患者経験価値や患者満足度と職員満足度はトレードオフなのか?
はじめに
患者経験価値(patient experience:PX)とは、患者満足度(patient satisfaction:PS)の要素の一部です。患者満足度が「患者の期待と実際とのギャップの結果を測る」のに対し、患者経験価値は「患者がいつ、どこで、どのような経験をしたかというプロセスを測る」のです。このことから、患者満足度は患者の気分や価値観に影響を受ける一方、患者経験価値は客観的事実を具体的に問うために課題が明確化しやすい特徴があります。
患者経験価値や患者満足度を高める上で、病院職員の業務や行動を変えることがあります。ただでさえ多忙な状況を変える訳ですから、職員にとっては少なくとも一時的には負担が増えることになります。そこだけに注目すると、「患者経験価値や患者満足度を高めることは、職員満足度を犠牲にしてしまうのではないか」というジレンマを感じます。しかし本来は、患者経験価値や患者満足度だけではなく、職員満足度も同じように高めたいはずです。
そこで本noteでは、「患者経験価値や患者満足度と職員満足度はトレードオフ(両立できない関係性)なのか?」について、組織均衡論の視点から考えます。
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