弥次喜多が帰ってくる 4
明日5日が初日に迫った八月納涼歌舞伎。お稽古開始当初はかなり時間がかかっていたようです。大がかりなのかな。。あの曲がかかるって何かな。。ワクワクしながら待っています。
今までの思い出のシーンを勝手に振り返っています。思い出は美化されます(笑)一緒に懐かしんでいただいたり、観たことがない方には雰囲気が伝わればいいなと思います。
さて、3作目で弥次喜多が死んでしまいました。ここで終わり?と思ったのもなんのその、4作目がやってきました。会見で二人はこれがラストと公言していました。幕開きは映像から。今までの弥次喜多のシーンをダイジェストで放映。もうここで泣きそうでした(笑)明るくなるとそこは’ひまわり畑’で、今までのことは夢の中の出来事だった。何ですと(笑)簡単に死んだことをひっくり返してくれるではないですか。でも嬉しかったです。
なんと猿之助さんが大活躍で歓喜の嵐でした。でも正直言って、ストーリーの覚えがあまりなく。。(笑)私の心に残っているのは猿之助喜多さんのこの言葉。
「信じる心があれば夢は叶う」
喜多さんがあのお顔で言うのですよ。涙が止まりませんでした。喜多さんが皆の夢が叶うと信じて伊勢に向かう姿は、猿之助さんに重なりました。
4作目、私が好きだなぁと思ったのは皆がHappyになるということ。聞いていてちょっぴり恥ずかしくなるような、二枚目的なセリフを真剣に言うおっさん(失礼 笑)たちに胸がキュンとなった。猿之助さんの愛のイタズラも全開でした。
前回、二人にもしてほしいと思った怒涛の早替り。これがきた!早替りは澤瀉屋の得意分野ですが、幸四郎さんも悔しいほど速い。この二人が同時に行う神シーンがやってきたのです。それぞれでは観たことがあるけど、同時は有り得ないと思っていました。
幸四郎さん猿之助さんのもう一つのお役が、盗賊の獅子戸乱武と黒船風珍。トランプとプーチンと読みます(笑)この盗賊が弥次喜多そっくりだったことから早替りしまくりのシーンが発生します。
例えば、トランプ幸四郎さんと猿之助喜多さんが出ている場面で、喜多さんが弥次さんを呼びに行こうとして、トランプが「起こさなくていいから」と焦ってみたり。お互いの都合が悪いようにやり取りして面白かったです。二人の早替りは圧巻でお客もざわつきが止まりませんでした。
また、前作以上の歌舞伎作品のパロディのオンパレードでした。パロディの数はわけわからないくらい。三谷かぶき、W弁天に、骨寄せの岩藤、猿之助さんの石切梶原には初見の時にすごくびっくり!鈴ヶ森、女殺油地獄、一本刀土俵入、男の花道、獨道中五十三驛、四谷怪談、遠見の熊谷敦盛、切られ与三郎。。幸四郎弥次さんの制札の見得なんて最高に格好いい。セリフや形にいたっては、細かく入ってたと思う。私レベルでは到底追いつかない。
大人数シリーズも続きました(笑)「切られ与三」のパロディ。隼人さんの与三郎に、新悟さんのお富。なのに「女殺油地獄」の殺し場になっちゃう。与三郎がひっくり返すのは油ではなく’トロロ’(笑)白い液体がこれでもかと流れてきて、大人数でツルツル転びながらの立廻り。猿之助さん、他の人を引っ張ったり、服を脱がせようとしたり、イタズラ全開でした。
で、たくさん切られた与三郎が、その後、弘太郎さんの藪玄磧(男の花道の眼科医 土生玄碩)によってさんざんなお顔にされ「歌舞伎一のイケメンを返しておくれ」と幸四郎さん猿之助さんを横に言っていたのが笑えました。隼人さん、さすがです。
染五郎くん團子くんもシリーズで一番活躍したと思います。初回時は小学生だったかな。4年間の成長はすごいです。身長も倍になったのではないかと思うほど。弥次さん喜多さんとの親子ネタ、師匠ネタはテッパンで面白く、中車さんが入ってからはW親子ネタなど楽しかったです。
毎回のようにいろんなことにチャレンジしてきた二人。今回は、小汚い雲助になったり、本水の立廻りをしたり。確か本水は團子くんのリクエストではなかったでしょうか。
その本水に猿之助さんも入ったことに驚きました。
一階席最前列の方が水避けのビニールを出したので、くるとはわかっていました。でも、幕の向こうでザーザーと聞こえてくる音にテンション上がりまくり。しかも猿之助さんが入る!ワンピースでも入らなかったのに(笑)水の中で戦う猿之助さんを観たのはいつぶりだろう。これができるほど怪我が治ってる!よかった。。目の当たりにして涙が止まりませんでした。もうこれは予想外でした。
初本水の團子くんが落とした刀を猿之助さんが拾ったりするのも観ました。怪我がないようアシストしているのがたまりませんでした。
そうそう思い出した!イタズラと言えば幸四郎さんも負けていませんでした。鶴松さんのお蔦とのシーンが戦いに!「一本刀土俵入」のパロディ。二階からお蔦が落とすミネラルウォーターの紐を、下から執拗に引っ張る幸四郎弥次さん。お顔が生き生きしてた(笑)力いっぱい引っ張るから、鶴松くんが本気で怒る。鶴松さんのアドリブ力がすごかったです。
旅は道連れ。。出会った人々と旅をともにすることになり、どんどん人数が増えて大勢で伊勢へ。それぞれが夢を持っている。喜多さんは、伊勢に行き目的を達成すれば、皆の夢が叶うとひたすらに信じて進みます。純粋な喜多さんに惚れました。あったかい気持ちになりました。
そして、ラストシーン。寿猿さんが登場してまた泣けた。初演時のラストと同じ光景でした。弥次喜多が花火で打ち上げられる。翔んでいる二人の表情はとても優しかったのを覚えています。Happyな余韻でした。
ラスト回を記念してなのか、イヤホンガイドの幕間放送に幸四郎弥次さん猿之助喜多さんが登場しました。棒読みコントみたいでしたけど(笑)これは借りちゃいましたね。本編では解説員の方がパロディの元ネタも紹介してくれて面白かったです。
ここで話はとりあえず結びとなりました。でも疫病禍となり、図夢歌舞伎として映像で弥次喜多が帰ってきました。どんなに生きる力になったことか。そして、いよいよ歌舞伎座の舞台に二人が帰ってきます!
感染予防対策で客席で声を発してはいけない中、でもやはり笑いたいし、エキサイトしたい。そういう空気の中にいたい。夢を見たい。幸四郎さんと猿之助さんはそれを叶えてくれる人だと信じています。
シリーズを振り返ってきたけど、全く見ていなくても大丈夫です。観ればいろんなことが吹っ飛びます。
演劇界の公演中止が増える中、弥次さん喜多さんは希望の光で心を明るくしてくれるはず。早く一緒に旅がしたいです。ここまで4回シリーズをお読みくださり有難うございました。
aya
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