クレドール・メンドーサ・フィリオ&ジュリアーノ・ドルネレス監督・脚本の映画「バクラウ 地図から消された町」レビュー「ジョン・カーペンター監督の楽曲と同監督の『要塞警察』に大いなる敬意を捧げたブラジル版『要塞警察』がコレだッ!」
ブラジルの辺境の村バクラウでライフラインが次々と切断され
村外れの農園で一家が皆殺しにされる。
誰が何の為にやっていようが関係ない。
村の主権を侵害され,村民が虐殺された事が問題だ。
やられたら…何が何でもやり返さねばならねえんだよッ!
青年団のリーダーは村出身の凶状持ちと復縁し,
村全体で武装し「見えない敵」と戦う決意を固めるのだった…。
「見えない敵」は全員銃で武装し…
超遠距離から狙撃して来る恐怖を醸し出している。
ジョン・カーペンター監督の「要塞警察」で
移転間際の警察署が非行少年グループの報復で襲われ,
警官と収監中の凶悪犯が一時協力して籠城する。
カーペンターを敬愛すクレベール監督は警察署を村に,
警官を村の青年団リーダーに,凶悪犯を村出身の凶状持ちに,
黙って狙撃して来る非行少年グループを
「見えない敵」に置き換え本作を製作し,
編曲の一部をカーペンター本人に依頼したと言う。
本作は…ブラジル版「要塞警察」なのだッ!
エンドロールに「編曲ジョン・カーペンター」を確認出来る。
スタンディングオベーションすべし!
僕が本作で一番好きなのは「見えない敵」…。
白人が「原始人」と侮ったバクラウ村民に反撃され,
大怪我して涙目になりながら自動翻訳装置を介して命乞いする場面。
本作といい「食人族」といい白人が土人と侮った相手に
猛反撃される映画を観ると溜飲が下がる。
「要塞警察」と「食人族」が両方ともスキな僕にとって御褒美の様な映画。
「見えない敵」の頭目は何とウド・キア!
ウドが村の青年団リーダーと凶状持ちの前に引っ立てられて
必死に命乞いする場面は
人生の節目節目で思い出したい名場面と言える。
本作の難点は「尺が長過ぎる」コト。
カーペンターを尊敬してるなら現行の130分以上ある尺を…
映画の尺を90分に納めるカーペンターの作劇技法を学び取るのだ。