GUY監督の映画「夏バテ女 THE SOUND OF SUMMER」レビュー「本作品は『ウルトラマン』と『悪魔のいけにえ』が描いた『夏』に多大なオマージュを捧げた…ふたりの宇宙人のファーストコンタクトの話だと思います…」
そもそも…本作…「夏バテ女」は…円盤が届いたトキから不穏だった…。
2023年9月9日にテレビ放送された
「ウルトラマンブレーザー」の副題は「オトノホシ(音の星)」といい…
地球侵略の為に60年前に地球に派遣されたセミ人間達が
地球で「音楽」というものに初めて触れ
心奪われ夢中になって演奏するも「上」からの指示には逆らえず,
演奏の調和によってロボット怪獣・ガラモンを操作し
ブレーザーを苦しめる内容で
ウルトラQへのオマージュに溢れた傑作だった。
その翌日…2023年9月10日にVIDEO VIOLENCE RELEASINGさんから
「夏バテ女 THE SOUND OF SUMMER」
の円盤が届き,早速視聴を開始したのだが僕は心の底から驚いた。
セミ人間と人間とが音楽によって血みどろの共鳴を果たす内容で
副題が「THE SOUND OF SUMMER(ナツノオト)」。
しかも主演の女優さんが「ホシノカオリ」さんだと言うのである。
僕は2日間で「オトノホシ」と「ホシノオト」を堪能したのである。
これで両作に「なんら因果関係はない」と言うのである。
いやいやいやいやいや…
僕はグイード・ミスタになってこう叫んだよ。
「見えない因果関係つーのはあるんだよな…」って!
「ふたつの優れた創作物が接近するとき,両者は音叉の様に『共鳴』する。」
これもまた「見えない因果関係」が存在する事の証明であり,
人智などでは計り知れない宇宙の法則なのだ。
「ホシノくんサイドの感想」
シンガーソングライターとして作曲活動に勤しむ傍ら…
大阪・新世界にある喫茶店で働くホシノカオリ(ホシノカオリ本人)は
…日本の特撮番組の慣例に従って以降「ホシノくん」と呼ぶが…
ホシノくんは…最近喫茶店の常連となった奇妙な客に怖気を震っていた…。
その客は初老のオトコでありながら…半袖半ズボンといった出で立ちで…
複数の虫籠を首から下げ…虫取り網を携行しており…
喫茶店で虫籠のセミに何やら得体の知れぬエサを与えている…。
ホシノくんは…この得体の知れないオトコに
「セミオトコ」と渾名(あだな)を付ける…。
そんなある夜…熱帯夜で布団の上で煩悶する
ホシノくんは…奇怪な夢を見る…。
ホシノくんの部屋にあのセミオトコが侵入し…
彼女を黙って見詰める夢を…。
その日からホシノくんのカラダのアチコチがカブレ始め…
皮膚のアチコチが裂けても最早痛みも感じず…
二の腕から…鼻の穴から…耳の穴から…膣口から…
セミの抜け殻を思わせる異物が…次々と噴出し始まる…。
アレは夢などではなく…
セミオトコのクソ野郎が…
ワタシのカラダに何かしたのだ…
ホシノくんが医者にそう訴えても
「キチガイの妄想」扱いされ…精神薬を処方される有様…。
本当に…ワタシのアタマがおかしいのだろうか…。
「セミオトコサイドの感想」
小学生の頃…同級の女子生徒に「セミオトコ」とからかわれ…
以降正常な性交渉に及べず…
苦悶するオトコの元に…セミ型宇宙人が現れ…
日本の特撮番組の慣例に従って「バルタン星人」と呼ぶが…
バルタン星人はその可哀想なオトコのカラダを借りて…
「セミオトコ」となり…肉食のセミオトコは…
若い女性を拉致監禁して…鎌で捌いて捕食していた…。
「ホシノくんとセミオトコの感想」
セミオトコは…
「ホシノくんとの夢通信」と…
血みどろの戦いの中で…
初めて腹を割って話せる地球人を見出し…
腹を割って「植物」に擬態した通信ケーブルでホシノくんと接続し…
自分の国の言葉…セミの鳴き声にしか聞こえないが…
でホシノくんに語りかけ…
ホシノくんは…呻く様な鳴き声を返す…。
やがて…座禅を組んだ様な姿勢の
セミオトコの「声」とホシノくんの「声」が…
完璧なる調和(ハーモニー)を生み出し映画は閉じる…。
「夏バテ女」は…「ホラー映画」という擬態をかなぐり捨てて…
「異星人とのファーストコンタクト」という…真の姿を顕す…。
エンディング曲は
シンガーソングライター・ホシノカオリの
「言葉が失われた世界で」…
コトバが失われたセカイで…
独りだけコトバを話すモノがいた…
話すだけでこの街では笑われる…
コトバを紡ぐコトはムズカシイ…
この映画は…
「ウルトラマン」と…
「悪魔のいけにえ」が描いた「夏」に…
多大なるオマージュを捧げた…
コトバが失われたセカイで…
尚もコミュニケーションを試みる
ふたりの孤独な宇宙人のハナシだと…
僕は受け取りました…