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「池谷仙克アートワークス」レビュー「百のくだくだしい説明よりもーのデザイン画が雄弁に物語る美術書に斯くもくだくだしい無粋なレビューを付記する無作法をお許し願いたい」。
池谷仙克(いけや・のりよし)氏は1940年8月31日東京都八王子市生まれで
武蔵野美術大学在学中から映像業界に携わられ
円谷プロダクションの「ウルトラマン」(1966)から
特殊美術助手として参加され
「ウルトラセブン」(1967)後期からは怪獣やセットのデザインを担当され「怪奇大作戦」(1968)の本編美術の他,「帰ってきたウルトラマン」(1971),「シルバー仮面」(1971),「アイアンキング」(1972),
「ファイヤーマン」(1973)などの怪獣デザインを担当されました。
他方1969年盟友・実相寺昭雄氏を中心としてコダイ・グループを結成し
映画「無常」(1970)以降,映画の美術の分野でも活躍されました。
また舞台など多分野でも活躍され
特にテレビCMでは多くの美術を手掛けられてます。
氏の多方面の御活躍を鑑み,本書では
「テレビ作品」,「映画作品」,「コマーシャル作品」の3分野に大別し,
個々の作品毎にデザイン画を展示する形式となっております。
テレビ作品は
「ウルトラマン」(1966),「ウルトラセブン」(1967),「怪奇大作戦」(1968),
「帰ってきたウルトラマン」(1971),「シルバー仮面」(1971),
「ミラーマン」(1971),「アイアンキング」(1972),「ファイヤーマン」(1973),「ウルトラマンティガ」(1996),「ウルトラマンダイナ」(1997)他。
映画作品は
「曼荼羅」(1971),「あさき夢みし」(1974),
「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」(1972),「歌麿 夢と知りせば」(1977),「陽炎座」(1981),「さらば箱舟」(1984),「悪徳の栄え」(1988),
「帝都物語」(1988),「ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説」(1990),
「夢二」(1991),「結婚」(1993),「写楽」(1995),
「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」(1997),「D坂の殺人事件」(1998),
「姑獲鳥の夏」(2005),「シルバー仮面」(2006)他。
コマーシャル作品は
「お~いお茶」「プレミアムモルツ」他。
本書に掲載されたデザイン画は約450点にも上ります。
元怪獣少年としては「テレビ作品」の方を舐める様に鑑賞しておりますが
「映画作品」の方も「怪獣大奮戦~」「帝都物語」
「ウルトラQ ザ・ムービー」「シルバー仮面」等々見所満載です。
本書にはミニチュア修復師の原口智生,撮影の藤澤順一,
映画評論家で映画監督の樋口尚文の3氏が,
TV特撮・映画・CMの各ジャンルの
美術としての池谷氏を論じるコラムが掲載されてます。
とまれ本書は「デザイン画集」ですので
百のくだくだしい説明より一のデザイン画が雄弁に物語るというもの。
余計なお喋りが過ぎたようです。