映画「KFC」レビュー「ボクが一番…F先生の「ドラえもん」に敬意を払ってて…従って一番上手く「Fの遺伝子」を継いだ創作が出来るんだッ!」

昨日房総半島南端から高速バスに乗って渋谷に行って
あんまり地味過ぎて「俺でなかったら見逃しちゃう」
渋谷イメージフォーラムの看板を見つけ出して
映画「KFC」を観たのですが…。

僕はコレから…ロクでもないレビューを書いて
みんなをドン引きさせるので読まなくていいです。
ただただ僕が気持ち良く射精したいが為の覚え書き。
僕が射精したって貴方が絶頂に達するとは限らんので
「レビューを書く行為」は極めてワガママで
相手の気持ちを全く考えず独りで勝手にイク行為だと再認識してます。
「内容」にも思いっきり抵触しますので
「真っ新な気持ち」で「KFC」を観たい人も読んじゃダメ。

僕は…「神のお告げ」で映画を観る訳ではないので…
「KFC」を…肉の柔らかい少年をとっ捕まえて肉切り包丁でバラして…
「美味しい唐揚げを作る映画」…つまり「八仙飯店之人肉饅頭」の
饅頭を唐揚げに置き換えた映画だと予想して観に行ったのですが…
実際に「KFC」を観たらぜーんぜん予想と違った内容だった…。

レ・ビン・ザン監督は…F先生の「ドラえもん」の熱狂的なファンで…
特に
1.例え「現在」と「過去」と「未来」が複雑に交錯しても
子供が付いて行ける漫画を描けるところ。
2.いちいち「10年後のジャイアン」とテロップを付けずとも
絵を一目見れば「10年後のジャイアン」だと分かる「絵」の説得力
に痺れられたのでしょう。
監督は「KFC」を構築するに当たって
幾つかの「縛り」を自分に課されました。

1.「登場人物の名前」を絶対に出さない。
F先生と同じ様に「絵」で「分からせ」るんだッ!
2.「10年後のべト・ナム子」
「10年後のべト・ナム男」って
「説明のテロップ」を絶対に表示しない。
何故なら!
F先生はッ!
そんなダサい真似一切されてないからッ!
F先生がやられた様にッ!
オマエもやるんだレ・ビンッ!
3.「現在」と「過去」を何ら説明なく交錯させること。
F先生ならッ!
何度も何度も何度も何度も何度も読み返すうちにッ!
「現在」と「過去」が交錯してるのだと気付かせるッ!
オマエもやるんだレ・ビンッ!
何度も何度も何度も何度も何度も観て貰える映画を作れッ!
何度も何度も何度も何度も何度も観返して
「現在」と「過去」が交錯する創作意図に気付かせるんだッ!

ホントにね…レ・ビンがF先生から教わった最高の贈り物は…。
「受け手を無制限に信頼しろ」
「信頼される送り手になれ」
だと分かって…もうね…泣けて来るのですよ…。

現在と過去を縦横無尽に行き来して「今」が何時なのか分からない状況で
初めて「全体像」の輪郭が浮かび上がって来る非常にテクニカルな構成。
「唐揚げ」に拘るとかえって訳が分からなくなる。

この「KFC」が「分かりにくい」のは…
レ・ビンがF先生を無制限に信頼し…
F先生の作劇を…懸命に「自分のもの」にしようとした
「結果」なのですよ…。

誰が誰だか分からない。
「今」が現在なのか過去なのか分からない。
何が言いたいのか分からない。

そうなった最大の理由はレ・ビンが「未熟」だからです。
あのさあ。
例えるなら荒木飛呂彦先生の
「ジョジョの奇妙な冒険」にハマって…
全巻繰り返し読んで…
「オレも荒木先生みたいな漫画を描いてやる」
と大いに意気込んで描いた漫画が「KFC」なのですよ…。

少しも…微塵も…「痛く」ないッ!

レ・ビンって奴はね。

「F先生がスキ」
「F先生の描かれる漫画がスキ」

の一念で映画作ってるんですよ…。
この素晴らしい漫画バカはッ!

だから「KFC」を「未熟」の一言で切って捨てるコトは出来ません。
絶対に出来ません。
だってF先生にだって…荒木先生にだって…
「未熟」な頃があったんだから!

少なくとも僕はこう思いました。
「コイツの新作…どうしても観てみたい」って。

「KFC」満員御礼記念に
観客全員ジャンケン大会で勝ち残った人に
KFCオリジナルの菓子を進呈するというサプライズもあり
充実した映画体験でした。