見出し画像

朧の森に棲む鬼 初日

今月もお読みくださり有難うございました。
マガジン「ayaMAGA」の購読をしてくださっている皆様、有難うございます。今月は猿之助さんの誕生月だったので関係するお話をさせていただきました。

さて、歌舞伎NEXT「朧の森に棲む鬼」が初日です。
おめでとうございます。

昼の部、幸四郎さんのライで幕が開きました。
新作歌舞伎の初日が大好物なので昼の部に行ってきました。

新橋演舞場玄関横の大看板

物語や演出には詳しくは触れていませんが、イメージを付けたくない方は、ここから先はお読みにならないほうがいいと思います。



2007年の劇団☆新感線「朧の森に棲む鬼」は、舞台を映像化したゲキシネで何度か観ました。当時、染五郎だった幸四郎さんの憂いを帯びたカッコ良さは、もう一度観たい。。と観るたびに思いました。

叶うなら生で見たかった。それが同じ幸四郎さん主演で17年の時を経て歌舞伎版で叶うとは驚きでした。松也さんとW主演です。

W主演の理由は妄想するしかないけど、俳優さんの安全や体力のことを考えると賛成です。ワンピースの猿之助さんの事故や、コロナ禍のことを想う。

代役文化の歌舞伎にやっとWキャストの概念が根付いてきたのかなと嬉しく思います。観る側にとっても二倍美味しいことになるし一石二鳥です。


満員御礼の初日。

お客のワクワク感がすごかった。熱気あるロビーや客席。いつもの歌舞伎の雰囲気とは違う。。ジャンルを超えた芝居好きが集まった雰囲気で心地よかったです。

幸四郎さんのライを生で観ることができた感動で胸がいっぱいです。歌舞伎でも色悪を演じるけど、ここまであからさまに嘘をつき、裏切り、人を殺し、女性に色仕掛けをするクレイジーな幸四郎さんは初めて。

それでも歌舞伎だなと思うのは、やはり絵が美しいこと。どんなに悪行をし、悪態をついても、幸四郎さんは美しいのです。悪の華を咲かせることができる方。

弟分のキンタは右近くん。やっぱり泣かされた。私が思う右近くん本人の素直さが生かされたキャラでした。もっと大暴れしていきそうな予感です。

何と言っても時蔵さんのツナが美しくかっこいい女性でした。歌舞伎ファンなら想像はできると思うけど、想像以上のクールビューティ。女優さんが演じるより私は好みでした。幸四郎さんの前では恐ろしいくらい女性でびっくり。

華やかさでは新悟さんのシキブが一番!かなり弾けていました(笑)スーパー歌舞伎Ⅱ「新版オグリ」の時も思いましたが、明るく健気でも、どこか憂いがあるように思います。陰陽のコントラストがすごくよかった。

二人はとにかく所作が綺麗。女優さんと歌舞伎俳優の違いがあると思いました。女優さんが綺麗でないということではなく、伝統文化の世界にずっといてお稽古をつんできた女方の所作って清々しいと思っています。二人はそこが際立っていて好きでした。


ベテラン勢の安定感がすごかったです。

彌十郎さんのイチノオオキミは最高!切なすぎる。
片岡亀蔵さんのウラベは場をグッと締めていました。
アラドウジの宗之助さんはインパクトある演技でした。

また、松也さんのサダミツは。。最初は誰が演じているのかわからず(笑)新たな一面を見た気がします。廣太郎さんのショウゲンも面白かった。

すごく驚いたのが染五郎くんのシュテン。

一人、新感線から来ました?みたいな殺陣でびっくりしました。水を得た魚とはまさにこの方。マントプレイが素敵です。毎回のように声に驚いてしまう。とても安定した太い声になってますます大きな俳優さんになってきました。

そして!何と言っても猿弥さんのマダレ!

めちゃくちゃかっこいい。殺陣を見た時「剣さばきが速い!」とワクワクしました。スーパー歌舞伎の、澤瀉屋のスピード。それにピタッと間を持って止まる。

私の大好物な感じの殺陣だから反応してしまう。言葉で上手く説明できないけど、歌舞伎はゆっくりばかりではないのです。猿弥さん自体が澤瀉屋のリズムなのです。観ていたらスーパー歌舞伎を思い出しました。


それぞれの殺陣が面白いです。歌舞伎俳優はどの瞬間を切り取っても美しい。激しい立ち廻りでもそれは変わりません。主役だからではなく、舞台上の全ての方がそうなのです。

今回は新感線のアクションチームも参加しています。全体の印象は新感線寄りなイメージですが、歌舞伎俳優版はひと味違うなという感じでした。


音楽も新感線テイストが多めながら、和楽器が散りばめられて以前の朧の世界観そのままでした。すごいのは幸四郎さんをはじめ、主要な皆様が音にきちんと乗っていること。洋であろうが和であろうが変わらない。

音と動き、言葉の一体感が歌舞伎を感じさせます。音に合っていると本当に心地いいのです。猿之助さんは「そういう世界で育ってきたから理屈ではない」と言っていました。


新作が生まれた瞬間に立ち会えて感動でした。こみ上げるものがあり涙が止まりませんでした。四代目猿之助さんのスーパー歌舞伎Ⅱの誕生を見てきた新橋演舞場です。少しだけ寂しい思いも湧いてきました。

これからどんどん進化していくと思う。キャラも深まっていくでしょう。もう一度、幸四郎さんVersionを見たい気もするし。

その前にまたすぐに松也さんVersionを観に行く予定です。

最高に面白かったので皆様も是非。


詳しい内容の感想は、来月「ayaMAGA」で書いていきます。

まだまだ話したいことがたくさんあります。


今月も楽しい結びになりました。

有難うございました。

aya


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集