事前確定届出給与の【融資】からの視点
おはようございます。
【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。
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■昨日は、
今月が決算である法人に対する
節税対策として、
【事前確定届出給与】
という
役員に対する賞与を支給する方法を
お伝えさせていただきました。
この
事前確定届出給与については、
『法人での節税』
という観点もあるのですが、
今日は
『銀行融資』
という観点から、
少し入り込んで
お話を続けていきたいと思います。
■私は、
決算に際しての
お打ち合わせにあたり、
節税対策ではなく、
【決算対策】
という言葉を
使わせていただいています。
これはひとえに、
決算の目的は
税金を減らすだけではなく、
経営の状況を強固にするため、
または
強固であることを示すための対策
としての意味合いも
含まれるからに他なりません。
■今回決算対策に臨んだ法人は、
新型コロナウィルスの影響により、
資金繰りが
ままならなくなってしまい、
法人からの
借入はもちろんのこと、
個人でも
借入をしている状況で、
何とか資金繰りを改善しよう
と必死になっていた
経営者の方でした。
そのような状況ですので、
法人に入ってきた売上から、
自分に対して支払う
役員報酬のほかに、
別に法人の現金を下してしまった
蓄積として、
会社が
その代表者である役員に対して
【お金を貸付けている】
という状況に
なってしまっていました。
決算書の科目としては
『役員貸付金』
などという
名目で計上されている
という状況になります。
■この
【代表者に対する貸付】
というものは、
金融機関が
最も嫌うものの一つなのです。
と言うのも、
それが決算書に表れていると、
「どうせ
融資をしたとしても、
これはこの代表者の貸付金の
返済に回されるんでしょう?」
といったように
金融機関は考えますよね。
そのような事情から、
基本的に
【役員貸付金】
がある決算書は
銀行の心証が
すごく悪くなってしまう
わけなのです。
■それを改善するため、
私が提案させていただいたのは、
節税対策として
【事前確定届出給与】
…つまり代表者に対する
賞与を支払うとともに、
法人から個人に対して
その支払った賞与を
すぐさま今度は
個人から法人に
戻すようにしましょう
ということ。
■こうすることにより
法人からは、
『賞与』
という経費の名目で
現金を
代表者個人に移すことができ、
その後
代表者個人から
法人へ現金を移動することにより、
今溜まっている
役員貸付金の残高が消えていく
というカラクリになります。
■単純なお話なのですが、
この一つの動きによって、
決算書は大きく改善されてきます。
金融機関に提出する決算書は、
一年間の結果を示す
『貸借対照表』と
一年間の経営成績を示す
『損益計算書』
から成り立っており、
金融機関が重視するのは
どちらかと言えば
その瞬間の状態を示す
【貸借対照表】
なんですよね。
■そのようなことから考えると、
その決算日現在において、
きれいな経営の
健康状態を示すべく、
『貸借対照表』を
しっかりと整えていくことが
極めて重要であると言えます。
■節税対策ばかりに
目がいってしまうと、
こういった面での
トータルの決算対策が
おろそかになりがちなもの。
法人の決算にあたっては、
しっかりと
節税対策ではなく、
【決算対策】
を行うことが
本当に大切なことなのです。
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《本日の微粒子企業の心構え》
・法人の決算において必要なのは、
単に税金を減らす節税対策だけでなく、
それを含めたトータルでの
【決算対策】である。
・金融機関の評価は特に
【貸借対照表】によって決定するため、
決算日現在における貸借対照表を
きれいな状態に整備しておくことが
その後の金融機関の評価にとっては
すごく重要であるものと心得るべし。
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今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。
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起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹
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