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憎悪している食べ物に支配されている体
明らかな拒食症や過食症でなくとも、”過食”に悩んでいる人は多い。
頭ではわかっている。
食べなきゃいい、それだけ。
でも食べずにはいられない。
どうしてやめられないの?何度も自分に罵倒してみてもまったく無意味。
お腹のなかに何か私を支配している存在がいる気がする。
自分の中の何者かに強制的に促されるかのように食べるのをやめられないし、食べ物を探してしまうし、結局は買いに行ってしまう。
また無駄な食べ物でお金がなくなってしまった。
過食は「食べてはいけない」と自分に課すほど「食べずにはいられなくなる」負のパラドックスに陥っているのです。
食べてはいけない?
いいえ、食べていいんです。本当に食べなきゃいけない。
過食は心の病気ではなく完全に体の病気です。
心の病気だと思っている限り一生過食から抜け出せません。
過食は身体の老化を促進し、あなたをとことん惨めな気持ちにさせるでしょう。それが心の問題であることを裏付けているような錯覚にあなたを騙すのです。
体のどこが問題か、臓器はすべて横のつながりがあるので言い切ることは難しいですが、一言でいえば過食の人は”栄養不足”なのです。
人の体は血糖値を上げるホルモン物質が5つあるのですが、血糖値を下げるホルモン物質はインシュリン1つしかありません。
これは生き物の生存本能として完成された形なのです。はるか太古の昔の人々にとっては、食べ物の確保がいかに大変であるかということだったのですが、今は飽食の時代で食べるほどに病気になってしまい、いかに食べないかが重要でもあります。重要なのは、何を食べて何を食べないかの選択。
過食が心の問題と言われるのは、ストレスに起因していることは事実だからです。ストレスは最初に心臓を直撃し、胃、肝臓、肺、腎臓の順番に影響がリレーしていきます。
ストレスを受けるときの心理状況はいろいろありますが、最終的には
「できない、どうしたらいいの?わからない!(プレッシャー、重圧→)私には無理!怖い。(でもやらなきゃいけない、逃げたい。以下くり返し)」がストレスという形に現れるわけです。”逃げたい”という気持ちを太古の人類の本能に置き換えると生命の危機であり、本当に逃げることが重要なんです。逃げるときに起きる体内の状態の一つが ”一時的に高血糖” 状態にすること。動物は逃げるときには瞬発力が必要です。力を出すときは緊張状態なので呼吸が浅くなり低酸素状態になります。それにより高血圧になり、結果的に高血糖状態になるわけですが、諸説では現代人は逃げたいという感覚から自ら高血糖状態に持っていこうとする本能が働いてしまうという考えもあります。人の体は免疫機能によってAIのように学習します。毎年決まって発症する花粉症、同じ時期にかかる同様の症状の風邪など。これは新たな学習を免疫に叩き込むことで繰り返すことをやめられます。免疫機能は肺です。肺の強化が必要ですが、糖類は肺に滋養を与えるのにとても有効です。
また、ストレスを受けることで胃から分泌されるホルモンが乱れを生じますが胃を修復するには糖質が必要です。しかし過食や遅い時間の飲食は胃はもちろん、肝臓腎臓にも負担をもたらします。常に消化を必要とすると体の水のバランス機能を請け負う腎臓が疲弊します。体の水とは血液もリンパ液もすべてです。体液が不足したり体液に老廃物がたまったまま解毒排泄できなくなったりします。体液の状態がよくないと代謝異常が少しずつ進行します。
血液の状態がよくなくて、不足していたら、すべての臓器・細胞は栄養不足に陥ってしまうことがわかりましたでしょうか。
そして体が糖質を欲しているということ。
しかし、これだけ体が疲弊していれば体は ”直ちに糖質を摂取して満たさなければならない” という危機感を作り出し、手間のかかる料理などとてもじゃないけどできないのですよね。
だからそんな状態のときには、身体に滋養を与える漢方薬など頼るのがベターです。加工食品(お菓子、ケーキ、お惣菜)は材料にある糖類はもちろん、食材の質、添加物の種類においても体になにもいいことがありません。なので、あらかじめ漢方生薬から抽出した糖類が調合されている漢方薬を使うことは良い選択です。保険適用で処方してもらってもいいし、慣れてきたら漢方のお店で単味を選んだりお茶を調合してもらうのも非常に有効です。
身体が回復してくると確実に食べたい欲求は以前より明らかに減少します。
”頭では(空腹ではないことが)わかっているんだけど、”の理性がしっかり働いてくるようになります。
あとは、人には惰性があり、で続けてたことは突然やめられない習性があります。過食行為は”ついつい食べちゃう”という惰性でもあります。それを断ち切るためにはまた別の方法がありますが、今回はここまで。