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映画「八甲田山」4Kリマスター版レビュー「本遭難事故に於いて199名も死人を出しておきながら,ひとりとして責任を問われる者はいなかったと言う。」

日露戦争前夜,明治時代に実際にあった山岳遭難事故を描いた
新田次郎の「八甲田山 死の彷徨」の映画化。

初見。
辛い映画。
・八甲田への事前偵察山行が好天に恵まれ
「遠足の延長」という偵察隊の言葉を鵜呑み。
・現地の人間の
「厳冬期の八甲田は行ったら生きて帰れない」って警告を無視。
・徳島大尉率いる弘前31連隊は少数精鋭で小回りが利くのに対し
神田大尉率いる青森5連隊は大隊編成。
・青森5連隊は大隊長・山田少佐と神田大尉のふたりから命令が出て
指揮系統が混乱した。
・山田少佐は神田大尉が用意していた現地の案内人を
「金目当て」と決めつけ方位磁石さえあれば
オマエ等は要らないと案内人を随行させなかった。
・神田大尉は一旦八甲田の雪中行軍が始まったからには
後には引けないと考え行軍の中止を渋った。
・大暴風雪の到来。

結果,徳島大尉率いる弘前31連隊は11日かけて八甲田を踏破
神田大尉率いる青森5連隊は199名の死者を出した。

本作に於いては徳島大尉を高倉健,神田大尉を北大路欣也,
山田少佐を三国連太郎が演じている。

「誰も悪くない」「何も悪くない」のに
199名の人間が死ぬなど俄かに考えにくいが
原作小説には弘前31連隊と青森5連隊の
勝ち負けに関して次の様な会話がある。

師団長「いや5連隊は勝ったのだ。
199名と言う尊い犠牲を出してこの戦いに勝ったのだ」
「かといって31連隊が負けたのではない。31連隊は立派に勝った。」

参謀長「師団長,両方が勝つという戦争があるのですか」

本遭難事故に於いて199名もの死者が出ているのに
誰一人として責任を問われるものはいなかったと言う。

4Kリマスター画質は極めて良好。

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