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第28回 稚魚の会・歌舞伎会 合同公演

千穐楽おめでとうございます。

5日間行われました稚魚の会・歌舞伎会合同公演の幕が無事に下りました。今日、拝見しました。昨年は自分の体調不良で観ることが叶わず残念でした。今年は澤瀉屋の喜楽くんが出演するとあり楽しみにしていました。

国立劇場の歌舞伎俳優 養成研修の修了者による稚魚の会、一般の名題、名題下の役者さんの歌舞伎会、二つの会の合同公演が毎年8月に開催されています。普段の興行で主役を務めることがない皆様が大役を勉強する貴重な機会。今年も指導に白鸚さん錦吾さん、多くの方々が関わっています。

演目は「双蝶々曲輪日記」の角力場、引窓。そして長唄舞踊の俄獅子。本興行でもかかる率が高いので、私も何度か拝見しているものばかりでした。

皆さんがキラキラしていました。全力で演じているのが伝わるから泣けてきたし、ワクワクもしました。。普段はこんなにセリフを聞かないから、とても素敵な声をしているなぁとか、表情が豊かだなぁとか、もう感動しっぱなしでした。お客の拍手が大きいのも胸が熱くなりました。

「角力場(すもうば)」の主役である一人、人気力士の濡髪長五郎を喜楽くんが演じました。役柄として、見た目も人間的にも大きさを求められるお役だと思うのです。喜楽さんは長身を活かして、縦にも横にも大きくてびっくりしました。小屋の入口をくぐって登場する時、入口の二倍はあるのではないかと思うほど大きかった(笑)

お客が一瞬ざわめきました。下駄も高いからくぐって立った時は、おおーという感じでした。ワンピースの時に演じた巨人を思い出した。体感としてあれくらい(笑)

でも見た目だけではなく、表情、仕草、声の出し方。。どれもどっしりしていて貫禄でした。声もいい。怒る時も迫力でした。喜楽さんといえば立廻りとか、とんぼとか。もっと演技が観たいと思いました。

対する素人力士、放駒長吉は家之助さん。濡髪との勝負に勝つのですが、相手がわざと負けたと知り怒ります。褒められれば浮かれ、起こる時も爆発的。濡髪に負けじと張り合うところとか、軽々走っていく姿など、親しみやすくて明るくて楽しい。しゃべり方もテンポよくって、声が通る。観ていて全く飽きませんでした。

ボンボンの与五郎は蝶也さん。このキャラが大好きです。蝶也さん、楽しかったです。推しの濡髪にメロメロな感じが、そうそう!となりました。

「引窓」で驚いたのは好蝶さんの女房お早。時蔵さんの門下の方です。時蔵さんの面影もあるし、元遊女という雰囲気もある。それに華があって間がよくて。目が離せませんでした。

ここでの濡髪は松三さん。人殺しをして逃げていますが、優しさと真面目さを感じることができて癒されました。やゑ亮さんの与兵衛はスッキリかっこいい。母親の気持ちに触れて濡髪を逃がすまでのラストは温かい気持ちにさせてもらいました。

母お幸は市也さん。このお役に限りませんが、引窓はベテランの俳優さん勢揃い、みたいな演目です。老け役のお幸は特に難しそう。市也さん、実子と義理の息子の間で辛い思いが伝わりました。とても情熱的に演じていたと思います。

「俄獅子」は楽しそう。それが伝わり、こちらもウキウキ。鳶頭の音蔵さん、音幸さん、翫延さんがそれぞれ個性的で魅力的。芸者の米十郎さんの艶っぽさったらありません。絡む’若い者’の皆様の立廻りがアクロバティックですごかったです。本興行であまり見ない大技があったけど、どなたが。。まで気がまわらなくてごめんなさい。新鮮に楽しめました。普段の興行で主役の皆様は、この方々に支えられているのだと感動しました。


全員が一瞬一瞬を生きていました。お芝居が好きなのだなぁ。いいなぁ。何だか嬉しくなっちゃいました。私は澤瀉屋以外の皆様は、お名前とお顔がなかなか一致しません。。もっと活躍の場があり、実力を発揮できるようになったらいいのにと思います。そして、こういう勉強会の機会が全員に必ずあるといいのに。

いいお芝居を見せていただいた。
知っている古典なのに新鮮でした。
有難うございました。

喜楽さんがTwitterにお写真を載せてくださったので貼っておきます。本当に大きいです。

aya


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