初心者オーロラ観測者から見たオーロラ観測の現実と反省(1/2 理論編)
0.まえがき
私は2019/2/9~2/16に JTB のツアーを利用し、フィンランド旅行に行った。人生初の海外旅行としてフィンランドを選択した大きな理由はオーロラである。テレビや写真で盛んに取り上げられるその姿は多くの人々を魅了し、実際に見たいと願う人を産み出している。私もその1人であった。ツアーでは5夜チャンスがあり、1夜はオーロラを見るためのチャーター飛行機を飛ばす(以下、オーロラフライト)というのである。オーロラ以外にもフィンランドには美しい自然やデザイン、犬ぞりなどオーロラ以外にも私の夢だった楽しみが多くある。これは行くしかない!!!そして気が付けば私はボーナスをJTB に差し出していた。
結果、5夜に帰国中の飛行機での1夜を加え計6夜のチャンスの中、4夜オ ーロラの観測に成功した。この中でもオーロラフライトの中で見たオーロラは言葉では形容のできない、人生でも得難い体験であった。見えた瞬間に体に電撃のようなものが走り、涙があふれた。あのような経験ができて本当に良かった。あの景色があるというだけで今後の人生に前向きに取り組めると思えるほどのインパクトであった。一方で、オーロラの現実も嫌というほど味わった。
1.この文章の概要
この文章では初めてのオーロラ観測を通じて得た知見から、観測前の期待と現実、結果を考察し、今後のオーロラ観測に参考になるよう総括を行う。 そのために2章では私なりにオーロラ観測に必要と思われるオーロラの概要を書く。ここは必要がないと思われれば飛ばしてもらってかまわない。
3章では実際に得た感想や反省を書いていく。今回のメインはこれなのでここだけ読んでもらってかまわない。
2.オーロラの原理と概要
オーロラとはそもそも「何が」、「どのように」光るのだろうか。オーロラが「何かよく分からない緑の美しい光」くらいのイメージだけでもよい。そもそも現代科学をもってしてもオーロラの全容は分かっておらず、その意味でイメージに違いはない。しかし、分かっていることもある。その知識が多少あるかないかで観測の効率がずいぶん違うと思われる。特に一生に1回1週間観測に行ければラッキーくらいの私のような観測者にとってはその機会は絶対に逃したくない。 極寒の地で何時間も待つことも難しい。
そこで、オーロラ観測に必要な知識を記載する。後半ではもう少し踏み込んだ部分も書く。ここは興味がある人が読んでもらえればいいと思う。見る人が見ればもっとこういうことも分かるし、もっと効率がいいよという話もあるだろう。そういう場合は是非!是非!教えて欲しい。私も見られるものなら毎日でも見たいのだから。
2章前半
2章前半ではオーロラ観測に必要と思われるオーロラについての概略を述べる。私自身難しいことはよく分からないので分かる範囲で書く。
2.1 オーロラの光源
オーロラは何が光っているのだろうか?「太陽光」は文字通り太陽が光っている。「白熱電球」では(タングステンなどの)フィラメントが光る。さて、オーロラは何が光っているのだろうか。答えは地球の空気である。"空気が光る"というと驚くかもしれない。普段透明で意識もしない空気が光るというのだから。しかし、空気が光る現象は身近にあって、 雷や静電気はその例である。オーロラと雷は親戚である。さて、空気がどのようにして緑色の幻想的な光を放つのだろうか?
2.2オーロラと太陽
空気がオーロラになる犯人、それは太陽にある。日本で太陽は一年中昇るので日本でもしょっちゅうオーロラも見えそうなものである。でもオーロラはめったに出ない。特に北海道より南では絶望的である。一方で、太陽が昇らない日もある北極圏ではオーロラが見える。なぜだろうか?それは光ではなく太陽から出ているある物質が空気を光らせているからである。
2.3太陽風
空気は太陽から出ている物質、太陽風によって光る。「何それ?」簡単に書くと、 太陽風とはプラズマである。プラズマとは
これで終わると読者が離れそうなのでもうちょっと詳しく書こう。太陽は主に水素やヘリウムでできている。初耳の方もいると思うが実はそうなのである。 巷で流行の水素水、声を変えるヘリウムガスでおなじみのあれである。水素やヘリウムが何であんなに熱いの?というとこれはこれで長いので調べてみて下さい。ともかく、太陽の熱で熱せられた水素やヘリウムは壊れてバラバラになって、太陽から飛び出してしまう。その壊れたものがはるばる地球にやってきている。それが太陽風である。
バラバラになったものの中身は主に電子である。電子とはマイナスの電荷を帯びた粒子である。要は電気の素である。地球にやってきたプラズマは地球の空気に衝突する。衝突すると空気はプラズマからエネルギーをもらう(簡単に書くと空気が熱くなる)。空気はエネルギーが高い状態では不安定なので、元の状態に戻るためにエネルギーを放出する。このときに光を放つ(熱を光として放出する)。こうして空気が光る。この辺りは後半で詳しく書く。つまり、太陽から飛び出だしてきた粒々が地球に降って来て、空気に衝突しオーロラを引き起こすと いう訳である。
2.4 地磁気との相互作用
太陽風はそのまま地球に降ってくるのだろうか。答えはノーである。それは、地球が磁石を持っているからである。方位磁石を思い出してもらえればいい。太陽からやって来たプラズマ電子は地球の持つ磁石(以下地磁気)と相互作用する。電気と磁石がどう作用するか。これは例えばフレミングの左手の法則でイメージができる。久しぶりに聞いた方もいるのではないかと思う。"フレミン グ左手の法則"・・・。学校で使って以来だと思う。当時、何のために習っていたか疑問だった方もいると思うが、そう!オーロラを見るためである!!
地磁気によってプラズマ電子はいったん外へと弾かれる。地磁気に弾かれたプラズマの一部は地球の後ろに回り込み、プラズマシートと呼ばれる領域に溜め込まれる。なお、この辺が何で起こるのかはよく分かってないらしい。だからか、一般向けの本にはこのあたりはぼんやりとしか書かれていない。そして、溜め込まれたプラズマが何かのきっかけで地磁気に沿って地球に流れこむ。この時、プラズマは磁力線に沿ってスパイラル運動をして地球に降ってくる。これはまさに右ネジの法則である。これもオーロラを見るため!
ここから、オーロラが昼に比べ夜に高い確率であらわれる理由が分かる。太陽と地球の後ろ、即ち地球の夜側にオーロラの元となるプラズマが降ってくるからである。
つまり、地球の磁石によって地球の後ろに回り込んだプラズマ電子が地磁気に沿って地球にやって来て空気を光らせ、オーロラを引き起こすという訳である。
2.5オーロラを観測できる地域
プラズマ電子がオーロラを引き起こすことは分かった。ではそれは地球のどこに降ってくるのか。降ってくる土地に行けばオーロラが見られるでしょう。その通りである。既に偉大なる先人達が調べている。オーロラに興味がある方なら「オ ーロラベルト」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれない。これはオ ーロラを高確率で見ることができる位置が示された輪である。
この図の領域にオーロラがよく出るということである。なお、3章で述べるが、オーロラベルトにかかった地域に行けばオーロラが「見える」かというとそうでもな いと考えられる。この図がなぜ出来るのか。プラズマ電子が地磁気に沿って降ってくるからである。地磁気の分布が見事に反映されている。図をよく見るとオーロラベルトの中心は北極点から少しずれていることが分かる。これは地球の磁石が北極点からずれているからである。だから方位磁石の示す北は実は真北ではない。
よって、カナダは南のほうまでオーロラベルトに覆われているのに対し、フィンランドでは北のロバニエミまでいかないとオーロラが見られない。同様にニューヨークは北海道よりも南にあるにもかかわらず、1年に10回はオーロラが観測出来る。一方であまりに北に行き過ぎてもダメで、例えば北極では見ることができないことが分かる。
オーロラが出現する場所=寒いというイメージがある。しかし、寒いからオーロラ見られるかというと、そうではないということが想像できる。寒い所でオーロラが出現するのは、今現在の地磁気の分布が偶然そうなっているからに過ぎない。それで日本人はわざわざ北の果てに行くのである。地磁気は時代によって変化するので、しばらく待てば日本でも見ることができる可能性があるかもしれない。地磁気の逆転がいつ起こるかは不明であるが、数万年のオーダーになると思われるので皆さん長生きしましょうね。私は諦めて北に行きますけど。
オーロラベルトと似た言葉で「オーロラオーバル」といわれる用語も存在する。これはその時々で実際に出現しているオーロラの輪である。オーロラオーバルはその時の太陽や地磁気の状態によって変化する。オーロラベルトはオーロラオーバルが出現するおおよその地域を表している。
2.6 オーロラを観測できる場所
オーロラは「北に行って冬に見るもの」というイメージはこれまでの説明である程度崩れたのではないだろうか。要はプラズマ電子が降ってくる場所に行けばいいんでしょうと。しかも太陽には地球の季節なんて関係ない。それなら真冬じゃなくてもいつでもいいでしょうと。その通りである。しかし、もう一 つ条件がある。それは十分に暗いことである。オーロラは月光でも妨害されるほど弱い光である(私は肉眼で見る前はそんなことはないだろうと疑問に思っていたが今となっては100%同意である)。一方でオーロラベルトの下のほとんどの地域で夏は白夜になってしまい、肉眼でのオーロラ観測は不可能になってしまう。そのため暗くなる時間の長い冬が観測に最適となる。だから冬にオーロラツアーがよく企画される(飛行機の値段が安いこともあるだろう)。とはいえ、 夜が来る時期に行けば何も真冬に行かなくたっていいのである。秋にオーロラを見よう!という旅行プランも存在する。フィンランドよりももっと寒い、真冬は-30℃当たり前のオーロラ観測のメッカ、イエローナイフも案外南にあるので8月後半から9月でもちゃんと日が沈み、オーロラ観測が可能である。
つまり、オーロラを見たければ「オーロラベルトの下の地域に行き」、「行く時期に夜が来る」ことさえクリアできればあとはお好みでプランを組み立てれば良いことになる。
2.7 オーロラを観測できる時間帯
オーロラが観測できる地域と季節は分かった。では現地に行っていつ空を見 ればいいのか。理想的な答えは「暗くなっている間ずっと」。夕方を逃すと明け方にしか見られない種類のオーロラもあるので、これを見たければ明け方まで起きているしかない。具体的にいつ出るのかはよく分からない。何しろ太陽と地球が相手なのだからしょうがない。とはいえ、海外で一晩中空を見るというのはプロならばともかく、旅行者に要求するのは厳しいと思う。もう少し考えてみよう。
2.4 でも述べたように、地球の後ろに回り込んだプラズマ電子がオーロラを引き起こす。そのため、太陽と地球の後ろにプラズマがいる時間、つまり23-24時前後が良いようである。23時前後1時間+αを基本に見ておけば良いのではないかと思う。ここから体力、翌日の予定と相談して観測をする。
また、参考になる情報がアラスカ大学のHP(https://allsky.gi.alaska.edu) にある。これは全天カメラで撮影したその日の夜の映像を流しているサービスである。これを何日か見てもらえば少しは傾向が見えるのではないだろうか。この辺りはもう少し見てみたい。
2.9 オーロラと天気
オーロラは晴れた日でないと見られない。これは旅行中何度も味わった教訓である。なぜ晴れた日でないと見られないか。これはオーロラの高度に答えがある。オーロラは地上から100km~300km に出現する。一方で雲は高度数 km にあることを考えると、雲がかかるとオーロラは全く見えないことが分かる。飛行機に乗ると雲の上に出ることができるのでオーロラを見る確率がかなりあが る。
イエローナイフがオーロラ観測に良いとされる理由は晴天率の高さにもある。 いくら見事なオーロラが出ていても晴れなければそもそも見ることができないので、晴れていることはオーロラ観測の絶対条件である。曇りの日には雲が切れる瞬間にオーロラが出ることを祈ることになるが初心者にこれを要求するのはかなり厳しいと思う。
2.10 地平線
オーロラを観測する際にあると良いものがある。それは地平線である。 オーロラはオーロラベルト下のどこに出てもおかしくない。だから、なるべく遠くを見通せた方が観測範囲が広がるため、オーロラを観測する確率が上がる。 真上しか眺望がない場所であれば真上にオーロラが出ることを祈ることになるため厳しい戦いになる。 実際に現地ツアーのオーロラ観測バスが山の上に行った。今考えるとあれはかなり合理的だったといえよう(私がそのことに気が付いた時には既にヘ ルシンキにいた。大変悔しい!!)。もっとも、その日は地平線の果てまで曇っていたが。ロバニエミで宿泊したホテルは山の上にあった。これもオーロラ観測には大変合理的であったといえる。観光はおいといて。
2.11 太陽活動
オーロラは太陽の活動と密接に関係がある。太陽活動は周期的に変化していることが知られており、その中でも11年周期が有名である。11年周期の極大前後で一番オーロラが観測されるそうである。しかし、極大の年にイエローナイフへ訪れても3日間オーロラが出ない日もあれば極小の時でも見事なオーロラが見えることもあるそうである。この辺りはあまり気にせず、行けるときに行く方が良いように思う。しかも、周期はその時々で数年前後するため本当にその年がベストかはよく分からない。
2章後半
ここからは2章後半である。前半ではオーロラの原理、観測に重点をおいた記述をした。後半ではオーロラの色や形について概要を記述する。ここからはより興味がある方は読んでもらうと良いと思う。まあ読まなくてもいいと思う。もっとオーロラについて詳しく知りたい方は参考文献を読んでいただくと良い。特に 「高度一万メートルから見たオーロラ(2012)(東海大学出版会 国分 勝也 著、 佐藤 夏雄、利根川 豊 編)」
は写真も豊富で良いと思う。プロから見るとこのレベルかということになるもしれないがご容赦願いたい。
2.12 オーロラの色
オーロラの色といえば緑もしくは赤というイメージがあるのではないだろうか。これにはちゃんと理由がある。実はオーロラは虹のように七色に光る訳ではなく、特定の色が光る。緑、赤色が発色する理由は主に酸素原子にある。 いままでは空気が光ると書いていたが、実は光っているものの正体は主に酸素原子である。オーロラの発生する領域では空気の組成は地上とは全く異なる。 地上とは異なり、酸素原子やヘリウム、水素などが主な構成元素になる。また、 高度によってもずいぶん違う。実はそれがオーロラの色にあらわれている。
さて、酸素原子がなぜ緑や赤に発色するのだろうか。これはエネルギーをもらった原子が光として放出できるエネルギーが決まっているからである。酸素原子の場合、放出できるエネルギーはちょうど緑色や赤色に対応している。だからオーロラは緑や赤色に光る。もし大気が別の元素でできていればオーロラの色は変わることになる。だから、他の惑星で発生するオーロラは地球とは色が違う。
もう少しそれっぽく書くと、原子がエネルギーをもらった状態を「励起状態」 といい、エネルギーをもらっていない状態を「基底状態」という。プラズマによって励起状態になった酸素原子が基底状態に移る(「遷移する」という)際に エネルギー、ここでは緑色の光を放出する。こういうことが分かり始めたのは100年ほど前からである。量子科学という分野になる。私も詳しいことはよく分からないので気になる方は参考文献等を調べてみてください(こんなことを書いていることを大学に知られてしまっては学位が取り消されるかもしれない。くれぐれも内密に!!)。
そして、エネルギーを放出するためにかかる時間も色によって異なる。酸素原子が緑色の光を放出するまでには約 0.74 秒、赤色を放出するまでには約 110 秒かかる。だから、高度の低い所では空気が濃く赤い色のオーロラは見られない。空気が薄い所でないと光を放出する前に他の原子、分子と衝突してエネルギーが逃げてしまうからである。
そして、もっと高度の低い所では窒素分子が光るようになる。これはピンク色のオーロラになる。窒素分子が光るためには高いエネルギーが必要である。 だからピンク色は緑色よりも見える確率は低いことになる。
オーロラの色はこの他に人間の目の特性に大きく依存している。人間の目は暗い所では赤色が見えにくい。そのため赤色は実際よりもかなり弱く見える。 オーロラの発色について簡単には説明しきれないが雰囲気だけでも分かってもらえればと思う。
2.13 オーロラの色と分類
オーロラは形や色に応じて分類されている。ここでは色での分類について触 れる。
オーロラはまず、「はっきりとしたオーロラ」と「ぼんやりとしたオーロラ」 の2種類に大きく分けられる。そのなかでも「はっきりとしたオーロラ」は色に応じてタイプ a から f まで分類されている。それぞれのタイプの特徴を簡単に書く
タイプ a : 上が赤く下が緑色のオーロラ。主に酸素原子の発色。
タイプ b : オーロラの下部がピンクに色づくオーロラ。窒素分子によりピン ク色に光る。 私がオーロラフライトで見たものはおそらくこれ
タイプ c : 全てが緑色のオーロラ。多分写真等で一番有名だろう。
タイプ d : 全てが赤色のオーロラ。フィンランドではこれを見ると幸運になると言われているとか。そう言われるのも納得の難易度。酸素原子の発色。
タイプ e : タイプ b のうちピンクの部分を指していると思われる(本を読んでもよく分からなかった)
タイプ f : 明け方や夕方に見られる赤紫色のオーロラ。窒素分子イオンとプラズマ、太陽光との相互作用で発生する。これも見る難易度は高いと思われる
2.14 赤いオーロラ
ここでは赤いオーロラに絞って記述する。赤いオーロラは2種類存在する。
一つは 2.13 で述べたタイプ d のオーロラである。これは本当に全て赤色に発色しているオーロラで、出現率は相当レアである。なぜならプラズマのエネルギーが大きいと緑色が発色してしまうからである(2.12 の図を見直してみてください)。反対に弱すぎる場合は色が出ない。だから丁度いい強さのプラズマが降ってこなければならない。加えて、人間の目は暗い所では赤い色がとらえにくい。以上から、「ちょうどいいエネルギーのプラズマが沢山降ってくる」という条件を満たす必要がある。これは大変にレアである。もしこれが旅行中に見られたら一生分の運を使ったと言っても良いのではないだろうか。
もう一つ赤色に見えるオーロラがある。これは北海道やパリなどオーロラベルトよりもかなり南の地域で観測される。このオーロラは実は全てが赤いわけではない。見ているものはタイプ a のオーロラである。それではなぜ赤色になるのか。それはオーロラの上部を見ているためである。例えば北海道から北のオーロラを見ようとすると、地球は丸いので地平線の下にオーロラの下部(緑色)が隠れてしまうのである。日本で見られる オーロラが赤いのはこれが理由である。もちろんこれも相当にレアである。しかし発生する理由はタイプ d のものとは異なる。
2,15 オーロラの形
ここではオーロラの形について記述する。 オーロラは様々な形があるように見える。しかし、これは人間の見る位置によって変わっているように見えることが多い。オーロラは基本的にカーテンの形をしている。このカーテンをどこから見るかで形が変わって見える。以下、 大まかに3種類の分類を書く
アーク(弧):薄い線のように見えるオーロラ。遠くの方からオーロラを見るとこのように見える。
バンド(帯):写真等でよく見られるカーテンの形。オーロラといえばこの形。 アークオーロラを見ながらどんどんオーロラに近づくとバンドに見える。
コロナ:放射状に降り注ぐオーロラ。オーロラが降ってくるように見える。 バンドからさらに近づきオーロラの真下に入るとこのように見える。雨雲の下に行き上を見ると雨が降ってくる様子が分かる。これと同じように、まさにオ ーロラが降ってくるように見える。
以上3種類を記述したが、他にも見え方や広がり方によって分類がなされている。この3種類の中でもコロナ型は最も見る難易度が高い。
2.16 コロナ型オーロラ
コロナ型オーロラはとてもレアである。これはオーロラの厚さが理由である。オーロラカーテンの厚さはおよそ 500~1000m と言われている。コロナ型オーロラを見たければその範囲に入らなければならないということである。オーロラを見ることがレアなのに、さらに真下に入るとはどれほど確率が低いのだろうか。恐らくオーロラベルトの真下に住んでいる人が1年に1回見られるかどうかというレベルではないだろうか。
余談だが、世の中には「赤いコロナ型オーロラ」をとらえた写真が存在する。 この人はどんな気持ちで写真を撮ったのだろうか。これを見たければ一生をオーロラに捧げる気持ちがないと観測はできないだろう。
以上、少し踏み込んでオーロラについて記述した。さらに詳しく知りたい方は参考文献や Web ページが私の記述よりも詳しく分かりやすくかかれているので色々調べてみてください。
参考文献
高度一万メートルから見たオーロラ(2012)
(東海大学出版会 国分 勝也 著、佐藤 夏雄、利根川 豊 編)
オーロラの科学―人はなぜオーロラにひかれるのか(2010) (誠文堂新光社 上出 洋介 著)
オーロラ 世界で一番美しい光 (山と渓谷社 Brekke P 著, Broms F. 写真, 佐藤 博厚 翻訳)
オーロラの謎―南極・北極の比較観測(2015) (極地研ライブラリー 佐藤 夏雄、 門倉 昭 著)
アトキンス 物理化学(上、下)(2009) Julio de Paula、 Peter Atkins 著
美しいものを見に行くツアーひとり参加(2017) (幻冬舎 益田 ミリ 著)
ヤムナスカのオーロラ完全ガイド
http://www.auroranavi.com/aurora/solar-cycle.html
地磁気観測所
http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/qanda.html
アラスカ大学 HP
https://www.gi.alaska.edu/monitors/aurora-forecast
【保存版】オーロラを 10 回以上見た経験を元に、オーロラについてまとめてみ た
https://www.playearth10.com/archives/10357
プラズマとは?
https://p-grp.nucleng.kyoto-u.ac.jp/plasma
南極におけるオーロラ研究
http://polaris.nipr.ac.jp/~aurora/aboutAurora/aboutAurora_frame.html
第14回 「色」に対する「視覚」特性の要素(その1)
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color/vol14.html
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