フィル・スティーヴンス監督の映画「WITHIN 304(304号室の中で)」(2003年)レビュー「覚めない夢」。
路上生活者のイワンは他の路上生活者から
なけなしの蓄えを強奪して木賃宿の204号室に泊まる。
ベッドに横になっていると天井から血液が滴って来る…。
管理人に文句を言い…
上階…管理人は空室だと主張する…304号室に入ると…
備え付けのトイレやユニットバスが血に塗れ…ウジが湧いている…
彼は嘔吐し…管理人に文句を言うが…
管理人が確認すると304号室に何も異変はない…
その夜…イワンは204号室で夢を見る…
道行く娼婦のケツを執拗に追う視線…記憶が飛ぶ…
メガネのオンナをナンパして…記憶が飛ぶ…
殺したメガネのオンナの衣服を脱がせ…後ろ手に縛って…
304号室のユニットバスでノコギリでバラバラに解体して行く…
一体コレは「誰」の思念なんだ…?
翌日イワンは「気違いの人殺しの思念」に従うかの如く
道行く娼婦のケツを執拗に追い…記憶が飛ぶ…
娼婦を絞め殺してからヤッて…死体を捨ててから…
メガネのオンナをナンパする…記憶が飛ぶ…
メガネのオンナを下着姿に剥いて後ろ手に縛り…
304号室のユニットバスで…
オンナをノコギリでバラバラに解体する…
くっそ…何だコレは一体…
路上を裸足で歩いていたイワンは…304号室のユニットバスで
足の裏に刺さった釘やネジを抜く…記憶が飛ぶ…蠢く蛆虫の群れ…
次の瞬間イワンは若いチンピラに頭を何度も何度も激しく殴打され…
頭蓋から鮮血を流して路上に横たわる…記憶が飛ぶ…
次の瞬間…イワンはダンボールの布団をかけて
路上で寝ている自分に気付く…。
勿論コレから彼は…
別の路上生活者からなけなしの金を強奪して…
木賃宿の204号室に宿泊するのだ…。
下着姿に剥いたメガネのオンナを後ろ手に縛ってユニットバスで
ノコギリでバラバラに解体するのは
「フランク・エッジ・ジュニア」(2009年)で
「フランクがやっていたコト」であり…
足の裏に刺さった釘やネジを…ユニットバスで抜くのは…
「ラング」(2016年)で…
「のちの連続殺人鬼がやっていたコト」であり…
蠢く蛆虫は…「フラワーズ」(2015年)で
「花」のひとりが目撃した光景なのだ…。
フィル・スティーヴンスはずっとずっとずっと「覚めない夢」を見ていて…
「自分の見ている夢」を繰り返し繰り返し映画化してるのだ…
何故なら夢は無限に繰り返すが故に…
フィル・スティーヴンスの「夢」もまた…
決して覚めるコトはないからである…。
この…「WIHTIN 304(304号室の中で)」という題名は…
勿論作家スティーヴン・キングの
畢竟の傑作「シャイニング」の1章…
「WIHTIN 217(217号室の中で)」から
霊感を受けているコトは言うまでもない…。
ソレは…ダニー・トランス少年が…217号室の中で…
ユニットバスに溜まった緑色に変色した湯船の中で…
全裸のオンナの死体を何度も何度も何度も…
目撃する羽目となるコトからも明らかである…。
何故ならフィル・スティーヴンス少年もまた!
僕と同じ様に!
スティーヴン・キングによって!
「シャイニング」によって!
決して終わるコトの無い「覚めない夢」の呪いを!
決して終わるコトの無い悪夢の呪いをかけられたひとりだからである…。
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