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映画「ビヨンド・ザ・ダークネス 嗜肉の愛」レビュー「アイリス,青いのを回すのよ!」

親の遺産を相続して深い森の中の屋敷で暮らすフランク(キーラン・カンター)の趣味は剥製作り。
彼には美しい婚約者アンナ(シンツィア・モンレール)が居たが家政婦アイリス(フランカ・ストッピ)は財産目当てでフランクと結婚する為に,アンナをブードゥ呪術で病死させる。
悲嘆に暮れるフランクは思い余って墓を暴いてアンナの遺体を持ち帰り,内臓を喰い「ガワ」を剥製にして寝間着を着せて添い寝するのであった。
だが確かにフランクの「清らかな純情」は満たされるかも知れないが,
これでは彼の滾る「肉欲の衝動」が一向に満たされない。
そこで彼は若い女をナンパして自宅に引っ張り込み,2つ並べたベッドの1方にはアンナの剥製を寝せ,もう1方では若い女との性交渉に励むという霊的も満たされ,肉欲的にも満たされる一挙両得の名案を思い付く。
励んでる最中に若い女がアンナの剥製に気付いたら死んで貰うしかない。

このね…「生と死」「肉欲と純愛」が無造作に並べられてる
「雑な所」が好き者を捕えて離さない本作の魔性の魅力なのだ。

アイリスはフランクの所業にドン引きしつつもフランクと結婚して財産をせしめる初志を貫徹すべくフランクが殺した若い女を肉切り包丁でバラバラにして酸で溶かし証拠を隠滅する日々が続くのであった…。

粗筋を読むとさあ,フランクがロクデナシに見えるだろうけど,
アイリスも大概でアンナを失って悲嘆に暮れるフランクに「ママのオッパイを吸いなさい」って自分の乳を吸わせたり,
フランクが勃起すると性処理してあげたり,
フランクが殺した女を肉切り包丁で解体して酸で溶かした後に雑炊(リゾット)をガツガツ喰って,
それを見てたフランクがゲロ吐いたりと,財産欲しさとは言え,
よくまあそこまでやれるもんだと思う訳です。
ロクデナシ同士,いいコンビだと思います。

でも苦心惨憺してフランクから結婚の言質を取り付けると大喜びして,親戚縁者を集めて腕に振るって料理を作り祝勝会を開いたりと「可愛いところ」もあるんですよアイリスは。
青いのを回すのよ!

「猟奇」って概念は江戸川乱歩先生と共に死滅したと思ってたのですが,
どっこい生きてるシャツの中ですね。

映画「ブラッド・ピーセス 悪魔のチェーンソー」の脚本書いたひとりのジョン・W・シャドーは本作の監督を務めたジョー・ダマトの変名仕事説があって,そう言われりゃあ本作の亡妻への想い断ち難く墓から妻の遺体を盗み剥製にする男は,同時に肉欲の衝動抑え難く次々と女と寝る好色男でもあり「ブラッド・ピーセス」も主人公は好色男。また本作では死んだ筈の妻の剥製が(観客を驚かす為だけに)起き上がり「ブラッド・ピーセス」では死体を繋ぎ合わせただけの「究極の女」が急に好色男のタマを握り潰す悪趣味な脚本の酷似が噂の信憑性を増すのである。

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