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映画「フルイルティ 妄執」レビュー「父親が神の啓示を受けて人を殺し始め「オマエも手伝え」と言われた子供の恐怖を描いた佳作です。」

テキサス州ダラスで斧でアタマをカチ割らせる連続殺人事件が発生した。
共通点は殺害現場に
「ゴッド・ハンド」(神の手)と書き残されていることだ。
ある嵐の夜,事件を担当する
FBI捜査官ドイル(パワーズ・ブース)の元にひとりの男が訪れた。
彼はフェイトン・ミークス(マシュー・マコノヒー)と
名乗り事件の真相を知っているという。
フェイトンが少年の頃,優しく頼もしい父親(ビル・バクストン)が
ある日,「神の啓示を受けた」との妄執に取り憑かれ
「神罰代行人」と化し次々と「悪徳を成す人々」を斧で裁き始める。
父親は長男フェイトンと,次男アダム(ジェレミー・サンプター)にも
「神罰執行人」の仕事に協力するよう強要して来たと言うのである…。

一見アタマのイカレた父親と父親に盲従する次男に嫌気が差した長男が
警察に身柄の保護を求め「真相」を明かす「告白映画」の体を取っているが,
勿論「それで済むハズないじゃん」のが本作のキモとなっている。
本作は父親がある日神の啓示を受けて人を殺し始め
「オマエも手伝え」と言われた子供の恐怖を描いた作品なのだ。

本作品の監督は「エイリアン2」で
海兵隊員ハドソン役を演じたビル・バクストン。
本作品では監督業と共にフェイトンとアダムの父親役も演じている。
僕が本作品の存在を知ったのは僕が敬愛して止まない漫画「ナポレオン」で
ゴア描写満載の漫画を描いておられる長谷川哲也先生が
本作品を「とても怖い映画」と紹介されていたからだ。

実際に視聴してみるとゴア描写が売りの映画ではなく
低予算を逆手に取った父親とふたりの息子の心理描写に重きを置いた
サスペンス映画としての「怖さ」を指向する作品であった。

僕の本作品への評価はディスカウントショップでワゴン売りされている
中古DVDの山の中から「思わぬ掘り出し物」を発見した感覚に近い。
まあ有体に言えば「佳作」となる。
過度な期待をしなければ,それなりに愉しめる一品である。

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