オタク用語辞典 大限界レビュー2「『勉強すること』は『今の身分』を引っ繰り返す唯一の方法なのだ。」
「大限界」は女子大生によって編纂されたオタク用語辞典である。
男のオタクに関しては
これまで散々侮蔑的な「オタク像」が提示されて来た。
1.ママが選んでくれたチェックのシャツとジーンズを着用。
2.洒落っ気ゼロ。
3.1ヶ月に1度しか風呂に入らない。
4.一生童貞。
5.臭い。
6.デブ。
7.要するに気持ち悪い(キモい)。
等々ひとつとしてポジティブなイメージがない。
反面女のオタクについては言及される事が極端に少なかった。
故に21世紀初頭の木尾士目先生の漫画「げんしけん」で
大野加奈子女史が叫んだ
「ホモが嫌いな女子なんていません!」
って台詞が長らく「女(のオタク)」の特徴として語り伝えられて来た。
本書は「女のオタク」によって編纂された辞典であるから,
謎のベールに包まれた
「女のオタクのその他の特徴」が垣間見えてくる筈なのだ。
その特徴は以下の通り。
1.漫画を含めて本を殆ど読まない。
2.映画を殆ど観ない。
3.アニメを含めてTV番組を殆ど観ない。
4.じゃあ普段何をしてるかと言うと
「ファイアーエムブレム」「ポケモン」「スプラトゥーン」とかの
(任天堂の)ゲーム。
5.非常にガラ・言葉遣いが悪い(育ちが悪い)。
6.ウィキペディアの内容をコピペして「まとめ」ることが「勉強」。
7.こんな生き様だから学力が下がる一方。
(偏差値41=1000人が同じ学力試験を受けたとして820位前後となる学力)
8.従って真面(まとも)な企業への就職が見込めない。
9.故に将来,最底辺の生活が待っている。
…と惨憺たる内容だ。
…しかしコレは「女のオタク」の特徴なのだろうか。
もっと広義に片時もスマホを手放せない「現代人の特徴」なのではないか。
「インターネットやめろ」
というネットミームはインターネットを止めないと
(オツムの中身が)ますます大変なことになるという
(自分自身に対する)警告の意味合いが強いのではないか。
本を読むことは学問することの基本であり,
学問することは「現在の身分」から脱却する手段なのだ。
学問しないと言うことは
「このまま最底辺の暮らしでいい」
と言うことなのだ。
現代社会に於いても「身分」は厳然として存在し,
学力の有無が立身出世に露骨に影響する。
「今の自分」に甘んじることなく
「今の身分」を引っ繰り返す為に読書は必須なのだが
「そんなこと」も現代人は忘れてしまったのだろうか。
本書に関して僕自身,noteやAmazonレビューに
多分に批判的な感想を書いたが
「売ってしまえ」という意見には到底同意出来ない。
本は知識の集積であり「手放して金にする」など論外だからである。
本書は「現役のオタクの知識水準が分かる」という
重要な意味があるのだ。
叩きゃいいって訳じゃない。
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