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天切り松 闇がたり~闇の花道~

東京公演の幕が無事に上がりました。

猿之助さんと愉快な仲間たち、そして中車さん壱太郎さん石橋正次さんによる「朗読劇 天切り松 闇がたり~闇の花道~」がスタートしました。

16時の回を拝見してきました。PARCO劇場は「薮原検校」ぶりです。座席100%ですが静かで安心な空間でした。感染者が増えている中の公演です。お客も意識が高い方ばかりだったように思います。

思えば、猿之助さんの朗読劇を聞くのは、同じPARCO劇場(リニューアル前)で2012年3月以来です。佐々木蔵之介さん佐藤隆太さん浅野和之さんの4人でした。

今回もその時と同じ、白シャツに黒パンツのお揃いのビジュアル。腰掛けるためのひな壇が、中央と下手に二段づつ。上手にはメインで語る猿之助さんのための小さなブロックが一つあります。

役者さん方は、話の登場順に舞台に出てきて座り、話によって座る位置を変えながら、また、中央前方で体での演技を交えながら熱演でした。他の朗読劇は知りませんが。。猿之助さん方、かなり身振り手振り、立ったり座ったり、床に座る人や寝転がる人。。じっとしていないのでビジュアルも面白かったです。

猿之助さんの女方がないのは寂しかったですが、主人公の松蔵の存在感、一途に花魁に惚れる寅弥は新鮮でワクワクしました。

中車さんは出から私的ツボで何だか笑ってしまった。何もしないで歩いているだけなのに目立つ(笑)さすがの演技で三役演じ分けていました。

このお二人の江戸言葉がすごい!すごいのは知ってるけど、気持ちいいし、時代味あるし、キレキレでいい。江戸っ子の私の血も騒ぐというもの。

壱太郎さんは新境地ではないでしょうか。面白キャラ(たぶんご本人は真面目にやってるかと。。すみません)から花魁まで。猿くんとの姉弟のやり取りは、お互いに見つめながら演技をしていて、切なくて泣けてきた。

その猿くん!喜介さんが体調不良で(大事ないそうですby猿之助)降板し、急遽、忙しい学業の合間に参加が決まったそう。自分のセリフの時に台本から目を離している時が多いのですよね。賢い子とお見受けしましたw

しばらく舞台で見かけない間に16才になり、すっかり美しい青年になっていました。團子系の美少年かと思うので、並んだ姿が早く観たいですw

そして、猿之助さんの松蔵と、その子供時代を演じる猿くんのシンクロ具合に一番心を持っていかれました。

松蔵の語りと、猿くんの姉を亡くした悲しみ。時空を超えて繋がっているのです。これは鳥肌ものでした。ワンピース歌舞伎のちっちゃいチョッパーとルフィ、「荒川の佐吉」で猿之助佐吉が育てる目が不自由な子ども。ああそうだ、いつもこの二人で泣いてきたのだ。今回の猿くんの迫真の演技にも泣かされました。

石橋正次さんは親子共演。息子の正高さん(先月は荒法師をなさってました)とご一緒です。正次さんの永井荷風はしびれました。ラスト、悲しいけど救いがある。世離れした風情が素敵でした。正高さんも威勢がよくてインパクトありました。

澤瀉屋の郁治郎さんの達者さにも驚いて、笑三郎さんのお弟子さんの笑乃亮くんの女方の演じ分けにも驚きました。

今回のメンバーはスーパー歌舞伎Ⅱチーム。私たちにはお馴染みの下川真矢さん穴井豪さんもご出演です。

下川さんはアクション担当の方。YouTubeの猿之助チャンネル「歓喜の舞」を編集した方です。存在感あって演技がお上手。違和感なく溶け込んでいてすごい。

穴井さんはダンスの振り付けをなさっている方。ワンピースでの華麗なダンスが印象的です。最初、この方は誰?だったけど、穴井さんと気づいてびっくり。お声が素敵すぎます。もっと演技が注目されるといいのに、もったいないです。


熱演を聞きながら、何もない空間なのに、目の前は上野駅になったり、花魁道中が現れたり。絵もあったけど動いている情景が見え、人物がすぐそこにいるような感覚に陥り、物語の中へ連れていかれた。三話それぞれの拍手で我に返る不思議な体験でした。

暗闇の静けさ、町のざわめき、灯り、風。。
時代を感じることができ面白かった。

思いのほか泣いてしまい浸っていたのに、猿之助さんの「はい、これから少しお時間を~」で笑ってしまい、猿之助さんが言ったとおり余韻も何もない状態でアフタートーク(笑)

トークの内容は公演毎に違うかもしれませんね。今回は原作をお書きになった浅田次郎先生が客席にいらっしゃり、猿之助さんがご紹介すると、立ってご挨拶してくださった。ものすごい拍手でした。

猿之助さんが進行役で、一人一人を愛のある紹介(笑)そして、作品中のセリフに出てくる初代猿之助の命日が今日だそうで、ご縁を感じると言っていました。何だか鳥肌ものでした。

「命がけで観にきてくれてありがとう。。。僕たちも命がけで。。」

歌舞伎座休演明けから変わらぬ猿之助さんのこの言葉は安心します。前に進むしかない、そうも言っていました。だから私も前に進めるのです。不断の生活で悩む時はこの言葉を思うことが増えました。

9月に中止になったリベンジが叶おうとしています。
愛知、大阪の幕が無事に開きますように。

猿之助さんの’想い’が形になり嬉しい。

楽しい時間を有難うございました。

aya


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