マーケティングとリハビリテーションの接点
私は、100名超のリハ専門職が所属する部門のマネジャーであると同時に、リハ専門職(作業療法士)である。
マネジメントを学ぶために40歳を過ぎてから国立大学の経営大学院に入学し、そこではじめてマーケティングを学んだ。本稿では、マーケティングとリハビリテーションの接点と題して、両者の思考の親和性及びリハビリテーションへのマーケティング思考の応用の可能性について私見を整理する。
なお、本稿は以下で実施したレクチャーの要旨であり、ここで触れるマーケティングは、初学者が理解すべき基本的な内容である。
マーケティング思考とは
マーケティングとは、「人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること」(出所:フィリップ・コトラー、ケビン・レーン・ケラー「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」)である。
これを患者の視点から考えると、「マーケティングは、患者(自分)のニーズに応えてくれること」となる。一方、医療者の視点から考えると、「患者を創り、医療サービスを創り、患者が集まる仕組みを創る」と考えることができる。「患者を創る」というのは聞こえが悪いが、必要な医療サービスを必要な人に届けることによる受益者の創出という意味である。
マーケティング思考の出発点は顧客発想である。医療に当てはめると、患者の立場に立って考え、患者の求めるものを理解し、それを提供することがマーケティング思考の出発点となる。
以上のことから、マーケティング思考とは「顧客(患者)ニーズからはじまり、顧客(患者)満足で終わるためのマーケティング活動」と考えることができる。
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