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戦略人事を学び、創業者が夢見たユートピアの具現化に役立ちたい

私は現在、「戦略人事」に関心があります。経営資源には、人・物・金・情報・時間・知的財産・ブランドがあると言われていますが、その価値が急に10分の1になったり急に10倍になったりする経営資源は人だけです。一方、わが国の生産年齢人口は確実に減少することがわかっています。つまり、人という経営資源の価値を高めることは、組織の持続可能性という視点で極めて有用であると思うのです。
 戦略人事とは、“経営資源の1つである人の価値を最大化するために、経営戦略と連動した人事戦略を策定・実行すること”を指します。したがって、単語が前後逆になるだけの「人事戦略」とは異なります。戦略人事と人事戦略の最大の違いは、経営戦略や競合優位性の構築にコミットしているか否かであると言われています。

 日本企業で戦略人事という言葉が使われはじめたのは、1980年頃からと言われています。学問的には、戦略的人的資源管理論(Strategic Human Resorce Management:SHRM)の中で取り扱われ、経営者のビジネスパートナーとしての視点から、組織の成長を促す戦略人事のプロ(HRBP:Human Resorce Business Partner)とともに戦略人事は浸透しました。
 人材採用・育成、組織開発のナレッジコミュニティである「日本の人事部」の正会員を対象とした調査では、実に9割近くが戦略人事の重要性を認識していながら、実際に機能しているのは約3割というデータがあります。つまり、戦略人事を機能させることは、さまざまな要因でとても難しいということが推察されます。

近年の医療法人は、病院や施設などの複数の事業体を運営することも珍しくなくなりました。複数の事業体を有すると、合理性を求めて組織図は事業部制を採用するだろうと考えます。その際、人・物・金・情報の経営資源の管理を本部に集約し、本部が各事業体の経営資源を組織横断的に調整する運用もあります。事実、筆者の知る限りでも、このような組織体制を敷いている医療法人は日本中にいくつもあります。
 本来、人事部の役割は、採用・配置・評価・報酬・育成と言われています。ところが、医療法人の組織の規模が大きくなるほど、これらの役割は現場に分散しがちです。それは、医療資格を有さない人事部の事務職員では、医療資格を有する現場の採用・配置・評価・育成が難しいためです。しかし、人事部の役割が現場に分散すると部分最適となりやすく、人という経営資源の価値の最大化や全体最適の視点でのムリ・ムダ・ムラが生じやすくなるのではないかと感じます。
 そこで有用となるのが戦略人事です。つまり、人事部が戦略部門として経営戦略と連動した人事戦略を策定・実行できれば、人事部の役割は現場に分散せずに全体最適を可能とし、加えて人という経営価値を最大化できるのではないかと考えます。そのためには、最高人事責任者(Chief Human Resource Officer:CHRO)の能力のある人を配置する必要があると感じます。CHROは、経営者と同じ視点で経営を語りながら、経営戦略に基づいた採用・配置・評価・報酬・育成を行うことにコミットする役割であるため、この存在により戦略人事が機能するのではないかと思うのです。

医療法人の経営は、対象者(患者)や求職者を待っていれば何とかやれるという時代では既にありません。特に、人という経営資源の絶対数が減り続けることは逃れようのない事実です。しかし、人という経営資源の価値は、マネジメントの如何によって大きくすることができます。そのマネジメントが戦略人事であり、それを担う人がCHROであると思うのです。
 私が今年学びたいこと。それは、戦略人事とCHROの具体的な仕事です。学んだことを組織に還元し、医療・介護という地域のインフラを支える立場から、創業者が夢見たユートピアの具現化に役立ちたいのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

#今年学びたいこと

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