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映画「スクワーム」レビュー「動物パニック映画の永遠の極北であると断言するッ!」
映画「ジョーズ」がヒットして
皆サメより強くてインパクトのある生き物を探しました。
タコ,クマ,ハチ,カエル,クモ,ヘビ…その永遠の終着点のひとつが本作で
襲って来るのは釣りの餌として有名なゴカイなのです。
この絵面で「観てやろう」と思う人間の良識を疑う。
リック・ベイカーの特撮が冴え渡る!
動物パニック映画は星の数あれど
人間を釣りの餌…ゴカイに喰わせる発想は常人には断じて思い付かない。
誰にも絶対に超える事の出来ない永遠の極北。
子供の頃TVで観た翌日の給食がスパゲティだった思い出の一作。
…とは言え本作は実は気弱な青年と冴えない恋人と
親に頭の上がらない敵役のパッとしない日常が
延々描かれた群像映画なんです。
こういう…どこでも転がっていそうな登場人物達が
地味に自分の持ち味を生かすのが1970年代映画の作劇の手本で
要は「プロットがしっかりしてる」と言いたいのです。
こんな…ゲテモノ映画の分際でね。
本作は敵役の使用人ロジャーのうだつの上がらない人生が
延々描かれていて切ないね。
親父からはいつも怒鳴られて娯楽と言えばバーでビールを飲む位。
慕っているお嬢様は都会のモヤシ学生とチャラチャラ。
鬱憤溜まるよね。
挙句ボートでお嬢様を押し倒そうとしたら突き飛ばされて
顔が釣りの餌に突っ込んでこんな御面相に…酷過ぎるね。
敵役にもドラマがあるのですよ。
シューティングゲームの的とは訳が違うのです。
70年代の映画は当時僕が10代だった事もあって
こういう地味で無力な等身大の登場人物に感情移入して
「我が事の様に」映画を受け止めていたんです。