【解説】ソーシャルリスニングとは、SNS上で語られるブランドになるために、語られていない原因を探りに行くこと
SNS上で語られるブランドになるためには、優れた商品・サービスの品質はもちろん、語られるストーリーやエピソード、コンテクストが大事と言われることがあります。
他にもあります。それは「ソーシャルリスニング」を行うことです。
ソーシャルリスニングについて、言葉は聞いたことがあるものの、具体的にどんな目的や手法で取り組んだら良いかわからない人は多いのではないでしょうか?私もそうでした。
ソーシャルリスニングではどのような課題が解決できるのか、どのような手順で取り組めば良いのかを解説いたします。
(このnoteは、ホットリンクの共同運営マガジンのコンテンツです)
ソーシャルリスニングとは
ソーシャルリスニングとは、「ソーシャルメディア上に書き込まれている生活者の投稿をもとに、マーケティングや改善活動に活かしていくこと」を指します。
ソーシャルメディア上には生活者の正直な声が投稿されています。 生(リアル)の声が集まっています。
そこには商品に対する好評の声もあれば、改善要望やクレームに近い声もあるかもしれません。ひょんなことから、商品をもっと認知してもらう方法や、消費者をより満足させられるヒントが眠っているかもしれません。
SNSが購買に影響を及ぼすようになり、ソーシャルリスニングの重要性は高まる
SNSの利用者数が増え続けています。
このようなSNSによるクチコミ最大化の重要性がわかるデータも出ています。
SNSの利用者数は、2018年度末には7,486万人に達すると予測されています。(出典:ICT総研「2016年度SNS利用動向に関する調査」)
商品購入時に参考にする有効な情報源として、47.1%の人々が「SNSの投稿・写真」を挙げています。(出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
「商品やサービスの検討でクチコミを参考にする」と答えた人は20代で71.4%。50代でも約50%に及びます。 (出典:平成29年版 消費者白書)
旅行前にトリップアドバイザーを見たり、飲食店選びに食べログを見たり、映画の評判をSNSで確認することは当たり前になってきているのがわかると思います。
SNS上で自社名や商品名がどのように語られているのか、どのように友人・知人間でクチコミがされているのか、どのくらいの量のクチコミが出ているのかを把握することが、マーケティング上でとても重要になってきています。
SNSが生活に浸透していくにつれ、ULSSASの図にもあるとおり、購買前にSNS検索することが珍しくなくなっていきました。
SNS上のクチコミがマーケティングに大きな影響を及ぼすようになり、購買にも大きな影響を及ぼすようになってきているのです。
ソーシャルリスニングで解決できる課題
ソーシャルリスニングの活用領域は、SNSのアカウント運用や、炎上対策にとどまりません。
ソーシャルリスニングの目的は様々で、エンタメの世界から政治の世界まで、活用範囲は幅広いです。
主には攻めの「マーケティング活用」と守りの「ソーシャルリスク対策」の2つに分類できます。
様々な利用目的がありますが、代表的なものがこちらです。
このnoteでは、「UGC創出のための分析」「プロモーションの効果測定」について紹介します。
代表的なユースケース①:UGC創出のための分析
SNS時代のアテンション獲得方法として「UGC」の活用が効果的です。
私たちが保有するデータや成功事例からも、UGCが増え、指名検索が増え、売上が増えていくことが分かっています。
※黄色のグラフがUGC数
そのため、UGCを増やすため に、どのように言及されているのかを把握することで、次の打ち手が考案しやすくなります。
さらに、どのような施策を行ったらUGCが増えるのか減るのかを、ソーシャルメディアのデータを見ながら検証することです。ULSSASを回していくためにも、どのようにクチコミがされているか、UGCが生まれているかを確認しています。
単なる現状把握ではなく、次のアクションにつなげるためのソーシャルリスニングです。
Google Analyticsを見てコンテンツやコミュニケーションを調整するように、UGCの発露の具合を見て調整していきます。
UGCとは:「User Generated Contents(ユーザー生成コンテンツ)」の略で、インターネット上でユーザー自身で自 然発生して投稿されたコンテンツのことを指す。Twitterやブログ、掲示板の投稿など、ユーザー自身で投稿さ れたコンテンツのこと。UGCの中でも、ブランドについて言及されたものはクチコミと呼ばれる。ハッシュタ グキャンペーンによってクチコミを増やしたり、思わず言及したくなるような投稿をすることで増やすことが できる。「ULSSAS」が回っていけば、高いマーケティングROIでのアテンション獲得が可能となる。
UGCのメリット:UGCはブランド発信の情報ではなく、第三者の生活者による発信のため、情報の信頼性が高いです。
そのために態度変容につながりやすかったり、企業主体の発信とは異なり、共感されやすい特性をもつため、 コンテンツがシェアされやすく、多くのアテンションを獲得しやすいメリットがあります。
代表的なユースケース②:プロモーションの効果測定
キャンペーン実施後(CM公開後など)の製品名の言及数がどう増えたかどうかで、認知拡大に成功したかや、ブランドが会話に出てくるような存在になれたかどうかを確認することができます。
Google広告やYahoo!広告のようにCPAやCV数が明快にわかる媒体ではなく、アナログ施策や直接的に結果の数値が見えずらいキャンペーン施策の反響を、ソーシャルメディア上のクチコミ数や他の指標と組み合わせることで(CM露出量とクチコミ数の関係や、指名検索数とクチコミ数の関係など)、何がドライバーとなって各数値が伸びていったかの効果の類推が可能になります。
また、ソーシャルメディアの反響を見ながら、 速やかに宣伝内容をチューニングすることにもつなげられるメリットがあります。高速PDCAサイクルの実現です。
ソーシャルリスニングの事例
手前味噌ですが、明星食品株式会社様とUCCホールディングス株式会社様の事例をご紹介します。
『新商品開発は、市場環境と技術シーズの融合により、新しいベネフィットの発見や消費者ニーズの発掘を目指して行われています。最近は「一人十色」と言われるほど多くのニーズが複雑に絡み合った難しい市場環境になっています。その際、重視しているのが、ネットの口コミです。口コミは生きた情報であり、リアルタイムなコミュニケーションとして位置づけていますので、ブランドリニューアルやラインナップ商品のコンセプトメイク時に、BM(ブランドマネジャー)やマーケッターが注視しています。また、品質設計時の方向性や驚きのある提案ネタとしても活用しています。隠れた声を探しだし、サイレントマジョリティーとならないように、ユーザー満足度の指標としての利用もしています。』
『ソーシャルメディアに出てくる声は、一時的な消費者調査とは違うデータが出てきます。口コミは「長く聞く」必要があると思っています。これは、「定期的によくある声」「時々出てくる声」を拾うためのものです
たとえば、時々「妊娠期間はカフェインレスのコーヒーが飲みたい」という要望があります。これは、カフェインを控えたい時も上島珈琲店を訪れたいという、うれしい声なんですね。カフェインレスコーヒーのメニュー化は検討中なのですが、アンケートなどのマーケティング調査ではなかなか出てこない、長い間「口コミ」をフィルターをかけないでデータを見ていると気が付く、「ちょっとした本音」が実は大切なのです。』
ソーシャルリスニングの具体的なやり方
まずは自社ブランドがソーシャルメディア上でどう言及されているか気になってきますよね。
簡単にできるソーシャルリスニングの方法としては、ソーシャルメディアの各媒体で検索してみることです。 Twitterの検索窓に自社ブランド名を入れてるエゴサするのが一番簡単です。
他にも、QAサイトや掲示板で検索するのも良いでしょう。
ただし、無料ツールでは、
・抽出できる情報(一般ユーザーに公開されているデータ量)に限りがある
・クチコミを収集するに膨大な時間を浪費してしまう
・有用な情報を得るするまでにノイズが多い
・分析するにもデータの整形に一苦労する
などの問題もあります。
小規模な事業ですと、ブランドワード検索のいわゆる「エゴサーチ」で拾えるかもしれませんが、年間消費量や取り扱い商品数が多い場合には、クチコミの数も膨大になりやすいため、クチコミの確認作業には膨大な時間を要します。
そのため、無料ツールだけではどうしても限界があり、それら課題を解決できる「クチコミ@係長」などのソーシャルリスニングツールをうまく活用して、膨大な情報の海の中から目的に応じた情報を抽出し、分析していきましょう。
1週間の無料トライアルもできますので、まずは触ってみていただければと。
クチコミ@係長を用いたクチコミ分析例はこちらです。ご参考にされてみてください。
上手に日々のマーケティング活動に取り入れていれていくには
ソーシャルリスニングは、「百聞は一見にしかず」「習うより慣れろ」と言われるように、まずはやってみる方が理解は早いですよね。
前述のようなSNS検索でどんな風に投稿がなされているかを、まずは確認されてみると良いと思います。
以上、ソーシャルリスニングについて重要となってきている背景や活用例などと合わせてご紹介しました。
うまくソーシャルメディアマーケティングを取り入れて、新規顧客へのアテンションやインサイト抽出につなげていきましょう。