庵野秀明監督の映画「シン・仮面ライダー」レビュー「死んでも誰も悲しまない…たったひとりで必死に生きるコミュ障のオタクを『ヒーロー』であり『ライダー』であると描く…孤独の魂に寄り添う本作が…万人の支持など得られる筈もない…」
「シン・仮面ライダー」は…コミュ障のオタクがライダーになって…
「他人のコトが分からない」彼が…「分かろうと」…
チワワの様にブルブル震えながら涙目になりながら必死に生きる話で
その生き様は「辛い」と自己評価してる。
そんな彼が…たったひとりの理解者が現れるコトで
「辛い」に横棒一本加わり「幸せ」になる模様を描く。
こんな話が…万人の理解を得られるハズがない…。
ヒトに「こんにちわ」と声を掛けるコトも…
ヒトに馴れ馴れしくタメ口で話しかけるコトも…
「拒絶されたらどうしよう」と…
日がな一日悩み続けて一日が終わる人間の話など…。
だけど…
何処にも居場所のない何でもない人間の熱狂的支援を受け…
一生心に刺さり続けるだろう…。
頭髪に白いものが混ざる年齢になっても
「仮面ライダー」から卒業出来ない人間…
食パンと麦茶で飢えを凌ぎながら鉄道に乗り続ける人間…
半世紀前のジャッロ映画に血道を上げる人間…
ウルトラゴアホラー映画のオールナイト興行に
喜び勇んで参加する人間…
モノクロのゴジラに熱狂する人間…
負け続けの人生で1度も勝ったコトのない人間…
一生処女童貞確定の人間…
同人誌即売会で…1日1冊売れれば上等の同人誌を…
日がな一日パイプ椅子に座って売れるのを待ち続ける人間…
未来永劫…
絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に
絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に
絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に…
救われるコトのない人間…
決して終わるコトのない…
無限に続く地獄の連鎖…
ソレがコミュ障のオタクの一生なんだ…
100人中99人が酷評する映画を愛し…
たったひとりで布教を続ける人間…
「たったひとり」…そう…死んでも誰も悲しまない…
「たったひとりで必死に生きるコミュ障のオタク」を…
庵野さんは…
「ヒーロー」だと…「勇者」だと…「ライダー」だと描いてるんだよ…
こんな…
「超特異な…『孤独』にならざるを得ない魂」
に寄り添う映画が…
天下万民の支持など受けるハズもない…。
この映画を観る度に僕は…滂沱の涙が流れるんだ…
こんな僕の気持ちが…万人の理解を得られるハズがない…
ラスボスくん「本郷…オマエはもう…何をしても無駄なんだ…」
「オマエの人生は…ムダな人生だったんだよ…本郷…」
「いい加減に気付けっ」
「なあ本郷…」
「オマエもオレが教祖やってる『ショッカー教』に入信しろよ…」
「『ショッカー』には…」
「オマエと同じに何処にも行き場のない…何でもない人間が大勢いる…」
「きっと直ぐに打ち解けるし…」
「『悩み』も何もなくなる…」
本郷「違ァァァァァうッ」
「僕の…僕の人生に無駄なコトなどひとつもなかったっ」
「僕の人生は…ムダな人生じゃないっ」
って叫びにもうね…号泣ですよ…。