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坂東竹三郎さん

竹三郎さんが鬼籍に入りました。
私が歌舞伎を観始めてから竹三郎さんを意識したのは、猿之助さんがきっかけでした。猿之助さんの芸談には欠かせない存在で、寿猿さんか竹三郎さんかというくらい。

猿之助さんは竹三郎さんのことが大好きで、竹三郎さんも猿之助さんが大好きなのだなぁといつも愛を感じ、そんなお二人を見るのが楽しみでした。


猿之助さんは「男の花道」の初演時、竹三郎さんに長谷川一夫さんの口伝を教わったと取材で話しています。長谷川さんは映画で主演して以来、舞台でも演じてきた方。長谷川さんに可愛がられていた竹三郎さんは、猿之助さんに口伝を残してほしいと託したそうです。

長谷川さんの美意識に対するテクニックを活かした歌右衛門の猿之助さんは、それまでとイメージが一新された女形でした。

猿之助さんの四代目襲名披露公演では「四の切」飛鳥で出演。襲名披露の巡業大千穐楽の口上で、巡業が終わってしまうのが寂しいと本当に泣いてしまったり、博多座の雪之丞変化ではセリフを忘れて猿之助さんと笑いが止まらなくなったり。

ワンピースの女医さんも素敵で、弥次喜多の赤姫姿や、三谷かぶきのドレス姿はチャーミングでした。


一番印象に残っているのは「女團七」です。2014年秋に行われた二か月間に及ぶ猿之助奮闘公演。10月は新橋演舞場、11月は明治座でした。女團七は明治座の昼の部でかかりました。

2013年に竹三郎さんが自主公演で復活させ、猿之助さんが主役のお梶、竹三郎さんがおとらを演じました。来月の歌舞伎座第二部でかかる「夏祭浪花鑑」の書換狂言です。男女が逆になる。当時、私は観に行っていませんが(チケットがプラチナ!)、これが評判になり本興行で上演が叶いました。

それが翌年の明治座です。この時、猿之助さんは(復活させたのは竹三郎さんだから)竹三郎さんでなければやらない、と言ったそう。とても観たかったので嬉しくて大興奮でした。

夏祭~の義平次と言えば笹野高史さんが印象的で、中車さんも演じています。強欲で性格悪くて、観ながら本当に腹が立つ。竹三郎さんの強欲婆さんも憎たらしくて(笑)猿之助さんをいじめるいじめる。ラストシーンの雨の中の殺し場は切なくも美しく、とても怖かったです。側で観た回は呼吸を忘れるほど。

猿之助お梶が人殺しをして、濡れたまま花道を去っていく。この後の余韻が忘れられません。竹三郎さんあっての猿之助さんの演技でした。

猿之助さんが引っ込んだ後

またお二人で観たいと思っていましたが叶わず。竹三郎さんが、猿之助さんは鉄火な女性が似合うと言っていたのを覚えています。

竹三郎さんは、猿之助さんをはじめ、多くの後輩同輩たち、そしてファンの中で生きていくのですね。

有難うございました。

これからも歌舞伎を観に行きます。


aya

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