#20 不動産広告(マイソク)の見方②
前回はマイソク用語についてご説明しましたが、今回はマイソクを見るときの「注意すべきポイント」について、ご紹介したいと思います。
マイソク=買ってもらうための商材
色彩豊かな写真や、格好良いCGで作られた完成予想図、魅力的なキャッチコピーなど、マイソクはみるだけでワクワクする情報がたくさん載っています。
ただ、マイソクはあくまで「商材」です。
物件や土地を買ってもらうための商材であり、掲載内容も「売る!」が目的で作られているということを忘れてはいけません。
また、マイソクも広告の一種なので不正広告や誇大広告は法律で禁じられており、不動産業界では法に基づき「してはいけない表示」と「しなければならない表示」を明確に定めています。
してはいけない表示
根拠のないメッセージや、実物よりも優良であると誤解を与える言葉、実際の価格と安くした価格を同時に表示する二重価格表示は、原則として「してはいけない表示」です。
ただし、具体的かつ客観的事実に基づくデータなどで証明できる場合は使用できるケースもありますので、引用元や参考元も確認しましょう。
【してはいけない表示の一例】
絶対 二度とない 完璧
完全 激安 格安
抜群 日本一 最高
超 厳選 今だけ〇%オフ
新築※
※「新築」と表記できるものは、建築後1年未満で未使用の場合に限られます。
しなければならない表示
下記のような条件の物件は、必ずそれを明記するよう義務付けられています。
マンションの場合は「階数」「管理費」「修繕積立金」
中古物件の場合は「築年数」
市街化調整区域にある土地(※1)
接道義務を満たしていない、土地付き住宅(※2)
セットバックが必要な物件(※3)
古屋が建っている土地
擁壁に覆われない崖上、崖下の土地
高圧電線下の物件
※1:原則として市街化調整区域には建物は建てられませんが、条件次第では市街化調整区域にも建物を建てることが可能です。ただし市街化区域に比べ遥かに労力が必要、かつ住宅ローン審査も通りにくくなる可能性が高く、いかに質の良い業者とタッグを組めるかが肝になります。
※2:住宅を建てる敷地には、原則として幅4m以上の道路に間口2m以上接していなければなりません。細い路地の奥に敷地が広がる旗竿敷地(路地状態地)などは、注意しましょう。
※3:道路の幅が4mに満たない場合は、道路の中心から2m後退した場所から家を建てることが可能です。中古物件などを購入した場合は、建て替え時にセットバックを行う必要がでてくるケースもあります。
惑わされやすいポイント
キャッチコピー
1番のアピールポイントが書かれており、特に注意すべきポイント。
「駅近物件!」「閑静な住宅地」などは、実際、駅までの道がきちんと舗装されていなかったり、ただの古い街並みだったりすることがある。
徒歩時間
大体は「1分=80m」として算出されており、これは成人男性が歩くスピード。また、坂道や信号などは考慮されておらず、女性や子どもが歩くと所要時間が随分変わってくる。
方位
広告の上が北…とは限らないので、方位マークがあるかを確認。
また、希ではあるが広告の方位自体が間違っている可能性もあるため、内覧時には必ず現地で確認することをおすすめする。
完成予想図
イラストやCGによってキレイに描かれているものが大半だが、実際は周りが古いビルや住宅だったり、玄関までのアプローチのイメージや植栽が実物と異なっていることも多い。
地域名を目立たせる
例えば「本郷」とつけば東京大学のある文教地域、「葉山」とつけばオシャレなイメージがあるが、道を一本超えるだけで印象がガラリと変わる場合もあるので要注意。
マンションの場合は、「総戸数(販売戸数)」「部屋の広さ」「駐車場」
総戸数
総戸数が多いマンションは安心感があって人気だが、投資目的で購入する家主も多い。投資目的で買われた場合、入居者は賃貸契約者が多いため、住民同士のコミュニケーションがとりにくくなる可能性も。
部屋の広さ
マンションの畳サイズは176×85cmが多く、一戸建ての180×90cmよりも小さいため、同じ畳数でも面積が狭い。
また、工法によっては柱や梁が室内に出っ張るので、その分狭くなるケースも多い。
駐車場
数や月々の賃料だけでなく、部屋からの距離や駐車方式を確認する。
機械式の場合、出すのに10分近くなる場合もある。
一概には言えませんが…「希少!今だけの掘り出し物件!」など根拠のない広告表記をする業者は信用できません。
物件探しを依頼している営業マンが、こんなキャッチコピーのマイソクを持ってきたら別の業者を探すことをおすすめします。