上山道郎先生原作のアニメ「悪役令嬢転生おじさん」第2話「おじさん,魔法使いになる」レビュー「憲三郎は…グレイスに感情移入し…彼女を待つ運命を変えるべく…この乙女ゲームの二次創作を始めたのではないか…?」
原作未読。
僕は原作をカンニングして初見の愉しみを失いたくない。
前回までのあらすじ
妻沼田(つまぬだ(津田沼?))市・職員の
屯田林憲三郎(とんだばやし けんざぶろう)52歳は…
道路に飛び出した子供を救おうとして…
逆にトラックが迫り…
ココで意識が飛んで…19世紀の欧州を模した乙女ゲームの…
ヒロインのアンナに何かと意地悪をする
悪役令嬢グレイス・オーヴェルヌに異世界転生する。
この世界には「魔法」が存在し…
アンナは首席合格して平民でありながら
本来貴族しか通えない魔法学校への入学を特に許され…
アンナに次ぐ成績と
公爵令嬢というアンナとは比較にならぬ家柄を背景に
グレイスもまた魔法学校に入学したのだった…。
グレイスの「中の人」となった憲三郎は…現世でそうであった様に…
この異世界に於いても…
多くは望まず自分の役割をキチッと果たしたいと考えている…。
最初憲三郎は…自分の役割は…アンナに意地悪し…
事あるごとに辛く当たるコトだと考えていたが…。
第2話の前半は先ず…グレイスとアンナが生徒会室に呼ばれ…
生徒会役員に推挙される「イベント」が発生する…。
生徒会役員は皆イケメン揃いで…
この乙女ゲームに於いて主人公アンナの攻略対象となっているのだ…。
次いで本格的に授業が開始され…
この世界に於ける「魔法」の原理が教師によって解説されて行く…。
教師の説明によると…
1.魔法陣に書き込み…発動させる呪文は…
他の生徒が誰も知らない言語が望ましい。
2.魔法陣に書き込み…発動させる呪文は…
長い歴史のある言語が望ましい。
だそうで…憲三郎は迷わず「漢字」を基本言語に設定し…
早くも頭角を顕し始める…。
後半ではグレイスの過去が描かれる…。
憲三郎「小さい頃のグレイスは…」
「ドワーフの親方の工房や…」
「庭師の仕事を眺めるのがスキな子供だったのだけれど…」
「淑女教育を受ける様になってからというもの…」
「淑女らしくないという理由で徐々に足が遠のき…」
「自分にも他人にも厳しく…」
「使用人たちへの対応もキツイものになって…」
「『悪役令嬢グレイス』の『原型』が形作られていった…」
「なれど…」
「本来の『少女グレイス』の性質を鑑みるに…」
「…………………………………………………………………………………………」
ずっとずっとずっと…黙って考え続ける憲三郎(グレイス)…。
この…憲三郎の「長長長長長考」こそが…
今回のキモで…第1話では憲三郎の「長所」は…
30年に渡る社会人生活によって培われた
「一般常識」であると描かれていたのだけれど…
憲三郎の…本当の「長所」と言うのは…
「思慮深い」点にあるのではないのだろうか…?
憲三郎は…グレイスに課せられた「役割」に疑問を持ち…
「子供と言うのは…本来の性質をスキなだけ延ばして育てるものだ…」
という彼の「親目線」がグレイスに対しても発動し…
「淑女教育」によって角を矯められたグレイスを気の毒に思い…
「少女グレイス」が本来持っていた長所を生かし…
彼女を伸び伸び生きさせるコトによって…
「可能性としてのグレイス」を…顕現させる心算なのではないのか…?
憲三郎は…深い思慮を背景に…
グレイスを…「育て直す」心算なのではないのか…?
つまり憲三郎はこの乙女ゲームの「悪役令嬢グレイス」に感情移入を始め…
「このままではあまりにも…この子(グレイス)が可哀想だ…」
と架空のキャラに対して憐憫の情が湧き…
この乙女ゲームの二次創作を…
アタマの中で紡ぎ始めたのはないのかと…
僕は言っているのである…。
憲三郎は最初…グレイスを…
彼女に与えられた「悪役令嬢になる」という役割を…
ゲームシナリオ通りにキチッとこなすコトに腐心していたが…
ソレが「間違い」であると思い至り…
「子供は…本来の素直な性質そのままに伸び伸び育つのが一番いい」
と…目標を修正し…二次創作を開始しているのだ…。
憲三郎は…自分に与えられた役割を…
キチッとこなすコトに誇りを持っていたが…
その考えが子供の可能性の芽を摘んでいるコトに気付き…
「自分の役割」…「自分が生まれて来た目的」は…
自分自身で探すものだと思い至って行く…。
憲三郎は…グレイスを「悪役令嬢」にしない気なんだよ…。
だってソレは…少女グレイスの「本来の望み」じゃないから…。
コレからきっと…憲三郎は…グレイスの「本来の望み」を追究し…
彼女の「本来の望み」を叶えさせてやるために腐心して行くのだろう…。
だって…ソレが…「子を想う親の望み」なんだから…。
グレイスは今や…「憲三郎の子」なんだよ…。
子に…フシアワセになって欲しい親はおらず…
子の…「悪い星回り」をなんとか軌道修正して…
シアワセに導こうと腐心するものだ…
憲三郎が「多くを望まない」のは自分自身に対してであって…
子に対してはシアワセになって貰う為に「多くを望む」のだ…。
僕は…そう信じている…信じたいと思っている…。