ニコ・マストラキス監督・製作・原案・脚本の映画「悪魔のサバイバル(1986年)」レビュー「ランボー的マッチョイムズの敗北」。
学業はドベだがサバイバルゲームでは
天下一のゼロ・ボーイズ3人組が今日も強敵の挑戦を退け
女友達3人を連れて週末ドライブとしゃれこんだ。
「ゼロ・ボーイズ」の「ゼロ」は…「試験は零点」のゼロなのだ。
途中山中で悲鳴を上げながら逃げる女を目撃し…追跡すると山小屋に出た。
折からの雨で小屋に足止めされた一行は
思い思いの憩いのひと時を過ごすも離れから再度の悲鳴。
離れに駆け付けるとビデオデッキがあり
再生すると先程の女が拷問されているではないか。
これはスナッフビデオだ。
また周囲で多数の人骨が発見され
ゼロ・ボーイズの面々は…
コレはの何らかのゲームで自分達は挑戦を受けていると
ゲーマーらしい推測をするが果たしてその通りだったのだ。
ふとした隙に女友達のひとり
トリッシュ(クリスタル・カーソン)を誘拐され…
離れからその彼女の悲鳴が。
離れには勿論ビデオテープがあり
彼女が拷問椅子に拘束され
今にもあの女と同じ様に拷問が始まろうとしていた…。
序盤はゼロ・ボーイズのサバゲ―の模様が延々と描かれ
ランボーかぶれのリーダーの活躍ぶりが描かれるも
正体不明の相手からの攻撃が始まるとみるみる精彩を欠き
ゲーマーのオタク知識が後手に回り始める。
リーダーはオンナを勝者に授与される
トロフィー程度にしか認識していなかったが…
謎の敵に追い詰められてからは
女友達一同もゼロ・ボーイズに加勢する戦力として描かれる。
終盤は男女混合で脅威に対抗し…
主役が男子→女子→男女混合と移り変わって行く模様は
最早ランボー気取りの時代ではないと言わんばかりだ。
本作が「エイリアン2」の「強い女」の洗礼を受けた事を痛感させられる。
そう言えば本作に女友達の1人役として出演する
クリスタル・カーソンはシガニー・ウィーバー似。
吹替はリプリー役を演ずる事の多い幸田直子氏が担当し
考える事は同じかと思った次第。
因みにゼロ・ボーイズの面子は…
リーダーのテリーマン(田中秀幸),
デブゴン(水島裕),加持リョウジ(山寺宏一)…。
他方ガールフレンドは
ミンキーモモ(小山茉美),リプリー(幸田直子),
さくらこたけ(ちびまる子のおばあちゃん)(佐々木優子)…。
何気に声優陣が超豪華なのだ。
さ~てこの面子で…
果たして何人生き残る(サバイバル)コトやら…。
冷静に考えてさあ…
年がら年中サバゲにうつつを抜かして…
人格も学業も二の次の男子に女子がベタ惚れになる訳ないじゃん。
大体…怪我した女子への思い遣りがゼロで「足手まとい」って言うんだよ?
「モテる」「モテない」以前にオマエ人間としておかしいよ!
アタマがワルいうえに…ヒトのココロがゼロ・ボーイズ!
本作は低予算ゆえなのかグロもエロも
主人公グループの死人の数も控え目だが…
例えばビデオデッキでクリスタル・カーソンが拷問椅子に拘束され
いよいよ拷問が始まるのかッ
と期待すると「TO BE CONTINUED(続く)」とテロップ表示されるなど
遊び心にクスっと笑わされる構成に唸る。
「予算が無いなら工夫で乗り切る」本作の作風が僕は好きだ。