映画「吐きだめの悪魔」ブルーレイ(おなかいっぱい吐きそうエディション)レビュー「お母さんあんなに『買っとけば?』って聞いたでしょう?もう知りません!」
映画「吐きだめの悪魔」の原型は約15分の同名の16㎜フィルム。
スラムの酒店の地下で見つかった1951年製の「サンダーバード」という
銘柄の酒の入った瓶がダンボール箱の中に詰まっていて
店主は毒見もしないで1本1ドルで売り始める。
とは言え「客」はスラムの浮浪者ばかりで
皆金も払わずに万引きして飲むと…
絵の具の様な色とりどりの体液を体から垂れ流し…
足が溶けて白骨化し…全身から絵の具を垂れ流しながら
ドロドロに溶けて行く…。
言ってしまえばソレだけの作品なのだが…
凄まじい溶解描写が好き者のハートをキャッチし…
僅か15分の間に実に6人溶けると言うハイペースぶりだ。
この16mmフィルムにホームレスの立場から
「社長」「リーダー」「ボス」「エグゼクティブ」「警官」…
つまり人を上から目線で見ながら
威張り散らす奴等に中指を立てる反骨精神を加味して
約100分の映画にしたのが本作となる。
酒の銘柄は何故か「サンダーバード(雷鳥)」から
「ヴァイパー(毒蛇)」に変わっている。
…とは言え本作の見所は依然として凄まじい溶解描写であって
16㎜フィルムより数段溶解描写に力が入っている。
映画は…「原型」こそが重要であると言うのなら
余計な「話」のない約15分の16㎜フィルム版を
観れば事足りると言えるだろう。
本円盤の特典に収録されているので好きなだけ鑑賞して欲しい。
本作のDVDはスティングレイ社から出て一時廃盤となり…
その後マグザム社から本ブルーレイが出ている。
DVDの特典は全てブルーレイに引き継がれ…
新規特典も収録されている。
ブルーレイの特典とは…
こうでなくてはね…。
字幕はDVDから引き続き
字幕翻訳者の良心・落合寿和氏が務められ…
DVDからの乗り換えも実にスムーズ。
この手の実に毛色の変わった映画の円盤は…
在庫が潤沢にあるうちは全く売れない宇宙の法則があり…
本ブルーレイが半額で投げ売りされているのを保護した次第。
その後廃盤になると…
この手の実に毛色の変わった映画の円盤には…
大変なプレミアが付くと相場が決まっており…
「買えない買えない~」
との怨嗟の声を聞く度に…
「お母さんあんなに『買っとけば?』って聞いたでしょう?」
「もう知りません!」
と聞き分けの無い子を叱る母親の心境となるのである。