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池田敏春監督の映画「死霊の罠」レビュー「確かに「サスペリアPART2」のキチガイの人殺しと「1」のエレナ・マルコスがタッグを組んで襲って来るかの如き豪華さではあるが…寧ろ最早収拾の付かないダメダメ感を醸し出しているのである。」

女性スタッフばかりで構成される深夜のTV番組のナレーターを担当する
土屋名美(小野みゆき)の元にビデオが郵送され再生すると
廃屋で女性が惨殺されるスナッフフィルムが収録されている。
当該のスナッフフィルムには意図的に廃屋への道順が分かる様,
道路標識等が写されており
土屋は女性スタッフ3人と男のADを運転手にして当該の廃屋に向かう。

ソレが土屋を廃屋におびき出す為の罠とも知らず…。

銛を携えた海女(白都真理)が原発誘致関係者を殺しまくる
実写版未来少年コナンこと「人魚伝説」の池田敏春がメガホンを取り
「天使のはらわた」を描いた劇画作家の石井隆が脚本を書いた
エロチックバイオレンススラッシャー映画が本作となる。

石井は自分の漫画の主人公の名を必ず「土屋名美」にする性癖があり
本作に於いても小野みゆきに「土屋名美」と名乗らせ
情け容赦のないバイオレンスを加えている。

廃屋に潜む「何か」がTVスタッフを罠に嵌め惨殺して行く訳であるが
激しいセックスの後に女(小林ひとみ!)が床から壁から天井から
鋭い剣が飛び出し串刺しにされて惨殺される開幕からワクワクして来るが

天空から絞首刑の縄が降りて来て女の首を絞め,
そのまま絞首刑にする死に様は
「キチガイの殺人鬼の罠」
と呼ぶには多分に悪夢的で
「罠に嵌って惨死」と「悪夢的状況で惨死」と
「鋭利な刃物でスラッシャー的惨死」とレパートリーが多く飽きさせない。

終盤小野みゆきは真犯人の部屋に潜入するが
「キチガイの育った部屋」
の描写は相当怖く…。
小野みゆきは「仲間の仇を取る」と息巻いていて
髪を後ろで結わえて戦う気満々で
「なんで逃げて警察呼ばねえんだよ」
と怒る気が無くなる迫力である。

確かに真犯人が単なる「キチガイの人殺し」であるなら
警察も逮捕が出来るだろうが…。
「キチガイの人殺し」とは別に
「諸悪の根源」がいてコレがもう…クリーチャーと言うか…。
バケモノと言うか…怨霊と言うか…兎も角警察の管轄外である事は確かだ。

アルジェントのジャッロ映画の影響を感じさせる音楽,
「サスペリア」の影響を感じさせる天井から蛆虫等々
監督の「スキ」が煮凝りとなっていて好感が持てる。

難を言うならアルジェントの「ジャッロ」と「オカルト」が
チャンポンになっていて
「ジャッロ」の真犯人と「オカルト」の諸悪の根源が別にいて
少しばかり詰め込み過ぎじゃないかという点である。

要するにい…「サスペリアPART2」のキチガイの人殺しと
「サスペリア」のエレナ・マルコスがタッグを組んで襲ってきたら
キチガイの人殺しを殺しただけでは
全然安心出来ないのと同じ現象が本作で起こっているのである。

確かに「豪華」である事は認めます。

でもさ。

寧ろ「収拾の付け様がないダメダメ感」を醸し出しているのである。

本作の「諸悪の根源」は人智では倒し様がなく…。
後年「死霊の罠2」で再登場している。

小野みゆきの上司役を島田紳助が演じている。



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