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なぜ、リハ専門職の介入は終われないのか

短期集中予防サービスというものがあります。これは、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)による、要支援者等に対するサービスです。

短期集中予防サービスの目的は、① 生活のしづらさを解消する、② セルフマネジメントが可能になる、③ 地域資源を活用した活動的な生活を獲得するの3つで、週1回、全12回のリハ専門職との面談が中心となります。
 つまり、身体を触らず、家にない器具を使わず、利用者が自分自身で目標達成を目指すというものです。

短期集中予防サービスの活用は、介護保険サービスからの卒業を促進するものとして注目されてます。

医療経済研究機構のプレスリリースによると、大阪府寝屋川市在住の要支援者を対象として毎回20分前後の動機づけ面談を行った結果、介入終了後12週間後の介護保険サービスからの卒業割合は、対照群と比べて介入群で有意に高かったという研究結果が公表されています。

注目すべきは、短期集中予防サービスのターゲットは、対象者のセルフマネジメント力であるという点です。

リハ専門職が介入するサービスは、一度介入すると終了できないという声を聞くことがしばしばあります。
 過去、私は作業療法士として経験がまだ浅かった頃に同じ体験をしました。その時の感情は、どちらかというと自己効力感に近かったように感じます。つまり、私自身が人の役に立てていて、私を求めてくれる人がいるという高揚感です。
 しかし、それは対象者のセルフマネジメント力を高めることができていなかった結果かもしれないと今は考えることができます。

山口県防府市におけるリエイブルメント型の短期集中予防サービス導入マニュアルに、以下が書かれています。

短期集中予防サービスを実施する際、サービスが終了した後新しく行く場所がないという声をよく耳にします。ここでは、本市のサービス利用終了後の考え方を紹介します。
 本市の短期集中予防サービスは高齢者が『元の生活』を取り戻すこと、セルフマネジメント能力を高め、日々活動的にいきがいをもって生活することを目指しています。『元の生活』を取り戻した高齢者は、本来十分に活動量や社会参加の場が確保されており、サービス利用終了後に新しく行く場所がなくても問題なく、充実した生活が送れると考えています。
 しかし、長い年月をかけて虚弱な状態になった方、元々やっていた活動に興味がなくなった方、他者との交流や自身の役割が少ない方等、現状の活動・社会参加の機会が少なく新しく行く場所が必要な方もいます。このような方に対しては、一律に通いの場を紹介するのではなく、本人が興味のあることや、これまでの人生で大切にしてきたもの等、本人の周囲に存在するあらゆるものに目を向け、一人ひとりに応じた適切な資源を提案できるような体制を整備しています。もちろん通いの場等の整備にも力をいれていますが、それ以上に、地域にあるあらゆるものに目を向け、様々なニーズに対応できるようしています。

「山口県防府市におけるリエイブルメント型の短期集中予防サービス導入マニュアル」p11

また、厚生労働省の地域づくり支援ハンドブックvol.1 に、以下のようなことが書かれています。

Q. 短期集中予防サービスは3~6ヶ月など一定期間で卒業することが前提だと思いますが、卒業できないケースが多いです。どのような要因が考えられますか?

大事な視点
介護予防ケアプラン、サービス提供内容、サービス終了に向けた支援(地域資源含む)などのいずれかに、またはそれぞれに不具合があることが考えられます。

検証の視点
・目標設定がずれている (地域での望む生活の実現になっていない)
・対象者の選定がずれている(改善が難しい方、継続支援が必要な方等)
・サービス開始時に、本人および家族にサービス提供期間(終了)についてちゃんと説明していない(できていない)
・利用中から終了後の生活をイメージした段階的準備・支援をしていない
・プログラムの内容が短期間に終了できるものになっていない
・本人の意欲を引き出せておらず専門職の介入に依存させてしまっている(終了が不安)”

厚生労働省「地域づくり支援ハンドブックvol.1」p110

つまり、利用者がサービスの継続を望むのは、セルフマネジメント力が未習得であり、真の自立支援がなされていないことを意味している可能性があると読み取ることができます。

この視点は、病院や施設でリハを提供しているリハ専門職にも、必要な視点であると考えます。対象者は、退院を契機に翌日からセルフマネジメントが必要になります。それができる状況で対象者を送り出せているか。あるいは、それを補完するための環境調整が行えているかどうかを考える必要があると思うのです。
 もちろん、全てのケースに当てはまるものではないかもしれません。ただ、リハ専門職はこうした視点を常に念頭において対象者と向き合う必要があると、私は思うのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考
・松本市リーフレット「リエイブルメントで元気な自分を取り戻す」
医療経済機構:要支援者に対するリハビリテーション専門職が主導する短期集中型自立支援プログラムは、介護保険サービスからの卒業を促進(Press Release)
山口県防府市におけるリエイブルメント型の短期集中予防サービス導入マニュアル集
厚生労働省「地域づくり支援ハンドブックvol.1」


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Y.MURAYAMA|医療法人 経営戦略部門
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