新潟県警察との交通安全活動を振り返る
これまでに警察庁長官賞や内閣府オープンイノベーション大賞審査員特別賞など、外部からも高い評価を受けてきた新潟県警察と村山研究室の取り組みです。
どのような出会いがあり、どのような取り組みをしてきて、そしてこれからどのようなビジョンがあるかを振り返りながらまとめていきたいと思います。
2015年の出会い
新潟県警と交通安全活動に取り組むことになったのは2015年のことです。
高齢者の交通事故が減らないということで研究室に相談がありました。
運動機能やなどを研究テーマに取り組んできたこともあり、様々な視点で交通事故を抑止できるのか一緒に考えることになりました。
歩横断歩道歩行シミュレータわたりジョーズ君
三面スクリーンにCGの模擬道路を再現し、実際に横断しているような感覚で道路横断中の危険性を体験できる装置です。
体験者の身体運動・動作のタイミングを測定して、自分の歩行能力や判断能力を確認でき、リプレイ映像で安全な横断方法を身につけることができます。
2016年から『交通安全教室✕健康教室』がスタートしました
今や新潟県の交通安全教室の定番のスタイルとなっている交通安全教室✕健康教室は2016年からスタートしました。
当時の高齢者の一日といえば、午前中は健康教室、午後からは交通安全教室と同じ高齢者が一日のスケジュールがを教室で埋まることもありました。
そこで私たちは交通安全教室と健康教室を一緒に開催するというスタイルを考えたのです。
阿賀町で実施した運動機能測定
最初の交通安全教室✕健康教室を実施したのは阿賀町です。
その当時、阿賀町にて健康保養プログラムの作成を行っていたので、その繋がりのなかで実施が決まりました。
ここでも『つながり』がポイントになっています。
小千谷市での運動機能測定
定期的に行うミーティングでの意見交換会
定期的な意見交換を行ってきました。
地域の方を踏まえて協力者を募ったり、運動機能測定の結果を共有する時間を作ったり、こういう時間が信頼関係を築くことになったのだと振り返っています。
NUTSの結成
2016年、交通安全サポーターNUTSが誕生しました。
ここからたくさんの物語が誕生することになります。
そしてNUTSからはたくさんの警察官も誕生しています。
交通安全教室や交通安全イベントでの連携
佐渡市での交通安全活動
タニタのザリッツを使用した下肢運動機能の測定
私たちが運動機能測定で用いている機器はタニタのザリッツです。
椅子から立ち上がるだけで、パワー、スピード、バランスの計測ができます。
新潟県警察免許センターを利用した運転実験
私たちは運転研究に携わっていますが、実車両を用いた実験には免許センターを使用しています。
そのおかげで研究が進んでいるのですが、全てはこれまでの信頼関係での環境整備ができているということです。
ここまで築いてもらった先輩たちと県警のみなさんには感謝しています。
交通機動隊の運転動作分析
新潟県警察の交通機動隊は全国大会でも優勝するほどの技能の高さです。
交通機動隊員の活躍
運転技能の分析に関わって頂いた皆さんが全国白バイ安全運転競技大会で優勝しました。
少しでも一緒に時間を過ごせたことを嬉しく思います。
可搬式オービスの導入の調査に協力
可搬式オービスは、通学路や生活道路での事故を防ぐため、警察庁が全国配備を進め、これまで新潟県を除く46都道府県で導入されていました。
新潟県での導入を目指して、調査に協力しました。
新潟大学にて交通教室を開催
新潟大学の学生たちの前で交通安全講義を担当してもらいました。
体操で交通安全活動
ゆっくり行こう体操
歌手のツネイさんが歌を担当し、私たちが体操を考えた『ゆっくり行こう体操』
楽しく簡単に覚えることができます。
YouTubeでも見ることができるので、みなさんで一緒にやってみませんか。
交通安全のうた ~みんなでまもろう NIIGATA~
この楽曲は、県警交通企画課と、新潟大学交通安全サポーターNUTS(ナッツ)が共同で制作したもので、交通安全への思いが込められています。
そして、学生たちがこの楽曲に合わせた体操「NUTSはつらつ体操」を考案しました。
この歌をうたって、体操で体をほぐして、交通事故に遭わないようにしてください。
歌詞は「歩行者」・「運転者」・「自転車」など、道路にいる全ての人が守らなければならない「交通ルール」を歌っています。
曲は子どもや高齢者にも歌いやすく、動きやすい「ゆっくりめのテンポ」になっています。
体操は歩くため」・「転ばないため」に重要な「股関節」の可動域を広げ、年をとるごとに固くなる筋肉をほぐすため、大きな筋肉を使う運動です。
また、リズミカルな運動により認知機能の向上が図られます。
春の交通安全運動・秋の交通安全運動 交通警察隊出発式
秋の交通安全運動交通警察隊の出発式には毎年参加させて頂きます。
交通警察隊みなさんの勇姿には見惚れるばかりです。
2022年には歌手のツネイさんと共に『ゆっくり行こう体操』をお披露目しました。
2023年には明訓高校書道部のパフォーマンスを見ることができました。
ときには学生がひかるくんに返信することもありました。
様々な形で取り組む交通安全啓発活動
様々な形での交通安全活動を実施しています。
アルビレックス新潟のホーム試合ではハーフタイムに練り歩きもします。
活動を通じてたくさんの人たちに出会うこともできました。
2021年3月28日、めざせ!事故ゼロデー
新潟県警察のYoutubuチャンネルで活動の様子が紹介されました。
新潟県警察交通課長等会議での講演
平成31年1月25日、新潟県警察交通課長等会議にて村山准教授による講演がありました。
演題は「行動科学と社会デザインから考える交通事故抑止とロードレイジ対策」です。
村山准教授が高齢者交通事故防止アドバイザーに就任
2023年には村山准教授が新潟県警察から高齢者交通事故防止アドバイザーの任命を受けました。
村山准教授からは様々な形で情報発信することを期待されています。
樺澤茉宝が西警察署評議委員に就任
大学院生の樺澤茉宝が西警察署の評議委員に就任しました。
新潟大学生からは初の委員となります。若者の視点で交通安全に対しての意見を伝えることが役割になります。
研究室の取り組みが交通事故抑止につながる