見出し画像

【住民本屋~哲学カフェ~】哲学対話のやり方

登戸駅の高架下で哲学対話(哲学カフェ)なる楽しいものをやってみたので、記録しておこう記事の第1弾。今回は「やり方」編。第2弾で「感想」編を書く予定。

今回、住民本屋という登戸のスペシャルなイベントの中の一つの企画として、哲学カフェを開催しました。開催日は2024年3月31日(日)。

今回の住民本屋の場所は、小田急線登戸駅の高架下。ガタンゴトンのノイズに包まれながらの哲学カフェ。哲学カフェ自体はドキドキの初開催。こんな感じのベンチスタイルでコーヒーを飲みながらスタート。「哲学カフェやってみた」としてやり方を記録しておこうと思う。感想は次回。

住民本屋の哲学カフェ

哲学対話の教科書

とりあえずやってみればいいのが哲学カフェなんだけど、その前に本を読んで理解しようとするので、なかなか話(企画)が進まない。
今回参考にしたのがこの本。結局、これに書かれていることをそのままやったろ!と思ってそのままやった。

著者の梶谷先生は、胡桃堂喫茶店のイベントで話を聞く機会があり、それがきっかけでこの本を買っていた。買って積んでいたこの本を何気なく捲ると、なんと哲学対話の教科書ではないか!ということで、この本を参考にすることに決めた。

哲学対話とは?

哲学対話は、哲学を学ぶ場でもなければ、おしゃべりをする場でもない。なので、知識を得られるわけではなく、楽しい気持ちで帰れるわけでもない。哲学対話は、「問い、考え、語る場」であり、「わからないことを増やす場」である。わからないことが増えることは、不自由になることではない。むしろその逆であり、哲学的に問い考えることで自由を体験することができる。

ルール

教科書に書かれている通り、8つのルールを設定した。私が解釈しているルールの意味をメモしておく。

①何を言ってもいい。

本当に何を言ってもいい場なんてものは、身の回りに存在していない。「何を言ってもいいよ」といわれることがあっても、たいていの場合信じられるものではない。哲学対話は「本当に」何を言ってもいい場だ。時には相手を傷つけることがあるかもしれない。むしろ、きちんと傷を負える場所であるとも言える。そのためには、相手の言葉を受け止めて、相手と一緒に考える覚悟がなければならない。一方で、安易に相手を理解しようとしたり、受け入れることはしてはいけない。そうではなく、相手の言葉を受け止めることが大事である。

②人の言うことに対して否定的な態度をとらない。

ルール①は否定的な態度を取らないことによって可能になる。何が正しいかを決めるのがゴールではない。違う意見があれば、違う意見をただ言えばいい。相手に「違うと思う」などという必要性はどこにもない。

③発言せず、ただ聞いているだけでもいい。

聞くことも対話である。うなずいたり、首を傾げたり、微笑んだり、わからない顔をしたり。聞いているだけの人のほうが、むしろ哲学的な問いかけを自分自身にしていたりすることもある。

④お互いに問いかけるようにする。

これが一番難しく、一番重要なルールだと思う。いざ対話をしようとして考え始めると、相手に問うことよりも、自分の意見を言うことを優先してしまう。その結果、意見を並べるだけになってしまい、対話を哲学的に深めていくことができない。お互いに問いかけあうことが重要である。

⑤知識ではなく、自分の経験にそくして話す。

哲学対話は、本で読んだり人から聞いたこと(知識)を並べて、どれが正しいか、どれが良いかを決める場ではない。経験はそれぞれが特有の質をもっているので、年齢などによらず質に優劣がない。お互いを「わからない」ことが、問いを生み、対話をより哲学的にする効果がある。

⑥話がまとまらなくてもいい。

哲学対話は、何か結論を出す場ではないので、話がまとまる必要はない。答えを出し結論をまとめようとすればするほど、「とりあえず」の言葉がでてきてしまう。大切なのは、言いたいことを言い、問いたいことを問い、考えるべきことを考えたかどうかだ。

⑦意見が変わってもいい。

哲学対話はみんなで考えるプロセスなので、最初と最後で意見が変わっても問題ないし、むしろ変わる方が自然である。

⑧分からなくなってもいい。

私たちは普段、わかることに価値を置いている。哲学対話は、むしろわからないことに価値を置く。わからないからこそ、問うことができ、考えることができる。わかることだけを考えるのでは、全く哲学的にならない。

コミュニティボール

コミュニティボールとは、それを持っている人だけが話をすることができるボールのこと。発言したい人は、手を挙げて、ボールを受け取る必要がある。
住民本屋では、ボールの代わりに、スピノザおさる(ピノおさる)に活躍してもらうことにした。このピノおさるが哲学カフェを縦横無尽に駆け回ることになる。

ピノおさる

作ってくれたのは、我らがおさるちゃん。ありがとう!!

ファシリテータの役割

ファシリテーターは、ルールを説明したら、特別にやることはない。
はじめとおわりに、こんな言葉をかけるくらいでよいらしい。

はじまり

対話はみなさんが問い、考え、語ることが全てです。私が仕切ったり進めたりしていくものではありません。全員で協力してやっていきましょう

おわり

まだ話し足りないとか、よく分からなくてモヤモヤしていると思います。それを持ち帰って、この後も、自分と、家族と、友人と、対話をしてください


やり方編はおわり。次回の感想編に続く!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?