【連載詩集】No.2 01110101010100110010100110101000010101010010101010101100011010101010101001111010101010101010101110101010101010101011
なんだか、
人間性の薄皮一枚で、
どうにか今日も生きているような感じだ。
パソコンに向かい、
平然とタイピングして仕事をしている僕は、
まるで機械のようである。
電脳が稼働している。
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窓の外から蝉の声がする。
太陽の日差しが眩しい。
平成最期の夏の到来は、
あまりにもしずかで、
ひんやりとしている。
僕はあなたに触れたときのことを想う。
「バタフライエフェクトがはじまる」
と、あなたは言った。
そのことばを聴いた時、
僕は牧歌的な希望を持った。
孤独の終焉、
あるいは、
人としての温かな営み、
そうした、
月並みな、
どこにでもある、
尊い、
「ふつう」とされる、
優しい、
健気な、
青々とした、
大地のような、
「生活」
そうしたものに、
想いを馳せてみたのだ。
電脳が稼働している。
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窓の外から蝉の声がする。
太陽の日差しが眩しい。
平成最期の夏の到来は、
あまりにもしずかで、
ひんやりとしている。
嗚呼、黒い揚羽蝶。
あの、三輪山で見た、
美しい揚羽蝶は、今夜、
どこで眠っているのだろうか。
山頂を目指し、息も絶え絶えに登る僕を、
導いてくれたのは揚羽蝶だった。
ひかりがまぶしい。
山頂についたとき、
青い太陽と、黒い揚羽蝶と、赤々と茂る森と、
山の凛とした空気と、山頂まで到達して充実した顔をした人々と、
空中を漂う見たこともない虫たちの羽音と、
神々の残した石が、僕を待っていた。
「バタフライエフェクトがはじまる」
あなたは、たしかにそう言った。
温かい身体、そこにたしかにあなたはいた。
僕はあなたのその身体に触れた。
遠かった。なぜだ。
——なぜ遠いんだ?
そこにいるはず。
——近くて、遠い。
近くて、遠い。
触れられる場所にいるはずなのに。
——遠い。
電脳が稼働している。
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窓の外から蝉の声がする。
太陽の日差しが眩しい。
平成最期の夏の到来は、
あまりにもしずかで、
ひんやりとしている。