「新・三国志」ふたたび
初日から6日経った歌舞伎座 第一部「新・三国志」を観てきました。
リラックスして楽しめました(笑)初日は私もドキドキしていたのだと実感。と同時に役者さん方も解き放たれたように見え、それぞれのキャラが際立ち、ストーリーが自然に心に落ちてきました。
不思議な感覚になりました。猿之助さんだけでなく、舞台上の一人一人が愛おしくなってしまった。真の悪人がいないのですよね。戦っているけど、皆が人間らしく、どの人物にも感情移入できる部分があるのです。’三谷かぶき’の時のように全員が愛すべき人物。
猿之助関羽は愛の人でした。
ここでは、実は女性である劉備とのラブロマンスが描かれています。見た目クールな猿之助さんの、劉備に対する一途な想いに泣きました。二人きりになり、劉備がふと寂しそうな女性の顔を見せると、それに気づいて、帰りかけるけど戻ってきて隣に座る。手を握る場面は、初日は直視するのに精一杯だったけど(笑)今日は二人の幸せが伝わってきてポロポロ泣けてきた。
言葉は何もなくても、劉備は十分に幸せなんだと伝わってきました。笑也さんの幸せそうな微笑み。そして、猿之助さんも今日は微笑んでいて、初日の大きな表情より好きでした。
死を前にして好きな人の話をし合う場面。猿之助関羽がたまらなく可愛らしい。本当に誰かを思い浮かべながら言っているのかと思うほど素敵。
魂になり劉備を後ろから抱きしめる場面のお顔!この表情が今までのラブシーン(猿之助さんはそんなに回数はないのですが)で一番好き。ここツボでした。
劉備の笑也さんも初日とは違っていました。想像するに、今日のほうが本来なのかなぁと。華奢だけど、戦闘モードになるとめちゃめちゃかっこいい。男装の麗人とはこのことかと。いやいや元は男性だから。。と本当に混乱します。なのに関羽といる時の女性らしさも可愛くて。四代目相手に全く違和感なしです。
中車さんは、もうノッてきましたね。可笑し味あるキャラがシリアスな内容を緩めてくれます。猿弥さんとの場面は笑いが起こり、面白くなっていきそうです。
一番に進化していたのが福之助さん右近さん。
福之助さんは美声だと、改めて思いました。呉の孫権として大胆にギラギラしてきた。軍師の陸遜(猿弥さん)を従え、トップに立つため闘志を燃やす若きリーダー。猿之助さんと対峙する場面も負けてない。見応えあります。
その孫権の妹、香渓の右近さんの出が華やか!劉備との政略結婚にお怒りモードでやってきます。そこで中車さんとの立廻りになります。これがテンポアップして息ぴったりですごい!右近さん美しさ倍増で、舞うような殺陣も美しい。ヤマトタケルの猿之助さんが赤いお衣装で女装して敵陣に乗り込むシーンを思い出しました。
全体にテンポアップしてきたので、私が知るスーパー歌舞伎らしくなってきました。猿之助さんが前の人のセリフに食い気味になったのは面白かったです(笑)
一人一人のことを書きたいけど、またゆっくりと。
三階席で拝見しました。スーパー歌舞伎は全体に猿之助さんが魂を込めていると思っています。頭をあまり動かさず舞台のほぼ全体が見える席が、私にとっては一番ノンストレスです。前回見えなかった部分が全て見えて楽しかったです。
一番の感動は舞台背景の大きな桃の木!これはメディアでも写真が出てたと思うのですが、生で見ると圧巻です。一枚の絵のようでした。舞台の床が黒いので(スーパー歌舞伎の定番)、ラストの桃の木と床一面が花びらになった絵は素晴らしかった。そこに宙乗りで三階席西側から、さらに花びらを大量に飛ばします。
初日より量が増えてませんか?花横ではこんなに飛んでいるとは思いませんでした。ワンピースのクザンのシーンを彷彿とさせるくらい(クザンのほうがすごいけど笑)客席に舞う花びら。三階最前列から見たら舞台は花びらの絨毯、お客の上には西側から中央ブロックまで到達する花吹雪が舞うのです。
歌舞伎座は広い!幻想空間に感動が止まりませんでした。またこのような景色を見ること叶うとは。その中を翔んでいく猿之助さんはかっこよかった。
セリ使いもよく見えて、そのタイミングの絶妙さに悶絶でした(笑)このセリ使いで場面切り替えのストレスがありません。
照明は工夫されていますが、やはり演舞場よりシンプルな感じに思えます。歌舞伎座だからなのか、もともとの演出がそうなのかはわかりません。
お衣装はほぼ全て初演時のものだそう。すごい!
これは歌舞伎座でスーパー歌舞伎Ⅱの上演が見えてきたと思いませんか?観ていたら叶うと思えてきた。これでアクションが入った完全版をセカンドでやってほしい。
もちろん音楽も堪能しました。感覚なのですけど、三階で聞くほうが好みかもしれません。劇場全体に響き渡り、スケールも大きく、ゆったり聞くことができました。歌舞伎座の空間で聞くのは至福です。作曲の加藤和彦さんを思うと胸が少し苦しくなりました。曲で始まり、曲で物語の幕が下りる。ここで加藤さんは生きているし、心の中で生き続ける。
志は’人’から’人’へ受け継がれ生き続ける。仲間や想い人、ともに信じる人たちの中で繋がっていく。今日は一層、猿之助さんの言葉が染みて、そんなことを考えました。
売店で演目にちなんだお菓子を買ったり、食堂の花篭でアフタヌーンティーをしたり。そのことはまた次回に。
このポスターの圧がすごかった。。
aya
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