくれます!

そして幕。。。のはずでした。今度はお客さんがお返し?のごとく拍手が止みません。またまた開いちゃいました。

でも楽屋に行ってしまった方もいらして舞台はバタバタ!彌十郎さんはあわてて滑ってました。

途中、猿翁さんがユーモアで'帰りなさい'というアクションをして笑わせてくださいました。幕が開くたび役者さんの笑顔が楽しそうになっていくのが感動!あんなに涙と笑いに包まれ、お客さんが自由に動いていたカーテンコールは初めてです!

温かい空間にいられて感謝です。猿之助さんはそばにいるお客さんの目をできるだけ一人一人見ていました。

目があった時、'ありがとう'と口で形を作るのが精一杯で声が出ませんでした。幸せをありがとうございました。


aya


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