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遺伝子組換え作物の安全性

主観的なリスク,すなわち「不安」というやつがいちばんやっかいなんですね.たとえば遺伝子組換え作物(大豆やトウモロコシなど)について1,000件の文献をレビューした結果があり,健康や環境に害を与えたというエビデンスはゼロでした.それでも遺伝子組換え食品はなんとなくイヤという思い込みがあります.

遺伝子組換えなどは自然界では頻繁におきています.ひとのおこなう品種改良では一度に何百個の遺伝子が変化しています.遺伝子がかわるということではおなじですが,1個の遺伝子があわる遺伝子組換えのほうをひとは嫌がるのです.化学的にみてこれほどナンセンスなことはありません。不思議ですね.

専門家はほぼ全員が遺伝子組換え食品は安全と考えていますが,一般市民ではその割合は37%という調査結果があります.これはあきらかにリスク認知の問題です.科学的な客観リスクと,一般市民の思う主観リスクのあいだにおおきな乖離があり,いくら専門家が科学的な説明をしても通じないという問題です.

これは福島原発事故後におきていることにも共通していて,たとえば処理水放出が科学的にまったく問題なくても,それに主観的に納得しないひとがいます.コロナパンデミックで無症状のひと全員にPCRをおこなうことが医学的に無意味と説明しても,不安だから検査をさせよと主張するのもその裏返しです.

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