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アニメ「悪役令嬢転生おじさん」第8話「おじさん,メイドになる」レビュー「憲三郎と…『グレイス本体』との会見」。

学期末のマジックエグゼビジョンが終了して早1週間…。
グレイスは屋敷にランベールとアンナ,リュカ第2王子を招いて
ランベールの土魔法とアンナの風魔法…
相反する属性の魔法の持ち主による練習試合を提案し…両者は快諾する…。

グレイス(憲三郎)の意図としては…
「魔法」は術者の気性と密接な関連があり…
細かな物事に拘らない…悪く取れば大雑把なアンナと…
細部に神経質な程の拘りを見せるランベール…
気性が正反対であるが故に…
かえって惹かれ合うコトもあるやも知れぬと…
ふたりには言えぬが…両者の「見合い」を画策したと言うワケだ…。

ランベール「御存知の通り…僕は辺境の貧乏貴族の出で…」
「それ故に両親は子供への投資を惜しみませんでした…」
「武勇に優れた兄達には武具を与え…」
「魔法に優れた僕には魔法書を与えたのです…」
「初めて魔法が成功した日のコトは忘れません…」
「枯れ木に花を咲かせる魔法…」
「僕は…何でもない枯れ木に自分を重ね…」
「何でもない自分でも…研鑽を重ねれば…」
「いつか…僕の…何でもない人生にも…」
「大輪の花を咲かすことが出来るのではないかと…」

オッサン(憲三郎)は…「こういう話」に滅法弱く…
グレイス(憲三郎)「御立派ですわ…」
「ランベールさまは…御両親の誇りですのね…」

アンナ「ワタシも…そう思います…ランベールさま…」
ランベール「ソレを言うならミス・アンナ…」
「キミの御両親にも同じコトが言えるじゃないか…」

いい雰囲気のランベールとアンナ…
グレイス(憲三郎)は…
「見合い」が順調に進行しているコトに満足する…。

グレイスはアンナが卓上の菓子に全く手を出していないコトに気付く…
まさか…また食事制限をしているのでは…
理由を尋ねると…

アンナ「あの…初めて見るお菓子ばかりで…」
「その…『食べ方』が分からないのです…」

ソコにリュカ第2王子が割って入り…
リュカ「どうだろうアンナちゃん…」
「夏休みが始まったら…グレイスの屋敷に泊まり込んで…」
「グレイスに師事して…作法の何たるかを学ぶと言うのは…」

グレイスにも全く異論はなく…
夏休みが始まるとアンナは屋敷に泊まり込んで作法を学び…
たちまちのうちに学び取ったアンナは…更にメイドの仕事も覚え始める…。

ここで…ゲームプレイヤーの日菜子は首を傾げる…。
「夏休みのアンナの予定」は…
「寮で勉学に励む」,「帰省して家業のパン屋を手伝う」
の二択だった筈…。

つまり…
「グレイスの屋敷に泊まり込んで作法を学ぶ」
などという選択肢は無い筈なのに…勝手に選択肢が生成されている…。

コレは一体どういうコトなのか…。

夏休みに入って…アンナとの同居が始まって暫くして…
グレイス(憲三郎)は不可解な夢を観る…

52歳公務員としての…背広姿の…「本来の姿」をした憲三郎は…
床が水面の様に綺麗に磨かれたかの様な不思議な空間に立っている…。
ココは一体何処なのか…。
憲三郎がそう思っていると…人魂を思わせる不思議な光球が出現し…

光球「お父さん…こっち…こっちに来て…お父さん…」

と聞き覚えのある声で呼びかけて来る…

光球は…使い魔「オリオン」の形状になるコトもあり…
オリオンは…自分の子も同然であるから…
「お父さん」呼びに違和感は感じないが…
憲三郎は…もうひとりの自分の子…日菜子を想っている…。

「日菜子」は…憲三郎を…
大きな大きな鳥籠に導いて行く…。
鳥籠の中には…「グレイス」が囚われている…。

アッ…コレ…オープンングで何時も観たヤツ…。

屯田林憲三郎は…交通事故をきっかけに…
乙女ゲーム「ラブ&ビースト」の
悪役令嬢グレイス・オーヴェルヌに異世界転生した…。

つまり…ガワはグレイスだが…中身は憲三郎であるワケだが…
ココにひとつの重大な疑問がある…

「本当のグレイスの中身=グレイス本体」は何処に行ったのだろうかと…。

「グレイス本体」は…
大きな鳥籠の中に囚われており…一体ナニを思うのか…。

「グレイス本体」…!

憲三郎「グレイスくん…?」
グレイス本体「………………………………………………………………………………………………」
憲三郎「グレイス…えっと…まず…何て言えばいいんだ…?」
「はじめまして…?」
「…では何やらおかしい気がするし…」
「そもそも…ワタシはこの子の…」
「一体『何』なんだ…?」
「考えてみれば…」
「ワタシは…ワタシ達のコトを…」
「お互い…何も分からないままじゃないか…」
「まずは…ソコから出て来なさい…グレイス…」
「こんな暗くて冷たいトコロに閉じこもっていたら…」
「体に悪いじゃないか…」
グレイス本体「……………………………………………………………………………………………」

死んだ魚の目をして憲三郎に背を向けて黙り続けるグレイス本体…。

「グレイス本体」の腕を掴もうとした憲三郎は…
ヒカリに包まれて目を覚まし…メイド修行中のアンナの腕を掴んでいた…。

ゲームプレイヤーの日菜子も…この展開に唖然としている…。
こんな展開…ゲームにはないからで…。

そもそも…「悪役令嬢グレイス・オーヴェルヌ」は…
乙女ゲーム「ラブ&ビースト」で…
主人公のアンナ・ドールに意地悪をしたり…嫌がらせをしたりして…
アンナの足を引っ張るのが役目の…
言わば「薄っぺら」なキャラクターデザインだった筈…。

ソレが今や…3親等迄の家族構成が明らかになり…
屋敷の使用人たちひとりひとりが何を思い…
どう考えてオーヴェルヌ家に仕えているかが詳細に明かされつつある…。

この…「悪役令嬢グレイス・オーヴェルヌ」の
詳細な家族構成・主従関係の詳細な描写は…
ゲームの攻略には全く関係が無く…
従って本来ゲームにはない設定ばかりが並んでいるのだ…。

つまり…ゲームの…本来は簡略で薄っぺらな設定が…
日菜子もグレイス(憲三郎)も預かり知らないトコロで…
日々詳細かつ緻密に…血の通ったモノとなりつつあるのだ…。

日菜子は思う…
コレは…乙女ゲームの世界ではなく…
乙女ゲームの設定に良く似た…
実際の異世界の出来事なのではないのかと…。

このゲームは…
お父さん(憲三郎)にナニをさせようとしているのかと…。

リュカ王子「性質が真逆なふたりの方が…」
「互いに補い合って上手く行くコトがある…」
グレイス(憲三郎)「真逆なふたりだからこそ合わさると上手く行く…」
「なるほど…そういうコトもあるやも知れぬ…」

憲三郎は…ランベールとアンナの関係をこう評したに過ぎないが…
憲三郎のコトバは…憲三郎とグレイスの関係にこそ
掛かっていると日菜子は指摘し…
上山道郎先生は…
「憲三郎と…グレイス本体が『上手く行っている』なんて…」
「オレは一度も描写してない…」
と…視聴者(読者)に激しく揺さぶりをかけているのだ…。

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