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モンゴル武者修行2024初級編レポート①

 2024年9月に開催されたモンゴル武者修行初級編に参加した体験を記事にしました。旅行の様子や注意点などを紹介します。少しディープなモンゴル旅行を検討している方は、ぜひこの記事をご覧ください。
 


  • 筆者のプロフィール

    • 2024年時点で30代男性、会社員。某QCなぜなぜ改善改善うるさい巨大自動車メーカーの本社がある県に在住。

    • 海外旅行はこれまで3ヶ国(フィンランド、台湾、インドネシア)

    • 好きなもの、推し:ボードゲーム、中日ドラゴンズ、仕事猫、薬理凶室ヘアピンまみれ氏宇推くりあ氏お金

    • 苦手:人付き合い、集団行動、労働


1.モンゴル武者修行とは

 モンゴルでの遊牧民生活がよりリアルに感じられるようアレンジされている伊藤 洋志さん主催のモンゴルツアーです。
 「武者修行」というタイトルの通りやや骨太な内容ですが、一般的な体力があれば参加可能です。
 ツアーでは遊牧民の生活を間近で見学できる他、乗馬、ゲルの解体、組立、羊の解体など各々の希望に沿って様々な体験が出来ます。
 ツアーにはモンゴル人の通訳の方もつくため言葉に不安があっても安心して過ごすことができます。
 費用は約30万円と一見すると高いようですが、体験内容などを考えるとむしろ安いくらいであり、モンゴルの魅力を存分に味わいたい方にはおすすめのツアーです。
詳しくは下記の怪しいHPを参照してください。

2.参加のきっかけ

この章では参加のきっかけを書きます。つまり、100%自分語りです。そんな存在はフヨウラ!という方は読み飛ばしてください。
参加の理由は大きく下記のとおりです

  1. 伊藤洋志さんの本を読んだ

  2. 草原で乗馬をしてみたかった

  3. 遊牧の文化に興味があった

  4. 屠畜に興味があった

  5. 体力、年齢を考えて

順に解説していきます

1.伊藤洋志さんの本を読んだ

 学生時代、就職先が見えず社会適応能力と労働意欲の低い自分が社会でやっていけるのか不安だったときに伊藤洋志さん著の「ナリワイをつくる」を

読みました。詳しくは本を読んでいただくとして、このような生き方もあるのだなという発見と自分が抱えていた違和感みたいなものを言語化してくれていて感銘した覚えがあります。結局はここで書かれている生き方とは逆の生き方をしてしまっていますがコアとなる考え方は生きているように思います。
 ぜひ一度伊藤さんに会ってみたいなと思い調べた結果、元々興味のあったモンゴルツアーに行き当たりました。当時はお金がなく参加できませんでしたが、ようやく貯金もできたということで参加を決めました。よく今までツアーが残ってくれたと思います。よくウェブアーカイブにならなかったなと思う

2.草原で乗馬をしてみたかった

 草原での乗馬は、長年の淡い憧れでした。馬に乗って風になりたいという、中二病の夢を一度は実現したいと思っていました。
 この憧れは、漫画やゲーム、歴史への興味から生まれました。特に、私の好きな漫画、佐々木倫子著「動物のお医者さん」

が憧れのきっかけになりました。今考えると、ハムテルや二階堂はほとんど乗馬していないのですが。
 また、「ファイアーエムブレム 封印の剣」や「烈火の剣」の影響も大きいです。遊牧民のサカ族のキャラクター、「リン」、「シン」、「スー」やその世界観が、私の中二心を刺激しました。特に「封印の剣」屈指の難関、18章「サカの掟」では、草原のゲルから次々と遊牧民が出てくるギミックが印象的で、一度サカの民になってみたいと思ったものです。
 他にも森薫著「乙嫁語り」や様々な作品から草原への淡い憧れが生まれました。

 さらに、ユーラシア大陸を支配し元の時代を作り上げたカギとなり、日本の戦国時代でも重要な地位を占めた馬に触れ、どのくらい強力だったのか体験してみたかったということもあります。日本の馬はサラブレッドが一般的ですが、当時の馬はもっと足が短く、ガッシリした体型だったようです。モンゴルで当時のような馬に乗り、歴史を体で味わいたかったのです。

3.遊牧の文化に興味があった

 遊牧民について、私の中には「定住をしない」や「自由気まま」といったざっくりとしたイメージがありました。日本では、定住を主体とした都市生活が一般的です。私自身も、自己家畜化した都市住民として生活しています。この選択には大きな利益がある一方で、さまざまなしがらみや不自由さも伴います。
 遊牧という生き方は私の想像を超えたものであり、日本での生活に何らかのヒントがあるのではないか、あるいは新たな視点を得られるのではないかと考えていました(実際には、遊牧民も多くのしがらみや制約の中で生活していることを知るわけですが)。
 また、全く未知の文化や生き方に触れてみたいという単純な好奇心も強くありました。

4.屠畜に興味があった

 私たちは日々肉を口にしていますが、その生産過程は特性上、なかなか目に見えないものです。しかし、私は何も知らないまま食べることになんとなく違和感を覚え、屠畜やジビエに関する本を何冊か読んだことがあります。その中でも内澤旬子著「世界屠畜紀行」を読んだことで、屠畜に対する私のイメージは大きく変わりました。

 この本では、屠畜が無駄なく洗練されていること、頭の先からしっぽの先まで全てが利用されること、そしてしめたての肉の美味しさが生き生きと描かれています。ぜひ、伝統的な屠畜を実際に見て、肉を味わってみたいと思いました。

5.体力、年齢を考えて

 悲しいことに何もしないと体力が低下する年代に差し掛かってきたため、体力的に厳しい旅行は若いうちに行うべきだと感じていました。また、前年にインドネシア旅行のためにワクチン接種をしたので、その効果があるうちに行きたかったという思いもありました。

以上のような諸々の興味や好奇心を満たせるものとしてピッタリだったということが参加のきっかけです。

3.前もって知っておきたかった情報

 ここでは私が参加前に知っておきたかった情報とそこに対する答えという形で必要事項を記入していきます。これを読むことで皆様の助けになれば幸いです。

モンゴルへの行き方

成田空港→ウランバートルへの直行便 約5時間
数年前までソウル経由の乗継で行けたようだが無くなったらしい。
一旦、成田空港に集合してから向かうことになる。
航空券はよく確認すること

持ち物

  • 必須

    • モバイルバッテリー×2  : 携帯など充電用。1個を充電しつつ、片方を使用すると自由が効く

    • 防寒着(真冬レベル):夜はかなり冷える。雪が降ることもある。寒暖差が激しいのでレイヤリングで対応。乗馬の際はシャカシャカした服は着られないので注意。寝る時用の防寒は特に大事。登山用のダウンは小さくできるので良い。

    • サングラス:日差しが強く、辛い。私のような偏頭痛持ちはないと倒れかねない。

    • リップクリーム or ビタミンE:乾燥するため唇対策に。ビタミンEは中身を塗布する

    • 保湿クリーム:乾燥対策

    • 日焼け止め

    • 歯ブラシ、フロス:歯ブラシの備え付けはない。肉を食べる都合上歯にモノが挟まることが多い

    • マット(野営用):ゲルで野営する際に使用。ダンボールでも良い。

    • 寝袋:こちらも野営用。寝る際に寒い時にも使える。

    • 水筒(できれば魔法瓶):遠出することもあるのであると安心。暖かい飲み物をいつでも飲めるというのは大変良い。カンガルーポケットに入れられると乗馬のお供にできる。

    • 雨具:天候は急に変わりやすいのでできれば欲しい。カッパは防風にも使える。

    • 懐中電灯:草原に街灯はない。私は夜盲なので無いと死ぬ。

    • 腰用のサポーター or 布:乗馬、オフロード走行時に使用。

    • すねあて or 長靴:乗馬で使用。あぶみは金属製なので当たると痛い。

    • 軍手(防寒):乗馬や作業時に。ホームセンターで売っている厚手のラバー生地が安心。

    • ロキソニン:標高が高いこと、寒暖差が激しいことなど偏頭痛のタネが多い

    • 時計:草原に時計はない。集合は時間で決められる。

  • できれば欲しい

    • ゴミ袋

    • ソーラーパネル:モバイルバッテリー充電用。コンセントは争奪戦になりがち。

    • ヘルメット:一応貸してもらえるがあるに越したことはない

    • ティーパックなど好きな飲み物

    • 遊牧民へのお土産:申込時に解説あり


泊まる場所

 草原の中にあるゲルキャンプに宿泊。15個ほどのゲルが並んでおり、1ゲルに2-4人、男女別に宿泊する。ゲルにはベットと薪ストーブがある。電気はカーバッテリーを通じて20時ごろから点灯する。コンセントはない。薪ストーブはキャンプの人が夕方、寝る前、朝に点火してくれる。薪も用意してくれる。
 ゲルの特性上、断熱はあまり良くない。薪ストーブはあっという間に暖かくなるが持久力に乏しい。1時間に1回程度薪を補充必要がある。
 食事は中央の大きなゲルで皆集まって食べる。
 ウランバートルではマンションを数部屋借りる。2LDKでベットもたくさんある。

言語

 モンゴル語。キリル文字を使用。発音はロシア語に近い(気がする)。私は外国に行く際はその国の「ありがとう」と「こんにちは」くらいは言えたほうが良いだろうと考えており、今回も旅の指差し会話帳を購入した。しかし、本を読んでも全く覚えられないうえにカタカナ発音と実際の発音があまりに乖離していたため諦めた。しかも、伊藤さん曰く「ありがとう」とあまり言わない文化だそう。会話帳はフヨウラ! 余談として、通訳さん曰く「日本語とモンゴル語は語順が同じなので日本語は簡単」とのこと。本当?

気候

 猛烈に乾燥しており寒暖差が激しい。9月は昼30℃、夜0℃という自律神経が崩壊しかねない過酷な環境。乾燥はすさまじく、ケアしないと指がささくれだらけになり、唇がバキバキに割れる。夜は寒くて目が覚める程度に冷える。レイヤリングによる調整をしないと辛い。日差しが強烈で日焼け止めとサングラスは必須。
 日毎の気候の変化が激しく、30度近く出ていた翌日に雪が降ったことも。万全の防寒をしたい。
 モンゴル人曰く「環境が過酷だから肉を食べなきゃやってられない」らしい。肉を食べてどうにかなるのが凄い。

食事

 キャンプの食堂で毎食提供される。内容も豪華。肉だけではなくスープ、パンや米、麺、野菜、果物も出る。魚は出ない。味付けはシンプルで塩のみが多く素朴な味わい。変に香辛料が使われていない分、日本人には比較的なじみやすいと思われる。私はお腹を壊すことは全くなかった。

水、飲み物

 水道水は飲まないほうが良い。キャンプでは井戸水がある。お茶、お湯が十分提供されるため水筒にいれて持ち運ぶとよい。街にはコンビニ多数。

衛生

 キャンプにシャワーあり。お湯も用意している間は出る。洗面台、トイレもある(しかも洋式!)。洗濯も頼めば可能(有料)。ただし、キャンプ、都市部以外では男女問わずワイルドな場所でトイレを済ませる必要がある(一応目隠しがあることもある)。不安ならトイレットペーパーとゴミ袋があったほうがよい。

電気

 キャンプの食堂に充電ステーションがある。モバイルバッテリー、スマホくらいなら充電可能。ただし電源タップは争奪戦になるので三ツ口を持っていくかソーラーパネルで充電するのが良い。ドライヤーの使用は諦めよう。
 街灯はもちろんないので懐中電灯はほぼ必須

携帯電波

 電波状況は良く、草原の中でもインターネットに十分につながる。街と街の間はたまに電波が弱くなる。SIMを購入しておくとよい。

乗馬

 最初は遊牧民に引いてもらう。彼らが認定すれば順次1人で馬に乗れるようになる。3日間乗る機会があったが、1人で乗れたのは半数程度。なかなかシビアである。体幹を鍛えておくと良い。私は早い段階で1人で乗れた。私はヨガをちょこちょこやっているのだが、この時ほどやっていて良かったと思ったことはない。
 落馬した人は私が知る限りいない。評価基準は未だに不明であるが、彼らの見る目は正しかったのだろう。
 下半身で揺れを吸収する必要があるので、膝が元気なうちに参加することをオススメする。

お金

 草原にいる間は不要…というか伊藤さんが必要な時は建て替えてくれた。都市部はキャッシュレス化が進んでおり、市場にでも行かないと現金を使う機会は少ない。基本的に現金は不要だが、どうしても不安なら5000円程度キャッシングするか両替しておくと良いだろう。私は両替していない。クレジットカードはほぼ必須。

参加者

 私が参加した時は参加者14名+伊藤さん、通訳さんで計16名。参加者の内訳は男性4人、女性10人、20代以下が半数程度。グループでの参加はほぼなく、ペアかソロ参加といったところ(のはず。あまり正確に把握していない)。男性参加者の中では私が最年長だった。職業も様々で学生もいた。
 決して安くはない費用と休みを捻出し、怪しいHPから申し込むことができるという時点で、熱意のあるきちんとした人ばかりである自分が1番ダメだった。さらに、私も含め人見知りで集団行動が苦手だという人も多かった。
 非常に雑にまとめると、「それなりにきっちりと社会生活を送る能力はあるが、集団行動が苦手で人見知りである。一方で謎の行動力と決断力がある自由人」が集まっているというように見えた。もちろんそうでない人もいる。
 もし不安があってもどんな人でも気軽に参加して良いと思う。女性や1人でも全く問題ない。なぜならこのツアーに興味がある時点で大なり小なり似ている人が集まっているからである。
 最悪気が合わなくても1週間だけだから人間関係以外に全力を出せば良いと割り切っても良い。

以上で旅の前の記事になります
次からは実際の旅程などについて詳しく書いていきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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