市川猿之助 藤間勘十郎 春秋座 花形舞踊公演の旅 Ⅲ
旅の最終章です。
清水五条駅近くにあるホテルに泊まったので、京阪電車で春秋座まで行くことにしました。風は冷たくとも日差しは暖かく、何だか歩きたい気分でした。
出町柳駅で叡山電鉄に乗り換えると懐かしい車両が。茶山で降りて12~13分のんびり歩いて向かいました。
一つ目は昨日は観ることができなかった「乗合船恵方万歳」
劇場がある京都芸術大学開学30周年、京都芸術劇場春秋座開場20周年をお祝いする舞踊です。これは歌舞伎本興行で観たことがあるような。
~隅田川の船に様々な人が乗り合わせます。7人を七福神に見立て、それぞれが芸を披露する踊り~
これはチャレンジ舞踊でした。猿之助さん、ご宗家以外は名題下の役者さん方。こういう機会を作るのが役者さん方のモチベーションアップに繋がりますね。観る側にしても珍しいので興味津々です。
猿之助さんの女船頭、ご宗家の通人はあまり踊りませんでした。上手下手に長い腰掛けがあり、踊らない人はそこで見物です。順番に中央に出てきて踊ります。
澤瀉屋の段一郎さん翔乃亮さん笑猿さんはお顔は知っていますが、播磨屋の蝶三郎さん、成駒家の翫政さんは改めて認識できました。踊りは楽しかったです。もっと面白かったのは、それを見る猿之助さんご宗家の表情(笑)時々、目が鋭くなり師匠の目になる。いやいや女船頭だから。。とツッコミたくなりました。客席全体が温かい雰囲気になって素敵でした。
昨日観た「小鍛冶」がものすごかった!
一日でこんなに体得してしまうとは!歌昇さん種之助さんの才能に惚れてしまった。特に歌昇さんは振り切ってきた。力の限り、限界までやる、そんな気持ちがガンガン伝わってきて胸がいっぱいになりました。
ラスト一回を限界まで。。そんな感じ。体や表情からみなぎるものがあり圧倒されました。まず、表情が全然違いました。顔をしわくちゃにして喜んだり、眉間にしわを寄せて真剣になったり。こんなにクルクル変わる表情の歌昇さんを観るのは初めてです。
三味線や義太夫とも一体感が増し、昨日は少しズレてる?と思ったのが妄想だったのかと思うほど。力の限り跳ね、足拍子を踏んで。お客も熱気を帯びてくるのがわかりました。伝わるのですよね。
驚いたのが刀鍛冶の場面。種之助さんの気迫もすごく、二人の叩き合いが勝負か!みたいな(笑)音ともぴったりでリズムを間違わず完璧にやってしまった。リズムによって、二人が叩き方を微妙に変えているのもわかり、頭がいい方々なのだと改めて感動でした。
ラストまで圧倒されてしまい、幕が閉まっても拍手が続いていました。澤瀉屋の踊りはこれだから(笑)この余韻なんです!猿之助さんの円熟の踊りもいいけど、若手の限界チャレンジ的なギリギリ感もいい。これを本興行でしたら盛り上がるのに。。本気で思いました。そして、二人の自主公演「双蝶会」が観に行きたくなりました。
それに触発されたのか「扇売高尾」も盛り上がりました。
ゆったりと魅せてくださる猿之助さん。体の中から音が鳴っているような妄想をしてしまうくらい心憎い感じ。亡霊の本性を現してからがさらによかった。醸し出す雰囲気を違えて、人で非ざる者全開でした。ずっと見ていられます。この先しばらく踊りは観ることができないと思うので目に焼き付けてきました。
こちらも拍手が鳴りやまず。この舞踊公演はシリーズ化してほしい。三回目もお願いします。本当に楽しかったです。感謝。
終演後は友人たちと四条でランチ。南座前にある洋食の有名店「レストラン菊水」よく前を通っていたけど入るのは初めて。もっと早く入っていればよかった(笑)めちゃめちゃ美味しかった。あっという間に完食です。
旅のラストは三十三間堂へ。
本堂の中がリニューアルされてから訪れていなかったのでお参りです。以前の猿之助カレンダーのプライベート写真も好きでした。天台宗なので、猿之助さんを思い出すシチュエーションがいくつかありました。
お菓子の「亀屋清永」の売店を発見。このお店でしか製造していない清浄歓喜団というお菓子に2年前の京都旅行で出合いました。また出合った。比叡山の阿闍梨様から作り方を教えてもらうという千年前そのままのお菓子です。
お店の方といろいろお話もでき、今回は違うお勧め菓子を購入してきました。法然上人にちなんだ黒砂糖の羊羹「月影」と栗餡の「栗くり」
旅の余韻に浸りながら美味しくいただきました。
猿之助さんの公演を観て旅をすることは当たり前でした。それは最高に幸せなことだったのだな。有難いことに猿之助さんは毎月のように歌舞伎座に出演なさっています。近くにいる幸せも改めてわかりました。
それでもここ2年間、味わったことのない充実感です。心を豊かにすることは、生活に張りを与え、生きている実感を与えてくれました。
楽しいほうへ。
有難うございました。
aya
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