柳田選手が教えてくれたこと
日本シリーズはソフトバンク・ホークスの4勝1敗1引き分けで終わりました。
勝敗だけを見たら、ソフトバンクの圧勝ですが、広島カープもよく頑張りました。非常にハイレベルな戦いで、1歩間違えば流れがカープに傾いた、そういうせめぎ合いのシリーズでした。
MVPはソフトバンクのキャッチャーの甲斐選手でした。
打率1割台での初MVP、育成出身選手で初のMVPでした。
それくらい素晴らしい活躍は、当然称賛に値するものですが、私はソフトバンクのシリーズ制覇を決めたのは第5戦延長12回に飛び出した柳田選手のサヨナラホームランだったと思うのです。
それまで広島カープのインコース攻めに散々苦しんでいた柳田選手の、1球目の見逃し方が今までとちょっと違っておりました。
なんというか、見逃し方がとても静かでした。
何か「見切った」という空気があったのです。
そして次の球を、バットを折りながらホームランという前代未聞のバッティングを見せました。
「お見事!」としか言いようのない勝負でした。
シリーズ終了後に、柳田選手が手記を公開しました。
そこに書いてあることは、まさに人生哲学でした。
柳田選手は、よく「何も考えていない」と言われます。
その事を前提として読んでください。
本文通りではありませんが、
打席に入るまで一生懸命考えて狙いを絞ったら
もう迷ってはいけない。
打てたら、運が良かった。
打てなかったら、運が悪かった。
前の打席の結果がどうであれ、また新しい気持ちで打席に向かう。
そんなことが書いてありました。
私はこれを読んで、清々しい気持ちになりました。