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アニメ「悪役令嬢転生おじさん」第6話「おじさん,感涙する」レビュー「『アンナ・ドール』とは一体如何なる人間なのか…ソレは…『親の育て方』が大きく関与すると…この物語では教えている…」
マジックエグゼビジョン(公開魔法展覧会)を1週間後に控え…
グレイスとアンナの練習にも熱が入る…。
その練習を忌々しげに見詰める3つの姿があった…。
貴族のモブキャラ3人娘ジョーヌ・ヴィオレ・マロンだ…。
3人娘はアンナを呼び出し…次の様に告げる…
「グレイス様はお優しいから直接はアナタに仰られていないけれど…」
「あの方は私共にこう言われてます…」
「『平民の娘に付き纏われて迷惑しております』と…」
「アナタ…マジックエグゼビジョンのグレイス様のパートナーを…」
「降りた方が宜しいのではなくて…?」
グレイスの「中身」は憲三郎であるから…
今や「悪役令嬢」ではない…。
従ってアンナのいないトコロで彼女の悪口を言ってはいない…。
要するに3人娘の「やっているコト」は中傷なのだけれど…
その中傷の模様の一部始終をグレイス(憲三郎)は陰で聴いている…。
さて…この一件憲三郎はどう納めるのか…。
この件(くだり)を観て…
僕は山本鈴美香先生の「エースをねらえ!」を思い出していた…。
1年生の身の上でありながら新任のコーチ・宗像仁に抜擢された
主人公の岡ひろみは…
一部の上級生たちからありとあらゆる誹謗中傷を受ける…。
更に宗像は3年の竜崎麗華と岡をペアを組ませ…試合に出場させる…。
委縮して普段の力を出せない岡に…
「敵よりも頼りない味方の方が恐ろしいって言うけど…ホントね…」
と…ワザと岡に聞こえる様な中傷のコトバ…
勿論この中傷のコトバはパートナーの竜崎にも聞こえている…。
竜崎は烈火の如く怒り…
「誰です!ワタクシのパートナーを動揺させるコトを言うのは!」
と一喝したのち…怒りの矛先は岡に向かい…
「ひろみ!」
「なんなのさっきのプレイは!」
「負けるコトを怖がるのはおよしなさい!」
「たとえ…負けたとしても…」
「ワタクシはアナタに責任を押し付けたりしない…」
「それよりも!」
「力を出し切らないプレイをするコトを恐れなさい!」
と岡を叱るのだ…。その後…
「しっかりしなさい…落ち着きなさい…」
「コートにいるのはアナタ独りではないのよ…」
「ワタクシが…」
「味方がもうひとりいるのよ!」
とフォローを忘れない…。
第1話で…憲三郎は「エースをねらえ!」の愛読者で…
竜崎麗華のコトを知っているコトが明かされているから…。
竜崎の様にアンナとモブキャラ3人娘の間に割って入り…
モブキャラ3人娘を一喝するコトも念頭にあった筈…。
しかし…確かに憲三郎は…アンナを導く竜崎麗華であるが…
それ以前に実の御両親からアンナを預かっている父兄であり…
加えて「竜崎のやり方」では禍根が残ると考えている…。
つまりアンナへのイヤガラセ…イジメは…
「子供の喧嘩に親が出る」
やり方では解決しないと考えている…。
「子供の喧嘩」は…
ギリギリまで子供自身に解決させるべきだと
憲三郎は考え…「静観」策を採る…。
ところで…アンナ・ドールとは一体如何なる人間なのだろうか…?
・平民の身の上でありながら魔法学校の試験に首席合格した。
・素直でグレイスによく懐き…
「流石グレイス様」BOTと呼ばれる程敬愛してもいる…。
・非常に御両親の見識が高い…。
・アンナはそんな両親も尊敬している…。
憲三郎が「子供」…アンナに問題解決を一任したのは…
実の御両親の「アンナの育て方」を信頼した故なのだ…。
アンナはモブキャラ3人娘に向ってこう言う…。
アンナ「ワタシの両親はパン屋をやっていて…」
「とても顔が広いんです…」
「その両親がワタシにこう言うんです…」
「『アナタのコトを悪く言うヒトがいる』と…」
「告げ口して来るヒトがいたら…」
「そのヒトとは距離を取りなさい…」
「そのヒトはきっと…」
「別のヒトの前では!」
「アナタのコトを悪く言うヒトだから!」
アンナ「さあ…行きましょうか…生徒会室に…」
「グレイス様にお会いして…」
「御本心を確かめに…」
モブキャラ3人娘「も…もしもグレイス様が本当に…」
「本当に…アナタに迷惑していると仰ったなら…」
アンナ「その場合は…ワタシは学園を去り…」
「二度とグレイス様の前に…姿を現さないでしょう…」
「ですが…」
「ワタシの一番大切なモノは…」
「グレイス様への尊敬と感謝の気持ちは…」
「微塵も失われはしません…」
アンナは「流石グレイス様」BOTじゃなかったなあ…。
この乙女ゲームの主人公は…
グレイスではなくアンナなんだよ…
この遣り取りの一部始終を聞いていた憲三郎は涙を流し…
アンナの御両親への尊敬の念を新たにする…。
後はもう…
「禍根が残らない様にする」だけだ…。
グレイス(憲三郎)は涙を流しながら
モブキャラ3人娘に…
「ワタクシの曖昧な物言いが…」
「皆様にあらぬ誤解を招いたコト…」
「心から謝罪致します…」
と頭を下げる…。
グレイス(憲三郎)は…
「社会人の謝罪スキル」を発動させ…
この場を丸く収めて締め…。
この世界には…
「根っからの根性曲がり」は存在しないのだ…。
確かに…
「アンナが余りにもいい子過ぎる」
という批判はあるだろう…
しかし…齢50を超えられた上山先生は…
「もう…ヒトが傷付け合う…キツイ展開は描きたくない」
と仰られ…僕も50過ぎだから…先生のお気持ちが良く分かるのだ…。
「キツイ展開」
は他の漫画に求めればいい…。
今更…坊主頭の中学1年生に戻って…
教師に怒鳴られるのが耐えられない様に…
「エースをねらえ!」を履修し直せないんだよ…。
今や僕は…
「キツイ展開」は全て読み飛ばしてるんだ…。
ところで…憲三郎の娘・日菜子は…
何とか憲三郎に「自分」の存在を認知させたいと感じている…。
「ゲームの世界」に…「神の見えざる手」として干渉し…
グレイスの使い魔の名付け親となった日菜子であるが…
もしも超々自我日菜子が…超自我憲三郎に…
存在を認知させるコトが可能なら…
超自我憲三郎が…自我グレイスに…
存在を認知させるコトも可能なのではないか…。
ゲームシステムがソレを遮って来る様にも思える…。