中川信夫監督の映画「地獄」レビュー「前半は「この世の地獄」,後半は「あの世の地獄」が描かれた地獄フルコース映画ですね。」
大学生の清水(天知茂)は恩師の娘・幸子(三ツ矢歌子)と婚約し,
前途洋々の身の上であったが,
悪魔の様な友人・田村(沼田曜一)が運転する車に同乗中に,
極道者を轢き逃げしてしまう。
良心の呵責に耐えかねた清水は幸子に全てを打ち明けて
タクシーで警察に向かう途中,自動車事故で幸子とお腹の子が死亡。
報せを聞いた幸子の母は発狂。
そんな清水のもとに「ハハ キトク スグ カエレ チチ」との電報が届く。
清水の父は介護老人施設「天上園」を運営しているが
運営費をピンハネして実際はタコ部屋。
そこに極道者の情婦と母親が清水を追って来て
吊り橋で揉み合ったはずみで情婦は谷底に転落。
極道者の母親は食べ物に毒を仕込むも「天上園」の杜撰な管理が祟って
集団食中毒を起こし入居老人は悉く死に至る…。
本当に酷い酷い酷い映画。
前半で登場人物が全員死ぬ「この世の地獄」を描いておいて,
嵐勘十郎演じる閻魔の裁きを受け,
幸子の腹の赤子以外が全員有罪で全員地獄送り。
後半は「あの世の地獄」が描かれる構成。
後半は仏教の八大地獄を映画化しており
「針の山」「血の池」「賽の河原」等々
幼い頃寝物語に聞かされた地獄の光景を堪能出来る。