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エリック・ウェストン監督の映画「デビルスピーク」レビュー「クーパースミスは天下一の男前であり本作はホラー映画ではなく任侠映画なのだ。」

クーパースミスはラテン語を翻訳出来る程,向学心があって
彼を"クーパーチンコ"と罵るボンクラ学生達に
「後悔させてやる」って言い返せる強さと
病弱な子犬に
他者を押しのける社会に馴染めない自分自身を重ね
世話をする優しさがあるから
黒色人種の友人や食堂のおじさんが気にかけてくれる。

てんで冴えない青春を送る彼に
食堂のおじさんが「ちょっと待てよ」と声を掛けて,
ステーキを焼いて食わせてくれる場面が僕は好きだ。
決して彼は独りでは無いのだ。

彼はキャリーの様な,いじめられっ子ではなく,
人付き合いが苦手な内向的な少年だと言いたいのだ。

だが…ボンクラ学生達に飼っていた子犬を惨殺され,
自分はどんなにからかわれても
後で見返す自信があるから怒らなかった彼が,
何ら成す術無く殺された親友の為に初めて怒る。

本作品の本質はホラー映画ではなく任侠映画だと言いたいのだ。

クーパースミスはラテン語で記述された
悪魔を信奉し…異端であるが故に追放された
神父エステバンに関する古文書を解読し…
解読データをコンピュータに入力し…
「エステバン召喚プログラム」を組み…
魔法陣を描き…エステバンを召喚して「自分」に乗り移らせ…
エステバンがその身に宿した悪魔の力と…
騎士でもあったエステバンの剣撃をもって…
親友の仇を討とうと言うのである…。

本作を吹替で視聴すると
クーパースミスの気弱で,もっと虐めたくなる佇まいと
強い意志を併せ持つ難しい役柄を塩屋翼氏が情熱で演じ切れば,
クーパースミスの任侠に感じ入って
彼に手を貸す異端の神父エステバンを
「ヤマト」の真田さんの知性と
「悪魔のいけにえ」のヒッチハイカーの狂気を併せ持つ
青野武氏が負けじと熱演!

クーパースミスが原文通り精神病院に行くオチも吹替の手柄!

字幕だと彼は施設送りになって現在でも治療中となってるけど
施設って要するに精神病院の事で「それ」を包み隠さず表現する
吹替はガッツがあって素晴らしいと言いたいのだ。

任侠に生き筋を通す男の中の男は
「やくざ映画」では「ばか」と呼ばれる。

クーパースミスもまた任侠に生き筋を通した男の中の男であるが故に
「ばか」扱いされて精神病院送りとなったのだ。

クーパースミスが構築した「エステバン召喚プログラム」という…
コンピュータのプログラムで悪魔を召喚すると言う発想は…
後にテレビゲームの
「女神転生(メガミテンセイ=メガテン)シリーズ」
の骨子として引き継がれて行く。

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