チャック・ノリス主演「地獄のコマンド」日本語吹替完声版ブルーレイレビュー「オッサンの仕様」。
昨日(2024/5/9)「地獄のコマンド」のブルーレイが届いたので
レビューを書きたいと思う。
ミハイル・ロストフ(中田浩二)は建国以来一度も他国の侵略を受けておらず
惰眠を貪る米国国民をテロ攻撃で叩き起こす
アメリカ侵略作戦(INVASION U.S.A.=原題)を立案し
周到な準備を進めてきたが
彼の唯一の懸念はかつてCIAの一員だった
凄腕コマンド:マット・ハンター(チャック・ノリス)の存在である。
ロストフはこれまで何度もテロ計画をハンターに阻止され,
煮え湯を飲まされて来たのだ。
そこでロストフはアメリカ侵略作戦決行の前に
今では引退し隠遁生活を送るハンターの自宅を襲撃し爆破する過程で
ハンターの親友のインディアンの命も奪う。
ハンターは親友の亡骸を自宅と共に火葬し荼毘に付すと
ロストフの計画を阻止すべく行動を開始する…。
チャック・ノリスの特徴は「特徴がない」事であり
シルベスター・スタローンの様な星条旗を背負って戦う様な思想性も
アーノルド・シュワルツェネッガーの様に肉体を誇示しながら
ワンマンアーミーを気取って無双する事もない。
彼はヒロインの女性レポーターと恋仲にもならず従って濡れ場もない。
彼は主義主張を声高に叫ぶ事もしないし
親友を殺されても慟哭する事もない。
挙句ラスボスのロストフと対峙して吐く台詞が
「オマエはもう死んどき」
である。
彼には「熱さ」がなく淡々と敵兵を屠って行く。
あのさ。
オッサンはさあ。
「熱血」とかそういうメンドクサイ事を嫌うのよ。
銃の引き金を引く以上の事はなるべくしたくない。
親友を殺されて怒ってはいるけど
怒りを露にしないのは「疲れる」からで
オッサンは「疲れる」事はしたくないの。
だからヒロインとの濡れ場も要らねえ。
アレすんのは「疲れる」からね。
若い頃はチャック・ノリスの魅力がイマイチ理解出来ず
「もっと熱くなれよ!」
と思ってたけど自分がくたびれたオッサンになってみると
ノリスの省エネ演技が実に具体的に「分かる」んだよね。
余計な事は一切したくないッ!
ってオッサンの真情がさ。
本作の善玉と悪玉しか出て来ない
難しい事なぁーんにも考えないで済む話が
休日の午後にビールでも飲みながら
ボケーッと観るのに最適で…ホントにね…。
オッサンになって初めて分かる魅力に満ちた作品なのですよ。
本円盤には1988年7月23日・ゴールデン洋画劇場放映時の
日本語吹替が搭載されていて
吹替が対応してない箇所は
新録で補い,全編日本語吹替で視聴出来ます。
オッサンはさあ「字幕を読む」様なメンドクサイ事したくないの。
そのオッサンの真情を踏まえた仕様ですね。
チャック・ノリスっていう
何でもない俳優が何でもない話で何でもない活躍をするのを
ボケーッと何でもないツマミを食い何でもない酒を飲みながら観る…。
コレが本作の「正しい」視聴法なんです。
ブックレットの執筆を依頼された
マクラウド白石さんが…オッサンが張り切っちゃってさあ。
規定文字数を大きく超過した原稿を提出して
是空社の偉い人が困ったみたいだけど
結局全文掲載を強行した結果,
表紙から裏表紙まで文字でビッシリの
20頁の大部のブックレットが誕生しました。
マクラウドさん的に「地獄のコマンド」の解説にかこつけて
「1985年と言う時代」の総括をしたいらしく
「オッサンの長話」が嫌と言う程堪能出来ます。
本作品がオッサンのオッサンによるオッサンのための映画なのだから
ブックレットもそれに呼応して「オッサンの長話」となってる次第。
仕様として実に「正しい」のですが
じっつっにっ「鬱陶しい」のもまた「オッサンの仕様」なのです。