哲学カフェの誕生を振り返る
今年から始めた哲学カフェ(哲学対話)の場作り。
どのようにして始まったのか、2024年の最後に振り返っておこう。
きっかけのきっかけのきっ・・・
どこまで遡ればいいのだろうか。哲学カフェを始めるきっかけ。きっかけのきっかけは全て繋がっている。時は2023年の4月。もっともっと遡れるんだけど、とりあえずここから始めてみる。
2023年4月。多摩区100人カイギの運営を一緒にやらないかとおしり工場長に声をかけてもらう。発起人は多摩区のボス・スミナツコ。会場は向ヶ丘遊園駅前に新しくできた白いハコ。100人カイギのなんたるかもよくわかっていなかったけど、たしか二つ返事でOKの回答をした。
2023年5月。登戸駅前で開いていたノートリボの住民本屋と出会う。ボスと、カクヤマ兄さんが住民を待ち構えるストロングスタイル。この時、カク兄より岸本 聡子『私がつかんだコモンと民主主義』をお薦めしてもらい購入。なんだかまちにはアツゆるな人たちがいるなぁ面白いなぁと思った。
2023年6月。多摩区100人カイギ開始目前。カイギコンセプトをキュレーターのみんなと考えていた。「まちをカフェ化する」っていいね!とLINE上で盛り上がっていた。その話の流れの中で、影山知明『ゆっくり、いそげ』という本を、ナツコがひょこっと推薦してくれた。本の収集癖があるので秒で買った。そしてしばらく積まれていた。
2023年10月。住民本屋で知り合ったカクヤマ兄さんと、宮台真司的価値観で盛り上がっていた中で、勉強会をしたいという話が湧き出てきた。いや勉強会ではなくラジオ的なものが良いのではという話の方向に進んだ。カク兄はラジオが前からやりたかったのだ。でもごめん。社会をテーマにラジオで話ができるほど自分には知識が無いよという話をしていた。
2023年11月。5ヶ月ほど積まれていた影山知明『ゆっくり、いそげ』をようやく読み進めた。その中に「哲学カフェ」なるものを、影山さんが国分寺で経営するカフェ(クルミドコーヒー)というお店で開催しているという話があった。初めて哲学カフェなるものを知った。面白そう!と思った。たぶん。
2023年12月。まちのひろばフェスという川崎市の謎フェスに、哲学カフェを出店する団体があるということを知った。1時間くらいだろうか。参加して体験した。参加者は年配の方が多かったと思う。「幸せとは何か」について、みんな自分の言葉で話をしている姿が印象的だった。このあたりから、LINE上で「哲学」ということばが増え始める。
2023年2月初旬。3月末に予定している住民本屋の企画がナツコを中心にして進み始める。その中に「哲学トークイベント(カクヤマムラケン)」なるワードが出現。そして打ち合わせと称して登戸の「たまゆら」さんでお酒を飲む。ゆらゆらと話がすすんでいく。哲学カフェやろうという話が確かこの時に決まった。多分この時は、カクヤマリーダーのムラケンサポート的な感じだったはず。
2023年2月中旬。影山さんのクルミドコーヒーの姉妹店(胡桃堂喫茶店)で対話のトークイベントがあるよとナツコが教えてくれた。影山さんは『ゆっくり、いそげ』の影山さんだ。イベントタイトルは、「もう対話はいらない?! ~対話疲れのから騒ぎ~」というもので、シェアリング・ラーニングさん主催。影山さんと一緒に語る役を務められていたのが、梶谷真司先生。梶谷先生は哲学対話の実践者でもあるらしい。そしてこのトークイベントの帰りに梶谷先生の本『考えるとはどういうことか』を買う。そしてその本はまたしばらく積まれることになる。
2023年2月下旬。ナツコキャプテンより住民本屋のイベント概要が発表される。その中に「哲学カフェ」の文字が入る。哲学カフェはどうすれば開催できるのかなど、この時はまだよくわかっていない。
2023年3月15日。哲学カフェの内容をそろそろ詰めるようにと、キャプテンから通達あり。カクヤマリーダーはソクラテストレーナーを購入し、ムラケンサポはスピノザTシャツを購入。形から入るばかりで内容は詰まっていかない。そして、本読みあるあるだが、まずはやってみよう!の前にまずは本を読もう!の精神がある。カク&ムラはそれぞれに本を読み始める。そしてそんな中、本棚に梶谷真司『考えるとはどういうことか』が積まれていることに気づく。少し目を通すと、なんとまさに哲学対話の本ではないか!と言うことに気づく。哲学対話のやり方が詳しく書いてあったのだ。しかも、哲学対話は参加者と一緒に作っていくものだと書いてある。なんとかなる。
2023年3月19日。企画案をようやく提出する。2部構成。1部は問いをあらかじめ決めておき、2部はその場で問いを決めるプラン。今考えてみると、はじめっから結構アグレッシブな構成だなと思う。
2023年3月26日。おさるちゃんに、スピノザおさる(ピノザル)を作ってもらうようにお願いする。コミュニティボールの代わりとして使うため。おさるちゃんは快く引き受けてくれて、めでたくピノザルが誕生することになる。
2023年3月28日。ノートリボのフリーペーパーとともに、哲学カフェの告知&対話ルールデザインがナツコキャプテンより授けられる。それぞれに、いっしんさん作のカクヤマソクラテスが鎮座しており、カクヤマ氏が名実ともに登戸のソクラテスとなった。
2023年3月31日。ついに記念すべき哲学カフェ第1回。住民本屋のイベントとしての開催。哲学カフェのやりかたや、当日の様子は過去に書いたこの記事をご参考に。
このようにして始まった哲学カフェ。ここには全てを書ききれなかったけれども、もっとたくさんの人やモノも実はきっかけになっている。そしてここから約9ヶ月で15回ほど開催することができた。そこにもたくさんのストーリーがあった。すべてを振り返るには時間が足りない。
小難しい話をすると、哲学カフェを実現できたのは「発達の最近接領域」における「学習の足場かけ」があったためだし、初開催後も何度も開催できている理由は参加者も含めた「正統的周辺参加」のプロセスがあったためだと思っている。自分一人ではできなかったことだ。
みんなありがとう。
そして哲学対話の場作りはライフワークになった。