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映画「燃える昆虫軍団」レビュー「キチガイ博士は…生かしておくだけで社会の害悪であると…実に良く分かる映画ですね。」

砂漠の町を未曾有の大地震が襲い,地中深く地割れが生じ
太古の地層から奇跡的に生き延びた
ゴキブリを思わせる太古の甲虫が這い出して来る。
虫には発火能力があり車や人を燃やし町をパニックが襲うが
高校の生物の教師をしているパーマイター(羽佐間道夫)は
何とかこの新発見された虫を繁殖させたいと思っていた。

嫁が虫に火達磨にされて死んだ際にパーマイターに重大な選択肢が訪れる。
虫には繫殖能力が皆無で放っておけば勝手に絶滅する。

しかし…パーマイターは嫁が虫に火達磨にされても尚,
虫の繁殖を諦めておらず…。
彼は虫とゴキブリを繁殖させ卵を産ますことに成功し…。
卵から生まれた虫は…ゴキブリの爆発的繁殖力と肉食の性質を持った
新種と化していた…。

勿論進化した虫は人肉もイケる口で…。
パーマイターは寝ていて虫に食われそうになるが…
ソレでも…この馬鹿野郎は懲りずに虫を繁殖させるのである…。

オマエなんて虫に食われちまえば良かったんだよッ!

更に新種の虫は高い知能を有し…人語を解し…パーマイターに
「We live(我々は生存する)」と虫が人文字ならぬ虫文字を形作って
彼に意思表示する程,急激な知能の進化を遂げるのであった…。

序盤は動物パニックものとして話が進み…
中盤はパーマイターがマッドサイエンティストと化して虫の研究に没頭し…
終盤は藤子F不二雄先生のSF漫画を思わせる
高度に進化した虫の生態を追って行く。

「フェイズⅣ」を強く意識した造りで
スタッフも「フェイズⅣ」から引っ張って来ている。

パーマイターは途中からこりゃヤバイと思うが…
ソレに漸く気付いたときには手遅れで…
彼が生んだ新種の虫が彼を邪魔者として排除しにかかり…
彼が火達磨になる場面で大いに溜飲が下がると言う仕掛けだ。

パーマイターが真っ先に火達磨になっておけば
死なずに済んだ人間が実に多く
本作は動物パニック物として始まっているが
途中からはパーマイターによる人災映画の様相を呈する。

ホントにね…キチガイ博士は生かしておくだけで
社会の害悪であると実に具体的に良く分かるのである。

本作の最後で地割れから進化した虫が赤熱して飛び立つ場面が
とてもキレイで…コレから人類はコイツ等「赤く燃える美しい虫」と
この星の生存権をかけて戦うことになる予感を感じさせられるのである。

70年代のSF映画は夢も希望もないと思い出させてくれる映画であり
しかも人類から夢と希望を奪ったのは
他ならぬ人類自身であるトコロが
いっかっにっもっ70年代らしい「嫌な後味」だけが残るのである…。

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