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歌舞伎座 東桟敷からの眺め

今月は「歌舞伎座定額制パスポート」を利用しています。二階席を一部から三部まで見放題です。お席を選べるので、興味がある角度をいろいろ試しています。

過去、何回か座ったことがある東桟敷。ですが舞台近くの番号は未経験でした。新橋演舞場のサイド席の際は経験あるので想像はしていましたけど。今回、猿之助さんが横を向くお顔を前から見てみたいと思い、東桟敷二升目(一升目は埋まってた)に座ってみました。

「鬼揃紅葉狩」。以前に書いた更科の前が引っ込む前の群舞が前から見たかった。上手にいる幸四郎さんの維茂のほうに向かって、姫姿で鬼の形相で迫るように踊るので、正面席からだと右に向かっていく横の動きに見えます。

私の位置からは、少し斜めではありますけど、ほぼ下に幸四郎さんが見えるので、こちらに向かって猿之助さんが迫ってくる絵になります。これには大興奮でした!猿之助さんを先頭に後ろには6人の侍女を従えて圧巻の群舞。想像していた迫力以上でした。

また、扇の扱いが巧みなことがより伝わりました。猿之助さん自身が扇を見ずに難技をしていたり。それに歌舞伎役者はどの瞬間を切り取っても絵になる、と言いますが、横から見ても然り。更科といい、鬼女といい、横顔がこんなにも素敵とは。

そして、後見さんの動きもよく見えました。更科の前が踊る支度の際、寿猿さん段之さんが整えます。最後に寿猿さんが扇を渡して、猿之助さんが振り向くのが分かり感動でした。鬼女の登場で大セリが二段階にわたって上がってくる様子も見えてワクワクしました。

海老反りも横からは新鮮でした。海老反りの体勢の入り方がすごいのですよ。ここは大好きです。大暴れする振りから、その勢いを保ってグルっとスピーディに後ろを向き、間髪入れず座り、海老反り。この間、一度も止まらない。速い流れの中で、体勢が崩れないのが猿之助さん。澤瀉屋の舞踊ではこういうのは’あるある’ですが、本当にすごい。この間合いにピッタリ合わせてくる幸四郎さんとの息も見ものです。

幕切れ、鬼女の猿之助さんの横顔が最高にかっこよくてシビレました。

東桟敷二升目より

「荒川十太夫」は、花道七三にいる猿之助さんの安兵衛が正面に見えます。そして、本舞台に来ると、猿之助さん越しに松緑さんが見えました。

このシチュエーションが最高でした。何度も見てるのに松緑さんのお顔を前から見たら泣けてしょうがなかった。正面の席から見ると、猿之助さんが客席の方、正面を向いているので、松緑さんは少し横を向いて猿之助さんに語りかける体勢なのです。初めて松緑さんの表情を前から見ることができました。感動。

猿之助さんが奈落に沈んでいく様子も、少しですが長く見ることができました。見えるか見えないかのところまで安兵衛の表情を変化させていく様子は、このお席でないとわからなかったかもしれません。


新しい発見があったお席でした。普段なら正面から見えるお席しか選ばなかったと思います。楽しませていただいています。


aya


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